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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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生命の泉。


「…凄まじいですね…」



パルメは驚きを通り越し呆れてさえいた。


自分がアイリスを連れて来てからまだ数十分しか経っていない。

にもかかわらず川は既に元の状態を取り戻しつつあった。


水源は勿論浩二だ。



「んー…あと3上げればMAXだな。」



疲れた様子など微塵も感じさせずステータスで『水魔法(見習い)』のレベルを見ながら、翳した右手から溢れ出す様に噴出する水を川へと送り込んでいる。



「…あの…コージ様…?大丈夫…なんですか?」



後ろからパルメの隣で浩二の水魔法を見ながら、アイリスが心配そうに問いかける。



「ん?何が?」


「いや、ですからそんなに続けて魔法を使ってしまって…大丈夫なのかな…と。」


「あぁ、うん大丈夫。後数時間位ならこのまま続けられるよ。」


「「数時間!?」」



話を聞いていたパルメまでもが驚愕する。


浩二自身は数時間と口にしたが…実の所、この程度の魔法ならば明日の日が昇るまで使い続けても浩二の精神力の半分も消費しないだろう。

更に『水魔法(見習い)』のレベルがMAXになれば、今と同じ事を10分の1の消費で出来るようになるのだ。


精神力の自然回復を加味すれば恐らく浩二の寿命が尽きるまでここで水源として働いても全く問題は無いレベルである。


しかし、未だに浩二の中では「自分は魔法が苦手」という意識があり、正確な精神力の上限を自分自身でも把握していないのだ。



「…流石は最上位種…と言った所ですね。」


「さ、最上位種!?コージ様が!?」


「あぁ、貴女は知りませんでしたね…とは言え、私が知ったのもつい先程なんですが。彼はドワーフの最上位種「エルダードワーフ」です。」


「………」



最早驚きで声も出ないアイリス。

自らが生きている間に最上位種と出会う等とは思ってもみなかった様だ。


それもその筈。

この世界に上位種と呼ばれる個体は数十体程だと言われている。

更にその上となる最上位種ともなれば、確認されているだけで数体しかいないと言われ、その殆どがこの大陸の中央に聳え立つ大山脈の頂きに住む『龍種』である。

普通に生活していればまず出会わない存在なのだ。


その存在が、今目の前でせっせと川の水源をしているのだから笑えない。


そして、その存在は二人の考えなど何処吹く風、新たに驚くべき行動に出た。



「うっし!レベルもMAXになったし、作りますか。」



浩二は『水魔法』を覚えた事を確認すると川の水源をやめて右手で魔核を三つ作り出し、そのうちの一つを徐に地面へと落とす。


すると、地面が輝き出し5m程の岩山が迫り出してくる。

その中腹には大きめの穴が空いており、浩二はその穴に残り二つの魔核を投げ込んだ。

やがてその穴から光が溢れ出した次の瞬間、浩二が出していた水の倍以上の水量の水が噴き出す。


水は地面へと降り注ぎ、やがて枯れた川へと流れ込む。



「うん、水量はこんなもんで良いかな?パルメさん、どうです?」


「…え?…あ、はい。問題ありません。」


「良かった。もし、水量が足りなかったり多かったら何時でも言って下さい。直ぐに調整しますので。」


「…えーと…コージ様…この水は何処から…?」


「あぁ、説明しますね。この岩山っぽいのは魔道具です…名前はありませんが。この魔道具が周囲から魔素を急速に集めて水魔法で水を出し続ける仕組みになっています。ですから、魔素が無くならない限り半永久的に水を吐き出し続けます。」


「…半永久的に…こんなに綺麗な水を…?」



魔法で作られた水は不純物を含まない為、川の水より遥かに衛生的だ。

生活用水に使うのであればこちらの方が良いだろう。



「…美味しい…」



パルメは水嵩の増してきた川の水を手で掬い口に運ぶ。

良く冷えた口当たりのい水。

今迄の川の水は煮沸しなければとても飲めるものでは無かった。

それがこれからは何時でもこの綺麗な水が飲めるのだ。



「後、川の出口も塞がっている筈ですからそっちには小さめの溜池を作って残りの水は魔素に変えて大気中に放しましょう。そっちも後からチャチャっとやっちゃいますから。でも今は先に…」



浩二は泉を指差す。



「泉を直しちゃいましょう。」



と軽く言い放った。


パルメもアイリスも、ここまで来るともう言葉にならない。

今までの常識が全く通用しない相手なのだ。


浩二は枯れた泉の中央に立つと、新たに作り出した魔核を足元に落とす。

すると今度は硬そうな白い石が地面から生えて来る。

その高さ2m程の白い石は徐々に形を変え…二人も見た事のあるある人物の姿を取る。



「…ミラルダ…様?」



そう。

その姿はこの街の長、ミラルダの姿だった。

身体に布を巻き肩に水瓶を担いでいる…若干本人より知的に見える。



「はい、そうです。…で、こうして…っと。」



浩二は石像の担いだ水瓶に水魔法と魔素急速収集の魔核を放り込む。

やがて、先程の岩山の様に水瓶から光が溢れ、そして光が収まる頃、綺麗な水が流れ落ち徐々に泉が綺麗な水で満たされてゆく。


いつの間にか空に浮かんでいた月がその光で泉をキラキラと照らし、なんとも幻想的な光景を生む。



「うん!なかなか良いじゃないか。」



水面に反射する月明かりを受けるミラルダ像にご満悦の浩二。

そして気を良くした浩二は更にやらかしてしまう。


右手に新たに作った魔核を握ると、浩二は魔核の許容量ギリギリまで生命力を込め始めた。

高純度の魔核は浩二の生命力をどんどん溜め込みやがてもう一つの太陽と言わんばかりに光り輝く。



「んー…これが限界かな?」



小さな太陽を掌でコロコロしながら呟く。

そして徐に水瓶へと放り込んだ。


辺りが静まり返る中、水瓶から溢れる水に変化が現れた。

キラキラと輝くそれはまるで見ているだけで心が癒される様な錯覚さえ覚える。



「…何をされたんですか?」



パルメは思わず口にする。

水質の明らかな変化に聞かずにはいられなかったのだ。



「俺の生命力を魔核に込めて水へと徐々に溶け込むようにしました。皆さんはここで水浴びするらしいので…少しでも心地よくと思いまして…」


「生命力を…泉の水に…?」



パルメは理解した。

浩二の行動をでは無い。


ミラルダの友人であるソフィア。

彼女がことある事にとるあのポーズ。



(確かに…こうなりますね…)



パルメは額を抑え首を振るのだった。

いつものソフィアの様に。

読んでいただきありがとうございます。

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