奴隷を買おう!
「今やっとスライム討伐の推奨ランクがDなのかがわかった気がする。」
「そうですか。…頑張ってください。」
今日俺たちが受けた依頼はスライム討伐の依頼。ゴブリンと同じくRPGではおなじみのモンスターでとにかく弱いことが多い。実際先ほど戦ったときにはゴブリン未満の攻撃力に攻撃速度、移動速度で俺をあきれさせるほどだった。しかしスライムの恐怖は別のところにあって…
「こんにゃろ!早くくたばれ!あいて噛むな!ああもう!」
すぐに分裂して繁殖すること。そして今俺たちの前には数え切れないほどの多くのスライムたちがいて、俺らを手こずらせている。二人とも全く範囲攻撃が使えないので、ちまちま一匹一匹ずつ倒していかなくてはいけなかった。結局最後のスライムを倒しきったときにはもう夕日が沈みかけていた。今日はどうやら宿に泊まることになりそうだ…
次の朝テスラと出会った後、
「やっぱり魔法使いとかほしいな…」
「そうですね。しかしうちのような弱いパーティーに魔法使いの募集をかけても誰かが来るとは思えませんね。」
魔法使いになるのは生まれた頃から素質がある少数の人数だけで、前のパーティーにいたあの女はテスラによると最弱の火魔法しか使えない弱い魔法使いだったらしい。
「しかし後々魔法使いは必要になってくるよな…どうすりゃいいんだか。」
「しかたありませんね。あまりあそこの雰囲気はよくないのですが…そこに行けば魔法使いがパーティーになってくれるかもしれません。」
「?どこが当てがあるのか?」
「はい。奴隷商人のところに行けばもしかしたら魔法使いの奴隷がいるかもしれません。」
おお。やっぱり奴隷とかいるのか。わくわくするな。
「…顔がにやけていませんか?」
「ソンナコトナイデスヨ」
「そうですか。」
おっと危ない。顔がにやけていたようだ。確かに不謹慎だな。
村から馬車で揺らされること一時間(くらい)、奴隷館のある町に到着した。奴隷館の中に入ると、何かの香水のにおいがいやと言うほど鼻を突いた。
「いらっしゃいませ。本日はどうされました?奴隷の購入ですか?それとも…売却?」
やせためがねの男がテスラの方を見ながら笑っている。テスラはそれに対抗するようににらみ返した。
「おお怖い怖い!冗談ですよお嬢さん。かわいいお顔が台無しになってしまいますよ?」
うーん。やっぱりこういう感じのやつは好きになれないな。好きになろうとも思わないけど。
「魔法使いの奴隷を購入したいんだけど。」
「そうですかそうですか!ところで予算はどのくらい…ああ、そのくらいあればそれなりの奴隷は買えますね。」
銀貨の入った小袋を見せると奴隷商人は納得し様子で俺たちを館の奥へと招待した。館の奥は薄暗く、サイドにある檻の中に老若男女関係なく奴隷が入れられていて、部屋に入ったとたん無数の目がこちらを向いた。
「おいおまえら。並べ並べ!」
奴隷商人の一声で、部屋にいたすべての奴隷が一列に並んだ。
「それで今日はどのような奴隷をお求めでしょうか?」
「魔法使いの奴隷がいるなら見せてくれないか?」
「魔法使いですか…少しお待ちください。」
しばらくして、三人の奴隷を連れて奴隷商人が戻ってきた。
「こちらの三人が魔法使いです。こちらが証明書でございます。」
俺は三人の奴隷を見る。三種三様の見た目をしているなかで、やはり一番最初に目が行くのは真ん中の狐の亜人だろう。一番強そうだし胸も大きいし顔もきれいだし。証明書を見るとやはりステータスも三人の中で最も高く、氷属性の魔法と状態異常系の魔法が使えるらしい。
「彼女はいくらだ?」
奴隷商人に聞いてみる。
「お目が高いですな。彼女はこの店で一番上等な奴隷でして、彼女だと金貨三十枚になります。」
やはり想像していたようにものすごく高い。想像以上に高い。
「もし現金がないのであれば一週間待つこともできますが。」
奴隷商人の提案も魅力的だが、それでも一週間でその代金を用意するのは難しい。あきらめてほかの奴隷を見てみることにした。
二人目は…うん。却下。ていうかゴリラの亜人っているんだね。しかもゴリラでもゴスロリのドレス着るんだね。…忘れよう。
三人目は、日本でいったら小学3年生くらいの少年で、頭と左目に包帯をぐるぐる巻きにしていた。奴隷商人曰く、ステータスは高いのだが、怪我をしていることと相次いで飼い主が顔を真っ青にして返品してくることから、相場よりかなり安くなっているようだ。
「…その奴隷を買っても、私は一切責任を負いかねませんので…」
ほかの奴隷を見ているときは猛烈なセールストークをしてきた奴隷商人もこのようにいっている。テスラにアイコンタクトを送って、彼女の意見を聞いてみる。
「よくわかりませんが、とりあえず購入して、それで何か問題があれば返品すればいいんじゃないでしょうか。」
模範解答のようなものが帰ってきた。
「すみません、この奴隷ください。」
この日、俺は奴隷の主人となった。
生きてるよー




