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サンタクロースは、いると信じていたあの頃を思い出すことはできるだろうか。
将来の夢は、戦隊ヒーローになると言っていたあの頃を振り返ることができるだろうか。
今でも、馬鹿馬鹿しくて考える気にはなれない。
だけど、少なくともあの頃の俺はサンタクロースは絶対にいないと信じていたし、戦隊ヒーローは、世界のどこかで悪の組織や怪獣と戦ってなどいないのだと信じていたはずだ。
そう、はずなんだ――。
だけど俺は、いつしか知らない間にサンタクロースは、もしかしたら本当はいるのかもしれないと思っても良いと思うようになった。
戦隊ヒーローだって、もしかしたら本当に光線を出したり、空を飛ぶことも出来るのかもしれないし、さらに変身だって出来るのかもしれない。
それは、俺がそう願ったからだ。
あの頃が、具体的にいつからなのかなんてことは、俺自身にも分からないことのだが、今重要なのはそんなことではなく、世界の摂理なんてそんなモノなのだということだ。
このつまらない世界を面白くする為に、誰かが少しだけ手を加えて、あたかも面白い世界かのように演出しているのだ。
つまり、ある意味で造られた世界ということだ。
だけど、世界はそういう風に出来ていて、そういう風に廻っていることを俺は知ってしまった。世界は、思っているより繊細に出来ていて、思っているよりも単純に出来ていることを知ってしまったのだ。
この世界の真理を知った上でこんなことを考えていると、それだけで何となく心躍るのはなぜなのだろうか。これは、いわゆる非日常というモノに、俺が慣れ過ぎてしまった性なのだろうか。
世界なんてそんなモノなのだ。
世界なんて思っているよりもずっと大して大きくもなく、俺たちがただ世界は大きいモノだと思い込み、その前に委縮していて、世界が大きく見えているだけなのだ。
つまり、それは自分で勝手に創り出した虚像に過ぎやしないのだ。
だからこそ俺は、もう一度言おう。
世界なんてそんなモノなのだ――と。
だけど、世界の大きさは自分で勝手に創り出した虚像に過ぎやしないということに気付ける人間なんて、そうそうはいやしないだろう――と俺は思う。
その理由は、単純明快だ。
馬鹿馬鹿しくて、考える気にもなれないからだ。
この世界は、自分の好きなようには決して出来てはいない。それは、先に述べたように誰かが自分の面白いようにこの世界を創っているからだ。
一つここで、もしの話をしよう。
もし、自分で世界を創ることが出来たならどうだろうか――。
もし、自分を中心に世界を廻すことが出来たのならどうだろうか――。
やっぱりやめた。
なんでかって?
その理由は、単純明快だ。
馬鹿馬鹿しくて考える気にもなれないからだ。
だけど、もしその世界を創れたのなら――もし自分を中心に世界を廻せたのなら――少しばかりその世界とやらは、きっと素敵に見えて来るはずだ。それは、世界が思っているより繊細に出来ていて、思っているよりも単純に出来ているかららしい。
そして彼女は――逢坂朱音は最後にきっとこう言うに違いない。
世界はそういう風に出来ていて――そういう風に廻っている――と。




