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サンタクロースは、絶対にいると信じて疑わなかったあの頃を思い出すことは出来るだろうか。
将来の夢は、戦隊ヒーローのレッドになると言って聞かなかったあの頃を振り返ることが出来るだろうか。
今となっては、馬鹿馬鹿しくて考える気にもなれない。
だけど、少なくともあの頃の俺はサンタクロースは世界中の子供たちに夢や希望を届けているのだと信じていた。戦隊ヒーローは、世界のどこかで悪の組織や怪獣と戦っているのだと信じていたはずだ。
そう、はずなのだ――。
現実は、サンタクロースは実際には自分の両親で、本物のサンタクロースはいやしない架空の人物だった。戦隊ヒーローだって、本当は光線も出せやしないし、空を飛ぶことだって出来やしない。ましてや変身なんてとんでもない。
俺は、それらを知ってしまったのだ。
あの頃が具体的にいつからなのかなんてことを、俺自身にも具体的には分からないことだが、今重要なのはそんなことではなく、世界の摂理なんてそんなものなのだということだ。
このつまらない世界を面白くする為に、誰かが少しだけ手を加えて、あたかも面白い世界かのように演出されているのだ。
つまり、ある意味で創られると言うよりも、造られた世界ということだ。
この世界の摂理を知った上でこんなことを考えていると、それだけで何となく寂しくなってしまうのは何故なのだろうか。これは、いわゆる日常というものに俺たちが慣れ過ぎてしまった性なのだろうか。
世界がつまらなくなったのではなく、自分自身がつまらない人間になったのだ――と、誰かが言っていたのを思い出す。
全く持って、その通りだ。
俺は、量の腕を組んで激しく同意する。
だけど、自分がつまらない人間になったかどうかに気付ける人間なんてそうそうはいやしないだろうと、俺は思う。
その理由は、単純明快だ。
馬鹿馬鹿しくて、考える気にもなれないからだ。
一つここで、もしの話をしよう。
もし、サンタクロースは本当にいて、世界中の子供たちに、夢と希望を届けていたとしたらどうだろうか。
もし、戦隊ヒーローは、世界のどこかで秘密裏に戦っていて、この世界の平和と秩序を守っていたとしたらどうだろうか。
もし、宇宙人や未来人が本当にいたとしたら――。
やっぱり、やめだ。
その理由は、単純明快。
馬鹿馬鹿しくて、考える気にもなれないからだ。




