神絵師を目指す俺には清楚系ヤンデレ幼馴染のモデルがいます
放課後の空き教室で俺はいつも絵の練習をしている。
絵師の人はわかるかもしれないが、絵の練習は毎日コツコツと習慣化しないとダメだ。1日でもそれを怠ってしまえば、数日前の画力に一気に戻っていってしまう。だから、俺はこうして毎日、学校が終わると空き教室に来てデッサンの練習を欠かさずにする。
初めは無機質な机や黒板といった風景のデッサン、持ち込みの石膏像などを時間を計りながらデッサンしていた。しかし、俺はどうもその練習が嫌いだった。どうせなら、人間を描きたい。そんな気持ちが強くなっていった。
そんなこんなで、俺は屋上で、自分の心の声を思いっきり……
「女の子の裸の絵が描きたーーーい!!!」
叫んでしまったのだ。そしてそれを、あろうことか幼馴染の水瀬彩月に目撃されてしまって……
今日に至るというわけだ。
「さつき……今日はこんな感じでお願いしてもいいかな」
俺は教室の床に座って、足を大きく開いた。そして自分の局部が見えてしまうような、そんな大胆な足の広げ方を彩月に示した。
「う、うん……。ちょっと待ってね」
彩月は恥ずかしそうに服を脱いでいき……
「こ、こうかな……」
「うん、もうちょっと、足を上げて」
「き、きついよ……」
「ちょっと我慢して。アタリをとるから」
「う、うん……」
彩月は初めの方は考えられないといったような顔をして俺の方を見ていたが
、どう言うわけか、俺の絵の練習に付き合ってくれることになった。そして今では、恥じらいながらも俺の指示通りのポーズを取ってくれるまでになった。
しかし、彩月はデッサンの際に必ず言う言葉がある。それを聞くと、何か自分はとても悪いことをしているような、そんな気がしてしまうのだが、貴重な時間なので、俺はその少しの罪悪感を無視して、彩月の体をじっくりと見てデッサンしていく。
無我夢中で……
ただただ、将来に神絵師になることだけを考えてデッサンしていく……
そんな俺の顔を、真剣な顔を彩月は、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうな顔をして、じっと見つめている。
そして、今日もこう言った。
「私のことだけ、見ていてくれる?」
「ああ、今見ているよ」
「ずっと、ずっと私だけを見ていてくれる?」
「彩月が許してくれてる間はずっと、な……」
「他に都合のいい子ができても、その子のところに行っちゃわない?」
「あはは、そんな女の子いるわけないじゃん」
「もしいたら、どうする?」
「……今は彩月でいいかなぁ」
「そう……」
そう彩月が言った瞬間。
『ガタンッッッッッ』
俺の後ろのドアが大きく音を立てて揺れた。
「ん!? 今ドアが揺れなかったか?」
「気のせいじゃないかな、ほら。誰もいないし」
「彩月はでも、その位置からだと見えてたんじゃないか?」
「ううん、誰もいなかったよ。そこには、誰も。私だけが、ここにいるよ……」
彩月はそんなことを、恥ずかしさと切なさの混じった声で言うのだった。
「そうか……」
薄暗い空き教室のなかには、秒針の音と、2人の微かな呼吸の音しか響いていなかった……