プロローグ
パンパカパーン!
アホみたいな音がして目が覚めた。広がる景色どこまでいっても真っ白で、何も見えない。
《おめでとうございます!》
「あ〝?」
頭の中に何かウィンドウメッセージが浮かぶ。なぜウィンドウが浮かぶのかと疑問に思うだろうが?とか、ここはどこ?とか普通はパニックになるはずなのに、そういう気持ちには全くならなかった。その代わりに出た言葉は、
「うぜぇ。」
その一言だった。
《うざいとは心外ですねー。私、何かしましたか?》
「何普通に受け答えしてんだ。ここはどこだよ。」
《えーこの度あなたは転生されることになりました。》
質問に答えろやゴラァ。
《お前さぁ…こっちが下手に出たら何つけあがってんの?自分の立場を考えたら?》
そうウィンドウにでた瞬間、今まで真っ白だった目の前がだんだん暗くなっていく。
あ、これはやばい。俺の野生の勘がそういっている。ここは素直に謝っておいた方がいいな。
「すいません。何しろ突然のことだったのでどういう態度をとったらいいのかがわからなくて…」
《ふーん、君はいつも初対面の人に対してそうやって威嚇するんだ。》
「いや、そういうわけでは…」
《ま、いいや。君のことなんて興味ないし。》
いちいち腹立つなこいつ。
《わかってますよ、あなたが考えていること》
「…すいません」
《まぁいいです。本題に入ります。》
そうやって元の口調に戻った。視界は元に戻らないけど。
《えーこの度あなた、クリダ・リョウヘイ様は死んでしまいました。16年の短い命でした。》
「そうなの?よく覚えていないや。」
《いちいち死んだ時のことを思い出されて発狂したりパニックになられたら困りますからね。》
たしかに今死んだと聞いてもあ、そうなんだ。と、他人事にしか感じられない。
「ところで俺はどうして死んだの?」
《信号無視の車にドガーンと即死。いやーお気の毒でしたねぇはい。》
「なんで俺はここにいるの?」
ラノベとかでよくある俺の死は間違っていてーとかいうやつだろうか。
《よくぞ聞いてくれました。あなたがここにいる理由はですね…抽選で選ばれたからです!》
「ちゅうせん?」
《そうです。抽選です。我々天界の人々はたまーに気まぐれで抽選会をします。抽選で選ばれた魂は新たな体を手にして、転生するのです。》
「つまり俺はこれから転生するの?」
《したくなければしなくてもいいですけど…》
「したいしたい!してみたいです!」
《ま、そういうと思ってましたよ。それでお約束のチートスキルを差し上げますよっと。好きなの3つ選んでねー。》
その時新たなウィンドウが現れた。そこには色々なスキルが書かれていた。
「えーっとなになに。【変幻自在】に【魔力無限】…」
そこには少なくとも100個以上のスキルが並んでいた。悩みながらも3つのスキルを選択する。
《えーっと【経験値30倍】に【転移魔法】と【⁇?】ですね。》
経験値30倍は文字どうりそのままの効果がある。転移魔法もこういう異世界ものでは欠かせない。後のもう一つは好奇心だ。チートスキルなので悪いものではないと思う。
《…はい、では転生準備が整いました。じゃーねー。》
「えっ、ちょっとまだ聞き足りないんだけど…」
そんな俺の言葉も届かず、意識がゆっくりと遠のいていった。