気付いた気持ち
「俺の荷物とか装備ってどうなった? ナイフとか籠とか籠に入れてたリヤカーとか」
「ナイフは胸甲とかと一緒に治療院に置いてあると思うよ。籠はあの待ち伏せしてた場所のままだね」
「装備も無いし、外に出るのはしばらく良いかなー。地竜討伐の報酬が貰えればだけどな。無かったらダッシュエミュー狩りで稼ぐしかない」
「そうだねー、襲ってこないから安全だしね」
「そうですよ兄さま、もう危ない事はしないでください」
「クレアがわーーんって泣いたのちょっと可愛かったぞ」
「可愛かったですか⁉ じゃあ結婚してください兄さま!」
「良いぞ、クレアが十五歳になった年の六月一日だけどな」
「ですよね……えっ! 兄さま!」
「クレア! 良かったね!」
「ありがとうございます姉さま! 兄さま本当に良いんですか? もう嘘だって言ってもダメですよ!」
「あ、すまん」
「ダ、ダメです! もうダメです!」
「違う違う、そうじゃなくて」
俺はエリナから腕を抜きクレアを軽く抱きしめる。
エリナはすでに分かっていたようでにこにこしてる。
「クレア、妹としてももちろん好きだが、女の子として好きだ。まだ先だが、俺と結婚してくれるか?」
「はい! 兄さま! 嬉しいです!」
「ごめんな、もっと雰囲気の良い時に改めてもう一回言うから」
「いえ! すごくうれしいです! 今の一回だけで十分です!」
「いや、それじゃ俺の気が済まないんだ。すぐじゃなくてもう少しクレアが大きくなったらだけどな。それまではもうキスは駄目だからな」
「良かったねクレア! お兄ちゃんってやっぱり優しいよね!」
「兄さま大好きです!」
「クレア! お兄ちゃんね、地竜から逃げる時にずっと、クレアが待ってる、クレアが待ってるって言ってたんだよ」
「兄さま……」
「ああ、クレアが待ってるから早く帰ろうって言ってたのは覚えてる」
感極まったのか抱き着いてくるクレア。
明らかにもうエリナを超えてるな。
もちろん結婚した後じゃないと確認できないが。
「今回の件で改めて理解したんだよ。エリナもクレアも大事なんだって。それに本気で怒って心配して泣いてくれただろ。ちゃんとクレアの気持ちに応えなきゃって。俺もクレアの事を女の子としてすでに意識してたんだなって今回の件で自覚もしたしな」
「お兄ちゃんありがとうね!」
「何言ってんだ、俺みたいなヘタレの事を好きになってくれたエリナとクレアにこそありがとうだぞ」
「えへへ、兄さま……だいすき……」
涙声で甘えてくるクレアが可愛い。
こいつも甘える相手が俺やエリナくらいしかいなかったからな。
ずっと良いお姉ちゃんで委員長だったし。
『ペッ!』
「ほら、独身のブサイクなおっさんが俺達に嫉妬して、道端にツバ吐いてるからちょっとおとなしくしような!」
「はーい!」
「はい兄さま!」
『またかよあいつ』
『なんで往来でいちゃついてんの?』
『嫁二人目かよ、死ねばいいのに』
冒険者ギルドが近づいて来たので付近をうろつく連中のクズレベルが上がって来た。
モテないおっさんの嫉妬なんか無視だ無視。
「よしじゃあ移動再開するぞ」
「「はーい!」」
あれ? クレアは大人びてる子だと思ってたけど婚約したら幼くなった?
いや、浮かれてるだけだろ。
そんな事を気にしながらてくてくと嫁と嫁(予定)と歩いていく。
「そういや時間もわからん。チ〇カシ焼損したし」
「お兄ちゃんの宝物だったんだよね。お兄ちゃん可哀そう」
「代わりにならないかも知れませんが、わ、私が兄さまの宝物の代わりになりますから! いつでも時間を聞いてください!」
「クレアもエリナももう俺の宝物だよ。チプ〇シ以上のな」
「兄さま……」
「お兄ちゃん……」
『まだやってんのかよ』
『頭沸き過ぎだろ、周り見ろや』
『嫌がらせだろ、通報しろ通報』
「あークズの嫉妬が心地いいわー」
「お兄ちゃんはなんていったってドラゴンスレイヤーだからね!」
「エリナもそうだろ、業炎球の連打も凄かったけど、あの赤光の魔法とか地竜に風穴空けてたしな」
「えへへ!」
『危険人物じゃねーか』
『ホラだろ、さっさとどこか行けや』
『通報しろ通報』
「魔法か、いいですね兄さまも姉さまも」
「クレアも調べてみるか?」
「良いんですか?」
「貴族は生まれてすぐに調べるって言ってたし、どうせ十五歳で調べるんだしな。料金もギルド登録より高いはずはないから大丈夫だろ」
「是非お願いします! 私も兄さまのお役に立ちたいです!」
「いや、狩りには連れて行かないぞ。というか魔法が使えなくてもクレアは経理や料理ですごく役に立ってるからな」
「クレアなら魔法が使えるよ!」
「お前アホみたいに根拠の無い事を言うな、いざ魔法適性が無かった時に大変なんだからな」
「兄さま姉さまありがとうございます。魔法が使える平民自体が珍しいって話ですし、魔法が使えなくても気にしませんから」
「まあ、まずは調べてからだな」
てくてくと冒険者ギルドに向かって歩いていく。
もしクレアに魔法適性が合ったら爺さんに魔力の励起をお願いしたいな。
協力魔法だかエリナ曰く夫婦魔法の件も相談したいし。




