テンプレ回収率5%
茶番は終わりだ
「…ふんっ」
「キャイン!!」
無事今回の討伐対象であるシルバーウルフを倒すことができた。
「怪我はしていませんか?」
「おお、大丈夫そうだ。」
テスラが仲間に入ってからというものの、ヒーラーがいる安心感が増えた。後あんまり人を持ち物みたいに言いたくはないが、二人いるため持つことができるものが増えた。単純計算で二倍になったのだ。
「もう少し狩ったら引き上げよう。」
この辺にいるモンスターたちはもう知り尽くしている。最弱のゴブリンに、先ほどのシルバーウルフ、ほかにもビッグマッシュ(でかいきのこ)やコットンラビット(めちゃくちゃふわふわのウサギ)。そして、
「うえー。またあいつがいるよ。」
「やはり魔法使いがいないというのは厳しいですね。」
俺たちの目線の先にいるのは、ハロウィンでも何でも無いのにカボチャをかぶっているモンスター。名前をレッサーパペットという。攻撃力はさほど高くはないのだが、面倒なことにふわりふわりと逃げながら火属性の魔法を放ってくる。そのくせしてこちらが逃げるといつまでも追いかけてくる。さらに警戒心が高いため不意打ちすることもできないものすごくめんどくさいモンスターなのだ。こいつを倒す方法は二つ。ひとつ、こちらも魔法で対抗する。あいつは水属性の魔法に弱いらしい。もう一つはごり押しでぶっ飛ばすこと。俺もテスラも攻撃魔法を使うことができないため、必然的に二つ目の方法になる。
「やーいやーいびびってやんのー」
レッサーパペットは俺の煽りに引っかからず冷静に魔法をうってくる。なんとか回避。その隙に後ろに回り込んだテスラが銅の剣で殴りつける。しかしレッサーパペットはきれいに回避する。まあその隙に俺がぶっ飛ばすんだけどね。
「??!!―――ッ」
突然のことにレッサーパペットは反応できず、体を真っ二つに切られた後光の粒子になって消えていった。
「一匹倒すのにこんなに手間をかけなくてはいけないなんてな…」
独り言のようにつぶやく。
「…帰るか。」
テスラに一声かけた後転移魔法で帰る。最近はテスラも俺の使う転移魔法になれてきたようだ。もうびっくりもしない。
「エレナ様の婚約者が決まったらしいぞ。」
「なんでも彼女を盗賊から守ってくれた若者らしい。」
ギルドで換金をしているとそういう噂が流れていた。まさか盗賊襲撃イベントと貴族との出会いをどちらも逃してしまうとは。先輩冒険者にからかわれるイベントも結局ないし強敵をワンパンで倒して驚かれるイベントも返り討ちにされたしテンプレを全く回収できていない。せいぜい仲間を一人増やすことで精一杯だ。




