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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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浩二の普通。


「上手くいったみたいで良かった。」



浩二は次々とマッドブル達を跳ね返す壁を見て満足気に頷く。



「…どうして…?」


「壁にする土を高圧縮したんです。魔核を使ってますから、一応この壁も魔道具ですよ。」


「…魔道具?…これが…?」



サキュバスの街をぐるりと囲んだ立派な土の壁を見てミラルダは呟く。

この規模の壁を見て誰が魔道具だと思うだろうか。



「俺のスキルで結構自由に魔道具を作れるんですよ。何だか作れる魔核もパワーアップしたみたいだし、込める命令も結構複雑な物で大丈夫みたいです。」


「…ふうん…なんて命令を込めたのぉ?」


「えーと、魔核に込めた命令は「土を圧縮して壁を作れ」と「壊れたら自動で修復しろ」です。」


「…成程ねぇ…ソフィアの気持ちが少しだけ分かった気がするわぁ。」


「え?」


「ううん。何でも無いわぁ♪それでぇ?この壁はどの位まで耐えられるのぉ?」



浩二はミラルダの質問に空を見上げ「んー」と唸りながら答えを探す。

そして満足のいく答えが見つかったのか笑顔で口を開く。



「大体グレートブル位なら無傷で跳ね返せますね。」



そう言って右拳で壁をコンコンと叩きながらニカッと笑う。



「…いや…え?」



ミラルダが聞きたかったのは壁がどれ位保つのかであり、決して強度の話をしている訳では無い。

しかし、浩二の口から出たのはとんでもないものだった。

グレートブルと言えば、突進力で言えば魔物の中でも随一と言っても過言では無い強さを誇る。

過去にあのシュレイド城でさえ、何度か城壁を崩された経験があるのだ。

その突進を無傷で跳ね返す?

ミラルダは気を取り直し本来の質問をぶつける。



「えーとね、コージ君。私が聞きたいのは、この壁が魔道具としてどれ位この形を維持出来るか…と言う事なの。」


「え?…あぁ、勘違いしてました。えーと、ずっとですね。魔核が破壊されない限りは周囲の魔素を集めて勝手に回復しますし。」


「…え?…ちょっと、コージ君…何を言って…」



浩二の洗礼をまともに食らうミラルダ。

今この場にソフィアがいたなら、優しくミラルダの肩に手を置き首をフルフルと振るだろう。

これがコージなのよ…と。



「あ!…壁が要らなくなったら言って下さい!直ぐに元に戻しますから!」



ミラルダの戸惑いを別な方向に勘違いした浩二は慌てて付け足す。



「そんな!このままで良いわ!…ごめんなさい、ちょっとびっくりしちゃって…効果の無くならない魔道具なんて聞いた事ないから。」


「あー、確かに魔道具って言いましたけど…厳密には「ゴーレム」なんです。この場合だと素材が土だからクレイゴーレムかな?ですから、自らを維持する為に周囲の魔素を燃料にするんです。手足は付いていませんが、魔核に刻まれた命令を遂行する立派なゴーレムです。」


「成程ねぇ、確かにゴーレムって言われれば納得出来る…かしら?」



性能や規模を考えれば決して只のゴーレム等とは呼べないが。



「ソフィアや人族組に作った武器も魔道具じゃなくゴーレムですしね。」



ミラルダの耳がピクリとする。

浩二の言葉を聞き逃さなかったミラルダは思い出す。

事あるごとに自慢して来るソフィアの『カグヅチ』の事を。

あのアーティファクトクラスの魔道具の事を。


口では大した事は言っていなかったが、正直羨ましかった。

しかし、ミラルダは性能が高いから羨ましいのでは無い。


浩二が作ってくれた物だから羨ましいのだ。

その個人を思い、その個人の為に作った物。


欲しい。


浩二が自分の為に作ってくれた物が。


こうなるともう我慢が出来なくなった。



「コージ君…私も…欲しいな…」


「…え?何をです?」


「…だからぁ…ソフィア達みたいな…私だけの…その…」



急に乙女になるミラルダ。

普段の振る舞いは何処へやら。



「…んー、あ!武器ですか?」


「…うん!武器じゃ無くても良いの!コージ君がくれる物ならどんな物でも!」


「はい、分かりました。ミラルダさんにはお世話になってますし、今度作って来ますね。」


「やったぁ!ありがとう!!」



満面の笑みで浩二の首に抱き着くミラルダ。



「うわっ!びっくりしたぁ…そんなに喜んで貰えるなら作り甲斐もあります。…でも…あんまり期待しないで下さいね…?」


「うん!コージ君大好きっ!!」



勢い余って浩二の頬にキスをするミラルダ。



「ミラルダさん!?」


「ふふっ、ソフィアにはナイショよ?」



浩二は突然の事にドキマギしてしまう。

反応に満足したのかミラルダはその隣で満面の笑を浮かべていた。



□■□■



浩二は取り敢えず壁の強度に問題は無いと確認した後街へと戻る事にした。

今度はちゃんと横向きにゲートを開いて。



「ただいま、ソフィア。」


「あっ!コージっ!何したのよあの壁っ!!」



お帰りを言う前に先ずは突っ込むソフィア。

気持ちは分かる。

突然十数mの壁がぐるりと街を取り囲んだのだ…ものの十数分で。



「あぁ、取り敢えず魔物の群れに備えて高圧縮した土壁でサキュバスの街を囲んだんだ。今の所大丈夫そうだから一旦帰って来た。」


「…土を…高圧縮…?…あぁ、待って今落ち着くわ…」


「ソフィア?」


「…うん、よし。取り敢えず、おかえりコージ。今の所魔物は大丈夫なのよね?」


「あー、うん。大丈夫だと思う。」


「なら良いわ。お疲れ様コージ。」


「…ソフィア…慣れてるのね…」



ミラルダがソフィアを生暖かい目で見詰める。



「ミラルダ…?貴女もこれからコージと長い付き合いをするつもりなら覚悟しておいた方が良いわよ?」


「いつもこんな感じなの?」


「そうね…大体こんな感じね。」


「…そう。」



二人揃ってジト目を浩二へとプレゼントする。



「…何となくだけど…失礼な事考えてない?」


「そんな事ないわコージ。それよりサキュバス達に壁の事説明しなきゃ!後、他にも色々起きてるから!」


「分かった。すぐ行こう!」


「ほら、ミラルダも一緒に行くわよ。」


「え、ええそうね。」



流石はソフィア、切り替えが早い。

伊達に浩二が進化する前から振り回されてはいないのだ。


しかしミラルダは、ソフィアのその姿を少し羨ましそうに見詰めるのだった。

読んでいただきありがとうございます。

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