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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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ミラルダの誤算。


浩二とミラルダはソフィアに連れられてサキュバスの街の中央広場へと辿り着くと、そこには少なくない数のサキュバス達が集まっていた。

するとソフィアは直ぐに歩み寄り、早速話を始める。



「えーと…誰だったかしら?さっき問題があったみたいな事言ってたわよね?」


「あ、はい。私です。凄く言い難いのですが…」


「良いわ。些細な事でも構わないから言ってみて。」


「あの…完全に街が壁に覆われていて…壁の向こうに行くには飛ばなくてはいけないのかと…」


「あ!」


「…コージ…」



完全防御ばかりに気を取られて、出入口の事を失念していた浩二。

今のサキュバスの街は完全に陸の孤島だ。



「すみません!直ぐに出入口を作ります!…それで、どの辺に作れば良いですか?」


「…転移陣がある辺りでいいんではないでしょうか?一応獣道とは言え道もありますし。…ミラルダ様、宜しいですか?」


「良いんじゃないかしらぁ?」



代表して提案したパルメはミラルダに最終確認をする。



「…それで…どうします?門にするとか、洞窟みたいにするとか、あ、あとサキュバスが触れた時のみ出入口が現れるようにするとか…」


「そんな事出来るのぉ!?」


「え?どれです?」


「サキュバスのみに反応する様に出来るって奴よぉ!」


「ええ、出来ますよ。その場合は魔核に直接命令を刻みますから、壁の中の魔核全てに刻めはこの土壁にさえ触れれば出入口の場所は問わなくなります。」


「凄いじゃない!それでお願いするわコージ君!」


「了解しました。…えーと、それじゃサキュバスの誰か一人付いてきて貰えます?血が必要なんで。」



浩二の「血が必要」と言うワードにざわめき出すサキュバス達。

微妙に浩二との距離を取り始める。



「ん?…何でみんな…あぁ!血が必要って言っても数滴ですよ?魔核にサキュバスの情報を憶えさせるだけですから…そんなに怯えないで下さいよ…」



ちょっと悲しくなる浩二。



「なんだぁ…てっきり「生贄」が必要なのかと思ったわぁ。」


「怖っ!?生贄とかそんな怖い事しませんよ!」


「なら、私が行くわぁ♪」


「分かりました。それじゃ行きましょう!」



浩二は後に続くミラルダを連れだって土壁へと走り出す。


十数分後、浩二は辿り着いた土壁に右手を当てると目の前の土壁が小さく口を開き魔核を露出させる。

浩二は露出した魔核に手を翳すと、やがて魔核は淡い光を放ち始めた。



「それじゃミラルダさん。この魔核に血を一滴垂らして貰えますか?」


「ええ、分かったわ。」



ミラルダは左の人差し指を鋭い爪で軽く切ると、魔核に滲んだ血を一滴垂らす。

すると魔核に波紋が広がり、やがて波が収まった頃魔核の光もゆっくりと消えていった。



「よし。完了です。ミラルダさん、試しに壁に手を当ててみて下さい。」


「…こう?」



浩二に言われるまま掌で土壁に触れた途端、目の前に高さ1m半程の縦長の楕円形をした穴がポッカリと開く。

厚さ1m程の壁を貫通した穴を見ると、向こう側の景色が見えた。



「成功みたいですね。」


「…凄い…こんなにあっさりと…」


「もう一度近くの壁に触れれば穴は閉じます。」



ミラルダはポッカリと口を開いた穴のすぐ隣の壁に触れると、瞬く間に穴が閉じまるで何も無かったかのように元の土壁に戻ってしまった。



「うん、問題無いな。」



戻った壁を右手でコンコンと叩きながら確認する浩二。

そして振り返る。



「さぁ、次行きましょう!後2、30箇所はありますから!」


「…え?」



浩二の言葉に耳を疑うミラルダ。

この後、浩二とミラルダは壁沿いに数十km移動しながら次々と改良を加えて行った。


そして、ミラルダが浩二と一緒に居たいが為に付いて来た事を後悔したのは…壁の半分にも満たない頃だった。



□■□■



「あぁ~…疲れたわぁ~…」



帰って来るなり飛び付くようにソファーに寝転がりながら愚痴るミラルダ。


時間でいえば丁度夕暮れ時。

昼頃に広場を出たので壁の改良に実質5、6時間はかかった計算になる。



「ミラルダさん、お疲れ様でした。」


「もぉ…本当よぉ。まさかあの壁全部見て回るとは思わなかったもの…」


「まぁ、これで陸からの攻撃はほぼ防げますし取り敢えず一安心ですね。」


「コージ君とデート♪…なんて思って付いて行ったあの時の私を張り倒したいわぁ…」



ミラルダはまだまだ浩二に対しての認識が甘い様だ。


浩二は基本何かを始めたらその底無しの体力で休憩など考えず突っ走るのだ。

上位種だから疲れたぁ…位で済んでいるが、通常種ならばとうに倒れている。



「付き合わせてしまってすみません…」


「あー!そんなつもりで言ったんじゃないのよ?」



申し訳なさそうに謝る浩二に慌ててフォローを入れるミラルダ。

言ってしまえば今回の事に限ればミラルダの自業自得なのだ。



「あ!そうだ!ミラルダさん、今お腹空いてませんか?」


「え?それは確かに空いてるけど…」


「えーと、実験も兼ねて俺にエナジードレイン使ってみませんか?」



浩二のエナジードレインと言う言葉に疲れなど何処へやら、跳ねるようにソファーから起き上がる。



「良いの…?…でも実験って…」



流石に今日一日浩二に振り回されたミラルダは、多少警戒しつつも無意識に舌舐めずりをしてしまう。

それ程までに浩二の生命力は美味らしい。



「えーとですね、取り敢えず見て下さい。」



浩二は左腕に意識を集中する。

丹田で練り上げた気が左腕から霧のように立ち上ぼり、やがて腕に巻き付くように渦を巻き圧縮されてゆく。

そして出来上がる左腕のみの純白の鎧。



「…コージ君…?それは?前は黒っぽかったわよね?」


「ええ。種族進化して絶対魔法防御のスキルを手に入れてから、鎧が黒から白に変わったんです。…これはあくまで推測なんですが…今迄の鎧は気と精神力が混ざり合ったものだったのが、今は絶対魔法防御が精神力のみを遮断して気のみになったせいだと思うんです。」


「…気…のみ?」


「はい。言ってしまえば純粋な「生命力」の塊です。」



その言葉を聞いた瞬間、ミラルダの我慢が限界に達した。

読んでいただきありがとうございます。

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