治癒魔法 <カルルの挿絵あり>
料理が揃ったので配膳の準備を始める。
もちろんスープは鍋ごと持っていく。
あいつら二、三回はおかわりするからいちいち台所まで行くのはめんどくさい。
ガキんちょ一号と婆さんも準備に加わり、あっという間にテーブルに料理が並べられる。
リビングで俺の席に座ると、目の前の肉の塊に普段は礼儀正しく待っているガキんちょ共がそわそわしている。
「はいじゃあガキんちょども待たせたな、食って良いぞ」
「「「いただきまーす」」」
「この挨拶って仏教由来なんだっけ? どんな変換すればこの挨拶になるんだよ」
「お兄ちゃん、ソースの説明!」
「そうだった。ハンバーグには塩胡椒か、テリヤキソース、デミグラスソースをかけて食ってくれ。ハンバーグのおかわりはないからな!」
「「「はーい」」」
「良い返事だぞ弟妹ども」
「おにーさん、これすごくおいしー まっしゅぽてとみたいだけどちがうよねー? なんていうのー?」
「早速食いついたなボブカット。ポテサラっていうんだぞポテトサラダの略な」
「ぽてさらおいしー、びっくりしたー」
「そかそか、ハンバーグも食えよ。プロの味だぞ」
「お兄ちゃん、ぼぶかっとじゃなくてミリィって呼んであげてよ」
「わかったわかった。ミリィは良く食べて偉いぞ。俺のポテサラ少しやるからな」
「ありがとー、おにーさんだいすきー」
「ミリィは食い物くれる奴に懐きすぎだぞ。外に出た時、食べ物あげるって言う奴に簡単について行きそうで怖い」
「おっちゃん、てりやきそーすかけたハンバーグがすげーうめー」
「もうお前はそのままで良いよ。デミグラスも美味いから試してみろ。俺のハンバーグちょっと分けてやるから」
「おっちゃん、ありがとな!」
「兄ちゃん、ぽてさらってすげー美味いのな」
「だろ? 俺の好物なんだよ。手間は少しかかるけど安くて美味いしな。一号にも俺のポテサラ少し分けてやるよ」
「兄ちゃんありがとうな!」
「にーちゃん! これおいしい!」
「おーそうか、カルルもポテサラ気に入ったか。兄ちゃんの分少しやるからな。いっぱい食えよ」
「にーちゃんありがと!」
「カルルは癒しだなー、お礼がちゃんと言えて偉いぞーカルルー」
「あい!」
「お兄ちゃん、スープ凄く美味しいよ!」
「親父の店のブイヨンのおかげだな。俺も味見してみたが過去最高の出来だぞ」
「ぶいよん!」
「お兄ちゃんのモチベ激上がりだわ。最高の妹の仕事をしたぞエリナ」
「わーい!」
いつものように賑やかな食事タイムだ。やっぱ楽しく飯を食うのって良いな。
飯も食い終わったみたいだし、予定通りガキんちょ共を治癒しちゃうか。
「おーい、カルル、飯たくさん食べたか?」
「あい! にーちゃん!」
「よしよし、良い子だ。ちょっと湿疹を治しちゃうから抱っこするなー」
「あい!」
カルルが可愛い。
カルルを抱き上げてエリナの側まで行き、カルルの湿疹の箇所を見せる。
「エリナ、ここなんだが頼めるか?」
「まかせて! カルルーちょっと触るねー」
「あい!」
「治癒!」
エリナの手がカルルの患部に触れると湿疹があっという間に消えてなくなる。
「エリナありがとう! カルル治ったぞー!」
「あい! かるるなおった!」
「良かったなー、痒かったもんなー、カルルー」
「あい!」
「エリナ、魔力どれくらい減った?」
多分よくわかってないであろうカルルを抱きしめながら、エリナの魔力消費量を確認する。
20%とか減ってたら数日に分けて治癒する必要があるな。
「1%しか減ってないよお兄ちゃん」
「え、それだけ? じゃあ今ガキんちょ全員に治癒やっちゃうか」
「わかった!」
エリナが次々とガキんちょどもに治癒をかけていく。
