コリウスを君へ 一話
皆様初めまして。ニキ豆と申します。
初めて小説を書いてみました。のんびりと書いていく予定なので、暇つぶしに読んでいただけると幸いです。
初めてなので、誤字や脱字、変な言い回しもあると思いますが、そこのところはご容赦ください。
楽しんで頂けたら幸いです。
ーーー目の前には暖かい光、かすかに聞こえる愛しい人の声。ちゃんと聞きたいのに、意識が遠くなっていく。どうか、どうか泣かないで。私はあなたの笑った顔が好きなの。だから、
「わら、って、、、?」
あぁ、その顔よ。その、笑うと顔がくしゃっとなって目元が優しく下がるその顔がたまらなく愛おしいの。でも、もうあなたの顔が霞んで見えないの。でも、最後にあなたの笑った顔が見れて、私幸せよ。私の物語はここで終わるわ。でも、あなたには私の分まで幸せになって。
さよなら。
私の愛しい、、、、
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はぁぁぁぁぁ。まじ泣く。まじで泣ける。マリーゴールドたんまじで天使。マジで天使なのに、どーしてどのルートでも死ぬ運命なのよ!!!!!
「まじで運営、救われるルート作って!!!」
私は切実な願いを今日も部屋で叫んでいた。叫ぶ声がでかすぎて、よく両親に怒られている。だが、叫ばずにはいられないのだ。それはなぜか。答えは簡単だ。今世界で流行っている、
「コリウスを君へ~貴方のハッピーエンドを探して~」
略してコリ君
という乙女ゲーム登場する推しのマリーゴールドの最後が、何をしても救われないからだ。
この「コリウスを君へ~貴方のハッピーエンドを探して~」は、今でこそ世界では流行っているが、発売当時は全くと言っていいほどに誰もやっていなかった。なぜか。それはこのゲームの発売元が、まだ無名の小さな会社で広告も出しておらず、パッケージが真っ白の背景にコリウスの花が書いてあるだけ。どんなシナリオなのか、登場人物がいるのかもわからない。そんなゲーム、手に取ろうと思うものも少なく、そして店員も進めずらいものだったからだ。では何故今世界中で流行っているのか。それは、とある一人のゲーム実況者から始まった。その実況者は、乙女ゲームマスターと言われる程に乙女ゲームを愛している人物だった。その実況者が店員に投げやりに勧められたゲーム。それこそが、コリ君だった。
その実況者は不安に思いながらもいつも通り、配信を始めた。
最初はありきたりな設定だった。だが、ストーリーを進めていくことに不穏な気配が押し寄せてくる。実況者は不安になりながらも進めていった。そろそろ攻略が終わるかと思ったその瞬間、、、ヒロインが、プレイヤーが攻略すると決めていたキャラが、亡くなってしまったのである。これには、実況者も視聴者も驚いた。なんせ、攻略対象が亡くなるんなんて滅多にないのだ。当たり前だ、乙女ゲームはヒロインがいろんな試練を乗り越え最終的には結ばれることの方が普通だからだ。たまに、友情ルートなども存在するが、基本はハッピーエンド。それが当たり前だった。それを破ったのだ。実況者は慌てた。どこかの分岐で間違えたのかと。一度セーブし、やり直す。次は分岐を間違えないように。だが、その努力は無駄に終わり、ヒーローが亡くなる。なぜだ、なぜなんだ。と、実況者は憤怒した。だが、それをあざ笑うかのようにゲームは終盤へと進んでいく。まだ、救いはあるんだろうと。そうだろうと、なんとか気持ちを持ち直し、いざラストまで行くと、、、、、
なんと、ヒーローは亡くなったままヒロインは大人になり、彼への想いを忘れられぬままストーリーが終わってしまったではないか。実況者も視聴者も絶句した。そして、画面に出てきた文字。
「これが貴方のハッピーエンド?」
まさか、ここでタイトルの副題を問いかけで出してくるなんて。誰もが思った。
「こんなのはハッピーエンドではない!!!」
と。それから流行るのに時間はかからなかった。配信を見ていた人が、
「自分が必ずハッピーエンドを見つけてみせる!」
と購入したからだ。
だが、どのキャラの、どのルートに進もうが決して結ばれないヒロインとヒーロー。そんなゲームは長くは続かないと思われたが、逆にやればやるほどこのゲームにはまっていく。魅力的なキャラデザ、引き込まれるかのようなストーリー、細かく考えられたキャラ背景。そのどれらを見ても、完璧で、儚く、美しい。
「これは乙女ゲームではない!」
と、批判的な声を上げるものも勿論いた。何も特別なものを持たないヒロインと、立場や生まれのせいで持たざるを得なかったヒーローが織りなす儚い物語に多くの人が心を奪われた。そして、人から人へと話がある広がり、いつしか世界中で流行る一風変わりすぎた乙女ゲームとしてみんなに愛されている。
そして、私もそのゲームを愛している一人だった。
読んでいただきたいありがとうございました。
これからもマイペースに更新していきますので、次回作を楽しみにのんびりお待ちくださいますと嬉しく思います。
何かご指摘や、感想などを送ってくださるとモチベーションが上がりますので、気軽に送っていただけると光栄です。
それでは、次回作でお会いしましょう。
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