シルヴィア <シルヴィアの挿絵あり>
「おねーさんおっぱいおおきいねー、わたしもおおきくなるかなー」
「えっ、いやどうでしょうか? 特に意識したことは無いので良くわからないのですが」
「さわってみてもいーい?」
「あ、どうぞ」
ミリィが女騎士の胸を触ってる。
あいつ食い物以外にも食いつくのか。
いや食い物だと思ってるのかもしれん。
ガキんちょどもや婆さんに紹介したが、割とすぐに受け入れられたようだ。
もちろん積極的に絡んでこないガキんちょもいるが、その辺はこっそり注意しておいたので大丈夫だろう。
ガキんちょにも丁寧語で接しているから慣れていないのかも知れないが、悪い奴ではなさそうだ。
「お兄ちゃん、シルヴィアさん良い人っぽいね!」
「まあ悪い奴では無いと思うけどな」
「兄さま、駄目ですよ!」
「何が?」
「シルヴィアさんは良い人だと思いますけど、兄さまのお嫁さんとしては認めませんからね!」
「いきなり何言ってんのお前。数日前にお前らは人殺しだーとか嫌がらせしてきたら殺すぞーとか言ってたんだぞ俺」
「そうですけど! 嫌な予感がします!」
「お兄ちゃん! 私も認めないからね!」
「あーうっさいうっさい。心配するな、貴族なんかが平民と結婚するわけ無いだろ。恋物語とかに影響され過ぎだぞお前ら」
「「むー!」」
「お前らみたいな可愛い嫁と婚約者がいるのに、わざわざ他に嫁を探す必要なんか無いだろ」
「お兄ちゃん大好き!」
「兄さま大好き……」
チョロい。大丈夫かこいつら。
「で、クレア、売り上げはどうだった?」
「ほぼ売り切れましたね、初日でこれなら明日はもっと増やしても良いかもしれません」
「お兄ちゃん、お弁当箱も結構売れたよ。アラン達が今お弁当箱を一生懸命作ってる。なんかすごく喜んでた!」
そういや女騎士をガキんちょ共に紹介した後はいつの間にか男子チームがいなくなってたな。
預かってる男の子ともすっかり意気投合して一緒に行動してるようだし。
今現在女騎士に絡んでるのが女子チームだけなんだな。
普段はあまり他人に絡まないハンナやニコラも女騎士にはすぐ懐いたようだ。
服屋にはビビって泣き出してたのに。
預かってる子らもすぐ懐いたし子供受けするんかな女騎士は。
というかあいつらみんなで女騎士の胸を触ってるのはエリナのじゃ物足りないからなんだろうか。
いや単純にあそこまででかいのを見たことが無いから不思議がってるのか。
「塗りが必要だからすぐには売れないんだよな、弁当箱の在庫は十分なのか?」
「今日だけで二十個売れましたからね、まだ在庫は百個近くありますが、二、三日で無くなるかもしれません」
「プロに作って貰ったり既製品を買うのも手だけど、やはり男子チームの作ったものを売ってやりたいからな。弁当箱が無くなったら謝っておくか」
「お兄ちゃん、お弁当箱だけ追加で欲しいって言う人もいたよ」
「あーそうか、そういう要望もあるな。その時の弁当箱の在庫次第でそれは断っても仕方がないか。その辺は現場の判断に任せる。ある程度行き渡ったら新たに売れなくなるだろうしな」
「はい兄さま」
「ぱぱ! まま! えりなまま!」
「おーミコトーどうしたー」
「ミコトちゃーん、どうしたんですかー」
「ミコトちゃんは可愛いねー」
ずっと女騎士の足にしがみついていたミコトが戻って来てクレアの足にしがみつく。
俺はしゃがんでミコトを抱きしめようと両手を広げてただけに、スルーされてちょっとだけ寂しい。
「おねーちゃ! おねーちゃ!」
「女騎士の方に来いって事かなこれ」
「そうかもしれませんね」
「ぱぱ! だっこ!」
「よしよしおいでーミコトー」
「あい!」
ミコトを抱っこして女騎士の方に行く。
女騎士は一切抵抗しないから先程からミリィ筆頭に揉まれ放題だ。
「お兄ちゃん! 私すぐにばいんばいんになるからね!」
「諦めろ、無理だ」
「ぶー!」
「俺はそのままのエリナが一番可愛いと思うぞ」
「えへへ!」
「俺はチョロいエリナが大好きだぞ」
「私もお兄ちゃん大好き!」
「あ、トーマ様! すみません、お話を伺うと言っておきながら」
「いや、ガキんちょどもに懐かれてたんなら仕方がないし、こっちとしても助かるから」
「そう言って頂けるとありがたいです。それにしてもミコトちゃん凄く可愛いですね。こんな子が……」
「こういう子が出ないようなシステムを国や領主に作って欲しいんだよ。ミコトの場合は特殊だが、貧困で子供が育てられないとか、子供の世話で働きに出られなくなって生活に窮している家庭とかを救済するようなものをな」
「はい。あの時のトーマ様のお怒りの理由が少しだけわかった気がします」
「もっと大々的に、育てられないなら孤児院で受け入れますと周知しても良いんだが、それも今まではできなかった。今いるガキんちょでいっぱいいっぱいだったしな。ま、色々見ていってくれ、俺とエリナの稼ぎで大分マシになったが、預かっている子供たちの家は結構大変な状況だしな」
「これから勉強させて頂きます。よろしくお願い致しますトーマ様」
「ああ、俺に何が出来るのかはわからんが、子供たちを見て、話を聞いてやってくれ。こいつらの声は、今まで全く上に届かなかったんだからな」
「はい」
「では兄さま、そろそろお昼にしましょうか。アラン達を呼んできて貰っていいですか?」
「わかった。じゃーミコトー、パパと一緒に裏庭に行くぞー」
「あい!」
「姉さま、温めるのと配膳のお手伝いをお願いしますね」
「任せてクレア!」
「クレア様、わたくしもお手伝い致します」
「あ、はいシルヴィアさんもよろしくお願いしますね」
「お任せください」
昼飯はビュッフェスタイルだった。
露店で使ってるでかい器に、朝売ってたパスタやサンドイッチに、いくつか種類を追加して並べた。
簡単だけど野菜たっぷりスープもある。ブイヨン様々だな。
確かにこの方が売れ残りが出た場合でも対応できるし、売り切れそうになった場合は、昼用に用意しておいた分をすぐに追加出来て効率が良い。
和気あいあいと皆で食べられるから、預かってる子らが遠慮しないようにさえ気を付ければ馴染むのも早いだろう。
女騎士も味に驚いていたようだ。
美味しいです! とやたらとクレアを誉めていたし。
まあ貴族が食べるような高級料理じゃないし初めての味かもな。
原価とか安いし。




