第1話「万年Bチーム、世界を獲る赤子に転生す」
この世には、「才能」という名の残酷な天秤がある。
右に光。左に影。
光は脚光を浴び、影は静かに沈む。
俺は、その影だった。
高校三年間、Bチームのレギュラー。
公式戦のピッチに立ったことは、一度もない。
それでも夢を見た。夜の校庭でひとりボールを蹴り、
「いつかきっと」と、呪文のように繰り返した。
……結果は、何も残らなかった。
挫折。悔しさ。空っぽの引退式。
そして、交通事故。
気づけば、俺は真っ白な空間に浮かんでいた。
「死んだのか?」と思った瞬間、視界がひっくり返る。
光が、差す。
産声。眩しいライト。巨大な顔。
──ああ、俺は……生まれ変わったんだ。
しかも、ただの赤子じゃない。
目の前にいたのは、あの“風間勇一”。
元日本代表で、欧州リーグを沸かせた天才レフティ。
その男が、俺を抱きかかえながら言った。
「陽翔──俺の息子だ。世界一の選手になるぞ」
……は?
なにこのチート設定。
ククッ……面白い。
前世では“影”だったこの俺が、今度こそ“実力”で世界を獲る。
そうさ。俺はもう、あの頃の無力なBチームじゃない。
これは、影の亡霊が赤子に転生して、
世界の中心に躍り出る物語だ──。