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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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浩二の評価。


「は、は、初めましてっ!コージ様っ!わ、私はアイリスと言いますっ!ど、どうぞよろしくお願いしますっ!」



十分と待たずにパルメが連れてきたアイリスという名のサキュバスはガチガチに緊張しながら浩二に挨拶をする。



「あ、はい。よろしくお願いします。早速ですが、一つお願いがあります。」


「な、何でしょうか…っ!」


「えーと、やっぱり二つにします。一つは取り敢えず落ち着いて下さい。」


「あ!すみませんっ!」



もう、既にパニクってるし。

浩二はアイリスに歩み寄ると、正面に立ち両肩に手を置く。

ビクッと身体を震わせるアイリス。



「大丈夫です。ゆっくり深呼吸して下さい。今から貴女にお願いするのは魔法を見せてもらう事です。こんな状態では上手く行きませんよ?…大丈夫…ゆっくり息を吸って…ゆっくり吐いて…」



浩二はアイリスが落ち着く様に務めて優しく語り掛ける。

更に右手から超微量の生命力をエナジードレインで送り込む。


目を閉じて深呼吸を繰り返していたアイリスもやがて落ち着いたのか、ゆっくりと瞳を開く。



「動揺してしまってすみませんでした…コージ様が私に用事があるって聞いた時はどうしようかと思いましたが…思ったより優しい方で良かったです。」


「…俺は単に水魔法を見せて貰おうと思っただけだよ…?誰に何を聞いたの…?」


「…えーと…森の見回りの娘達が…全員纏めて失神させられた…って。」



あー、そんな事もありましたねー



「アレは正当防衛です。」


「…後、サキュバスクイーンであるミラルダ様を一瞬で失神させた挙句、周りのサキュバス達も次々と失神させていったとか…」



あー、ありましたありました。



「大変不本意ですが…あれはミラルダさん推奨のサキュバスの黙らせ方だそうです。」


「そんなっ!?ミラルダ様がそんな事を!?」


「まぁ、ああでもしないと帰して貰えなかったもので…」


「は、はぁ…そうなんですか…」



どうしよう…何だか若干引かれている気がする。

実際全部本当の事だしな。


でも、このままじゃ埒が明かない。



「アイリスさん…でしたっけ?」


「あ、はい!」


「俺は基本的に平和主義なんです。出来れば何の問題も無く皆が幸せに暮らせればそれが一番だと思いますし。今回の魔物の大軍も、やる気になれば全滅させる事も出来ました。でも、例え魔物でも理由も調べずに皆殺しなんて真似したくなかったんです。だから壁を作って防御に徹しました。」


「………」


「まぁ、結果的にこうして川や泉を枯らしてしまって申し訳ないと思っていますが…」


「そんな事っ!」


「…だからお願いします…あんまり怯えないで下さい…これからする事はアイリスさんの協力無しでは出来ないんです。」


「…私…の?」


「はい。俺はスキルで他人の使った魔法やスキルを見真似して覚える事が出来るんです。ですから、今から貴女に水魔法を使って見せて貰いたいんです…良いですか?」


「…はい。私でお役に立てるのでしたら…」


「ありがとうございます。助かります。」



浩二は改めてアイリスに頭を下げた。



「そんなっ!頭を上げて下さいっ!」


「…ありがとう。」


「分かりましたからっ!それで…私はどうすれば良いですか?」


「えーと、そこの川だった溝辺りに水魔法で水を出して貰えますか?」



浩二は既に枯れて水が無くなってしまった川だった溝を指差す。



「…分かりました。」



アイリスは右手を前に翳すと目を閉じて集中する。

やがて翳した掌の前に水色の輝く球体が生まれたかと思うと、その球体から少なくない量の水が噴き出す。



「おお…!凄いな…」


「いいえ…そんな…」


「やっぱり魔法って凄いなぁ。何にも無いところからこんな量の水が出るんだから。」


「…コージ様…あの…そろそろ…」



そう言って少しフラついて来たアイリスを後ろから優しく支える浩二。



「ありがとうございました。お陰で『水魔法』覚える事が出来ました。」



浩二はステータスに『水魔法(見習い)』がある事を確認してアイリスにお礼を言う。



「アイリスさんはそこで休んでいて下さい。あ、少しドレインしますか?」



そう言って右手を差し出す。



「え!?あ、大丈夫です!少し休めば回復しますからっ!」


「…でも…フラついてますよ?」


「あのっ…私…下手ですし…」


「あぁ、成程…なら俺が譲渡しますよ。大丈夫です、極微量づつ流しますから。」


「…でも…」



少し上目遣いで遠慮をしているアイリス。

恐らく他のサキュバスから聞いた話を思い出し怯えているのだろう。


浩二はそんなアイリスの手を包み込む様に優しく握る。



「大丈夫です。俺は恩人に不粋な真似はしません。だから…貰って下さい。」


「…はい。…では、お願いします…」



アイリスはキュッと目を閉じる。



「そんなに緊張しないで…ゆっくりいきますから、キツくなったら言って下さいね?」


「…はい…っ!」



心の準備が出来たようなので浩二はエナジードレインを使いゆっくりと極微量づつ生命力を流し始めた。



「ん…っ!」


「あ、キツいですか…?」


「いいえ…びっくりしただけです。」


「良かった。なら続けますね。」



浩二は務めて優しく生命力を流し込んでゆく。

やがて、キツく瞑っていたアイリスの瞳は緩み、頬か赤みを帯びてくる。



「…コージ様…そろそろ…んっ…大丈夫…です…」


「はい。…どうです?回復出来ましたか…?」


「…はい。ここに来る前より…ずっと…」


「それは良かった。それじゃ、俺は作業を始めますね。アイリスさんは落ち着くまでゆっくりしていて下さい。」


「はい。ありがとうございました。」



アイリスのお礼に笑顔で応えると、彼女に背を向け早速枯れた川に向かい右手を翳す。



「先ずは見習いをレベル10まで上げないとな。」



そう呟いた浩二の背中をアイリスは何処か熱にうなされた様な瞳で見詰めるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

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