これで病気の心配がなくなるからあとは飯だな。
勿論魔法も万全じゃないし、癌とか重度の内臓疾患などには効果が無いらしい。
それでも薬さえ、金さえあれば治せたのに、なんて病気が無くなるだけでも素晴らしい事だ。
あとはガキんちょどもが毎日腹いっぱい食べられるようにたくさん稼がないと。
「お兄ちゃん終わったよ!」
「よし、じゃあ女子チームはリボンを結んでやるから自分のブラシを持って順番に並べー。色は四色しか買ってないから早いもの順だぞ。喧嘩しないで順番を決めるように」
「「「はーい」」」
「エリナは俺の横でリボンの結び方を覚えるように、こいつらの世話はエリナの役目だからな。あと鏡持って来てくれ。婆さんは並んでもリボンは買ってないから諦めろ」
「うん!」
嬉しそうにダッシュで鏡を取りに行くエリナに引き換え、しょぼーんと列を離れる婆さん。
意外とお茶目なのな。
ついでに婆さんにカルルを預ける。しばしの別れだ俺の癒し。
「お兄ちゃん鏡持ってきた!」
「じゃあ始めるか。最初のガキんちょー」
「はーい。おにーさん、よろしくおねがいしますー。あのね、ぽてさらだけじゃなくて、すーぷもはんばーぐもおいしかったよー」
「そかそか、ミリィは食い物の話ばっかだな。好きな色とかあるか? といっても四色しかないからこの中から選べ」
「どれでもいー、おにーさんがわたしににあうのをえらんでー」
「んー、ミリィは銀髪だから黒が良いかな?」
「じゃあくろでー」
「どんな髪型か希望はあるか?」
「おねーちゃんといっしょのがいいー」
「ミリィの髪は短いからショートツインテールになるけど良いか?」
「うん」
ブラシを受け取り、ミリィの髪をショートツインテールに結わう。
エリナと同じように大きめの蝶々結びだ。
エリナがふんふんと一生懸命に見て学んでいる。
冒険者ギルドの薬草採取依頼の内容を覚えさせる時に記憶力が良いみたいな事言ってたし大丈夫だろ。
出来上がった片方がぴこぴこ頭の横で動いてて可愛いな。
「ほれ出来たぞ。エリナ鏡で見せてやれ」
「はい、ミリィ! すごく可愛くなったよ!」
「わー、すごくかわいー、おにーさんありがとー」
「おう、と言っても風呂に入る時には解いちゃうし、風呂上りはリボンで結ぶの禁止だからな」
「うんー、おにーさんだいすきー」
「お兄さんミリィが食い物以外で食いついたのにびっくりしたよ。はい次のがきんちょー」
並んでる順番をよく見ると、小さい子を優先してあげてるんだな。
マジで良く出来たガキんちょどもだわ。
残りの三人にもリボンを結んでやる。
何故かみんなツインテールを希望した。
髪の長さが全員違うから色んな長さのツインテ天国になってしまった。
「エリナちょっと来い」
「何? お兄ちゃん」
無防備にぽてぽて近づいて来たエリナのリボンをほどく。
「あー何するのお兄ちゃん!」
「みんなツインテにしたからお前をポニーテールにしてバランスを取るんだよ」
「ぽにーてーるも好きだから良いけど、ちゃんと言ってからリボン解いてよ」
「うっさい、良いから座れ」
「はいはい」
「お兄ちゃんは返事にはうるさいんだぞ」
「はーい!」
エリナの髪をポニーテールにする。余ったリボンも一緒に結んで豪華にしてやる。
「よし、これで良いか」
「わっ! お兄ちゃんこのポニーテール、リボンが増えたおかげでもっと可愛くなったね!」
手鏡で自分の髪型を見たエリナが驚く。
「じゃあ今後お前がポニテにする時はリボンを二本使うか」
「うん! うん!」
「おにーさん、わたしもぽにてにしてー」
「「「私も!」」」
結局風呂の時間になってリボンを解くまではポニテ天国になるのだった。
明日はエリナをおさげにしてやるか。
三つ編みでもいいな。




