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存在理由


「お前どう思う? 冒険者ギルドに所属してると受けられる補助に関して」



 てくてくと次の目的地である冒険者ギルドへ向かって歩きながら、女騎士に問う。



「意味が解りませんね」


「一応、クズ救済って名目らしいんだけどな」


「しかし、この補助があったところで冒険者ギルドの所属員が健全化するとは思えません」


「そうだ、俺達も最初の頃はありがたがったがな。あいつらは国が補助してくれたから頑張って魔物を狩ろうじゃなくて、浮いた金で酒を飲もうという連中だらけだぞ」


「当初の目的で付けられた予算が適切に使われてるかの調査をしないまま、惰性で続けられているという事でしょうか」


「多分な。孤児院も最初は孤児数人で三ヶ月金貨一枚で間に合ったのかもしれん。結局その後の調査不足って事じゃないのか? もしくは何らかの利権が絡んでて、予算が別の所に流れて表面上は適切に処理されているとかな」


「そうですね、そのあたりはこちらでも調べておきます」



 てくてくと歩きながら、俺と女騎士がこの町の事で色々話しているが、エリナはご機嫌な顔で俺の腕に捕まっている。

 何か意見を出せとは言わないが、せめて少しでも聞いてくれアホ嫁。



「んで、俺の最大の疑問がこれだ」



 目の前には冒険者ギルドと、その両隣に暗殺ギルドと盗賊ギルドの建物がある。

 クズゾーンだ。



「はあ」


「何なんだこの暗殺ギルドと盗賊ギルドとやらは」


「国の暗部という事らしいですが」


「潰せ」


「い、一応調査しておきますね」


「何の調査が必要なんだよ、どう考えても不必要どころか害悪しかない組織だろ。潰せ」


「申し訳ございませんトーマ様。建前上、国の要請で領主は各町のギルド運営を支援しているという体ですので、せめて調査をさせて下さい。問題点を洗い出し、必ずや父に進言いたしますので」


「早くしろよ、ついでにこいつらがどんな事をして運営しているのか、国からどれだけ貰ってるのかを知りたい。個人的な興味だが」


「お任せください、どちらにせよその情報は必要ですから」


「頼んだぞ」


「はい」


「存在自体は知っていたのか?」


「そうですね……」


「疑問には思わなかったのか?」


「国の暗部と言われて、それからは特に気にしておりませんでした」


「そういう所だぞ。少なくともお前の家からも金が出ているんだろうが」


「今回トーマ様からお話を伺うまで、一切気にも留めなかった自身の不明を深く恥じ入る次第です」


「お前みたいな立場の人間は、常に周囲に気を配って観察しなきゃだめだ。それこそ信頼のおける部下を使ってでも常に自領の状況を確認しろ。クーデターが起きてからじゃ遅いんだぞ」


「はっ、肝に銘じます」



 女騎士に釘を刺し、冒険者ギルドに入る。



「こんにちはー!」


「ちっす」


「こ、こんにちは」


「いらっしゃいませ。トーマさんはロリコンでは無かったのですね」


「嫁じゃねーよ」


「わ、わたくしがトーマ様の妻などと、お恐れ多いです!」


「ではやはりロリコンなのですね」


「ロリコンでもねー」


「今日はお金を下ろしに来ました!」



 エリナが金を下ろしてる間に女騎士と掲示板を見るが、特に美味しい依頼は無さそうだ。



「トーマ様、冒険者への依頼というのはここにあるだけなのですか?」


「高ランク冒険者にしか紹介しない依頼もあるらしいが、基本はこれだけだな。薬草採取や魔物の素材買取には国から補助金が出て、ギルド員ならば少し割り増しの金額になっている」


「これにも補助金が……」


「一応少しでも優遇策を取って、クズを一纏めに囲い込む為っていう名目らしい」


「なるほど、それならば納得はできませんが理解はできます。ただそれがどれほど効果をあげているのかは調査いたしますが」


「一応国としても、一纏めにしたクズな冒険者を定期的に間引いているし、そこはちゃんと機能してるとは思うんだが」


「間引いているのですか?」


「貨幣輸送馬車をわざと襲撃させたりしてるぞ」


「それは随分とわかりやすいですね」


「ただそれにどれだけの費用をかけているのかって所だわな」


「そうですね。時間はかかるかと思いますが必ず詳細を調べますので」


「期待してるぞ」


「ありがとう存じます! トーマ様のご期待に全身全霊を持ってお応えする所存です」


「お兄ちゃん、シルヴィアさんお待たせ!」



 出金処理を終えたエリナがうきうきで俺達に声を掛けて、そのまま俺の腕にしがみつく。




「じゃあ宝飾店だな。あそこは魔法石単体の扱いもあったし」


「はっ」


「はーい!」

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