『鏡ノ裏に棲むもの』
掲載日:2025/11/07
『嘘』というものは、何なのだろう…と考えた時に書いた詩です。
第一章:映らぬもの
わたしは 夜の鏡を ただ見つめていた
そこに映るはずの わたしは いない
ただ 一片の嘘が
忘れられた夢のように
鏡の底で 息づいている
─わたしが わたしを見つける場所は いつも 映らないところだった─
第二章:裏側の言葉
真実は いつも
裏に貼られた
剥がれかけた皮膜
剥がせば 裂け
残せば 読めない
─真実は 読まれることを拒む 沈黙の紙片─
第三章:影の演技
街灯の下で 誰かが わたしの声を使って 笑う
その声は わたしの声に似ていて
けれど わたしでは ない
嘘は──
影が わたしをなぞる その一瞬の ずれ
夜が深まるたびに
鏡は いよいよ透明になり
わたしは いよいよ 嘘になる
─わたしの声で 誰かが笑うとき わたしは もう わたしではない─
読んでくださった方々、ありがとうございました。




