【21話】愛の告白から数日
「今日はこれで終わりだ。ご苦労だったな」
「……はい」
研究室にて上がった私の返事は、ひどく弱っていた。
でもこれは今日に始まったことではない。
ここ最近の私は、ずっとこんな風だ。
体調が優れないとか、そういうことではない。
原因はもっと、別のところにある。
――愛の告白をされたあの日から、数日が経った。
それからというもの、私はアルシウス様のことを意識するようになってしまった。
それはもうものすごく、めちゃくちゃに。
視線があっただけで顔が赤くなって、心臓がバクバク高鳴ってなってしまう。
意識一つでこんなにも変わるなんて、まさか思ってもみなかった。以前までとはまったく違う。
でもその一方でアルシウス様はというと、いつも通りの平常運転。
告白以前と以後で、私への接し方になにひとつして変化がなかった。
抱きしめてきたりはもちろん、キスの一つだってしてくれない。
あ、その……別にね、キスをしてほしいとかそういうことじゃないのよ!
ファーストキスの味が忘れられないからもう一度してほしいとか、そんなことを思っている訳ではないんだからね!
でも今の状況は、理不尽な気がする。
私ばっかり意識させられているというのは、なんだかズルい。
きっとそんなことを、真剣に考えていたからだろう。
「難しい顔をしてどうした? 考え事か?」
間近で覗き込むようにしているアルシウス様に、今の今まで気づけないでいた。
「ひいっ!?」
悲鳴を上げた私は大きく後ろへのけぞった。
今ので寿命が軽く十年は縮んだような気がする。
「すまない。まさかそこまで驚かれるとは思っていなくてな」
「私の方こそ申し訳ございません! つい変なリアクションを取ってしまいました」
「気にするな。むしろ新たなキミの反応を見れたことに俺は感謝している」
「――!?」
ぽわっ。
頬が赤くなってしまう。
たぶんアルシウス様は冗談っぽい感じで言ってくれているのだけど、私はそうは受け取れない。
こういう何気ない会話だけでもドキドキしてしまう。今の私にとっては、猛毒だった。
「そうだ。キミに話しておくべきことがあった。近く、寝室を一緒にしようと思ってな。私室から運びたいものがあればメイドに言ってくれ。彼女らに運ばせよう」
「一緒って、私とアルシウス様がですよね? でもどうして急に?」
「……言わせるな」
プイっと視線を逸らしたアルシウス様は、少し恥ずかしそうにしている。
私だけじゃなかったのね!
分かりづらいだけでアルシウス様も意識してくれている。
平常運転だと思っていたのは、私だけの勘違いだった。
良かったわ~。
心の底からホッとする。
でもそんな風になっている場合じゃないとなったのは、それからわずか0.3秒後のことだ。
寝室が一緒ってことは、同じベッドで寝るってことよね……!
それってつまり、大人な行為をするってこと!?




