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暗い、暗い。

私のお母さんはどこにいるの?

私のお父さんはどこにいるの?

私ね、お母さんとお父さんに会いたいなぁ。

なんで、なんで。

私はこの部屋から出られないの?

私はどうして閉じ込められているの?

そんなことを思い続けて10年以上の月日が経ったと思う。

小さい頃、私は“おやしき”に住んでいた。

優しいお母さんに優しいお父さん。

いつからだろう、私がこんな暗い部屋に入ったのは。

窓もないから陽の光も入らない。ただ電球がチカチカと光ってる。これだけが私の近くの光。まるで牢獄にいるみたい。

電球を見ていると、足音が聞こえてきた。

「起きてたのか」

冷たい目で私を見下してる。

「オマエのご飯だ。」

私のご飯を持ってきたらしい。

なぜかご飯は少し豪華だ。いつも私に向かって失礼なことを言うくせにはご飯とかは、ちゃんと貰える。

「オマエ、暇そうだな」

声が高らかになってきた。

「本当に、生きてる意味なんかあるのかぁ?」

いつものが始まった。

「オマエみたいな奴を世話してやってるのは、この俺なんだよ!!ありがたく思え!」

嫌い、この時間は嫌い。聞き飽きた。

いつもいつも私に罵声をして、なにがそんなに楽しいのか、わからない。

「なんでお前を生かしてるのか、あのクソジジイとクソババアの考えてることがわかんねーな」

クソジジイとクソババアは、きっとこの人のお父さんとお母さんの事だろう。

「つまんねぇな……なんかしゃべれよ、命令だ。」

しゃべる?何をしゃべったらいいの?

「おい!早くしろよ!」

何をしゃべったらいいのよ!私は睨んだ。

「なんだよ!!その反抗的な目は!!」

うるさい、黙って。さっさとどこか行って。

「オマエ、本当にうざいんだよ!!」

私は殴られた。痛い、痛い、やめて。



5分近くだろうか…ずっと殴られていたのは。ごはんが今日はまずく感じた。本当は美味しいはずなのに、まずく感じた。

ご飯を食べたら寝よう。寝てる時が一番幸せ。幸せな夢を見るから。

私はよく見る夢がある。それはお金持ちの夢。お父さんとお母さんがいて、私がいて、まるでお嬢様みたいな生活をしている自分がいる。夢の中だけでも誰かに必要とされ生きてるのが私の生きがいかもしれない。

(夢が現実になればいいのに)

そう、思い眠りについた。





「~~ろ!」

嫌いな声が聞こえてきた。

嫌だ、まだ起きたくない。けど起きなきゃ。

「やっと起きたか、遅かったな」

何?今日のご飯はもうもらった。普段なら、もう来ないはずだ。

「オマエ、ここから出たいか?」

出たいに決まってるでしょ、なんでそんな質問するの?

「出たいよなぁ?けど、残念出れないんだ。」

うん、知ってる。笑い堪えるのを見て、わかるもん。

「今からパーティーに行くんだ。」

ああ、自慢しに来ただけか。

「オマエより美味しい物を食べて、みんなからちやほやされるんだ!羨ましいだろ?」

はいはい、そうですね。

「オマエの分までたーっぷり楽しんでくるよ」

──パタン。



自慢しに来ただけだった。暴力ふられなくてよかった。

けど、引っかかった言葉ある。



──ここから出たいか?



出たいに決まってるでしょ。

でも出れないに決まっている。



──でも、もし出れたら?



私はなにをする?



──お母さんとお父さんを探す?


──自由に暮らす?


──さっき自慢しに来た奴に復讐する?



出来るものなら全部してみたいものだ。

出来るものなら…。

さっき自慢しに来た奴が出入りするドアを見た。

(出るならここからだもんね。)

私はさっき自慢しに来た奴が出入りするドアのドアノブに手をかけた。

(どうせ、出れないもんね。けど…)

ドアノブを回した。そして押してみた。



──開いた。



え!?開いた!?

逆にびっくりした私は一旦ドアを閉めてしまった。

開いた!?開いたよね!?

もう一度確認するためにドアノブに手をかけた。

やっぱり開いた。

一筋の光が私に舞い降りたみたいだった。今すぐにでも出ようかと思った。



──見つかったら、また戻される。


──けど、あいつはパーティー行くと言った。チャンスでは?



私は震えながら、その部屋を出た。



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