【24話】私のやるべきこと
全速力で馬を走らせて、十日ほど。
私とアルシウス様は、ハテオン王国の王都へ到着した。
「……ひどい。まさかこんなことになっているなんて……」
馬から降りた私は周囲の状況を見て、唖然とした。
私がよく見知っているかつての王都とはまるで違う。
まったくの別物になっていた。
散乱している瓦礫。
いたるところから上がっている激しい火の手。
鳴りやまない悲鳴。
地獄というのは、きっとこのような場所のことを言うのだろう。
そしてその地獄を作っているのは、魔物たちだ。
ハテオン王国の兵士たちが応戦しているものの、かなりの苦戦を強いられている。
魔物がどれほどの力を持っているかは、これを見ただけでも十分に分かった。
しかもその数は何十体――いや、何百体にものぼるかもしれない。
これらを撃退し民を救うのが、私の役目。やるべきことだ。
そのために私は来たんだから……!
拳を強く握っていると、馬から降りたアルシウス様が私の肩に優しく手を乗せた。
あまり緊張するな――そう言ってくれているような気がする。
「行こうエレイン。俺の側からあまり離れるな」
「はい!」
つかず離れずの距離を保ちながら、私とアルシウス様は魔法を使って攻撃していく。
魔物たちは凶悪で強力だ。
でも私たちの力は、完全にそれを上回っていた。
「あの二人、すげぇ……!」
「いとも簡単に魔物を倒していくぞ!」
戦況は一変。
魔物の数がどんどん減っていく。
私たちの戦いを見たことで、沈んでいた兵士たちの士気は盛り上がっていった。
「ここらの魔物は片付いたな。次はどこへ行けばいい?」
「はい! ご案内いたします!!」
兵士の案内に従い、私とアルシウス様は次の場所へと向かう。
それを何度も何度も何度も繰り返し――そして、数日後。
王都を襲撃してきた魔物のそのほとんどを撃退することに、私たちは成功した。
まだ残っている魔物は少しばかりいるそうだが、自国の兵士たちだけで十分対処できるそうだ。
つまり、私たちの役目は終わり。
無事に目的を果たすことができた。
でも、これで終わりではない。
私とアルシウス様は今回の特別功労者として、ハテオン王国の国王様より直接お礼をいただくこととなった。
国王様はニコライ様の父親だ。
できることなら会いたくはないのだが、辞退すれば国王様のメンツを傷つけることになる。
それが原因でレイゲル陛下に迷惑がかかってしまうかもしれない。
だからこそ私は辞退しなかった――いや、できなかった。
嫌で仕方ないけど、やるしかないのよね。
たぶんそれはアルシウス様も同じで、嫌な顔をしながらも反対するようなことはなかった。
******
「失礼いたします」
王宮にやって来た私とアルシウス様は、国王様がいる部屋を訪ねた。
部屋の最奥でイスに座っている国王様は、苦い顔をしている。
息子のニコライ様が私にした行いは耳に入っているだろうし、まぁそういう反応にもなるだろう。
負けず劣らずの苦い顔で私も奥へ進んで行くのだが、
「エレイン! 来てくれたんだね!!」
後追いで部屋に入ってきた人物に名前を呼ばれる。
振り返ってみるとそこにいたのは、第一王子――ニコライ様だった。




