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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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空回る力。


「あ~、やっぱりコージ君だったのねぇ~♪」



間延びした声で出迎えてくれたのは、すっかり元の話し方に戻ってしまったミラルダさんだった。


実は浩二、ここに来るまでにちょっとした騒動を起こしてしまっていた。



遡る事一時間程前。


浩二はソフィアと一緒にサキュバス領へと向かう為地下一階の転送の間にいた。

そして、いざサキュバス領へと浩二は何の気無しに魔法陣に足を乗せた瞬間、バチンッ!と電気が走る様な音と共に魔法陣が消失した。



「え?…何!?」


「…は?…ああぁーっ!しまったっ!」



キョトンとするソフィアの横で浩二が何かに気付いたように頭を抱える。



「コージ…?何をしたの…?」


「えー…と、多分『絶対魔法防御』のせいかと…」


「…コージ…アンタ何してるのよ…この魔法陣、新たに作るの大変なのよ?」


「…すみません…」


「…はぁ…仕方ないわね…後からシルビアに連絡付けないと。」



額を押さえ首をフルフルするソフィア。



「いや、本当に面目無いです…」


「良いわよ。まだ慣れてないんだもんね。でも、気を付けなさいよ?間違っても城の大結界とかに触れないようにしないと。」


「色々不便だなぁ…」


「仕方ないわよ。力の代償ってヤツよ。それより…どうやってサキュバス領に行こうかしら…」


「あぁ、それなら大丈夫。サキュバス領には一回行ってるから。」



そう言って浩二は右手を翳しゲートを開く。



「なる程、あの時の無駄は無駄じゃなかったのね。」


「あぁ、でも…」


「ん?何?」


「問題は俺がゲートを通れるかどうか…って事だよ。」


「…あ!…どうするのよ…」



浩二は額に手を当てウンウンと唸りながら打開策考える。

そして出した結論が…



「コージ…貴方本当に脳筋ね…」


「仕方ないだろ?…それ位しか思い付かないんだから…」


「それにしたって…出した結論がゲートが消失するより速く抜ける(・・・・・)とか…」



そう、浩二は身体に触れた瞬間からゲートが消失を始めるのならば…消失する前に素早く通り抜けてしまおう…と言うものだった。



「まぁ、取り敢えずやってみよう。ソフィアは下がってて。」


「…気を付けてね?コージ。」


「…頑張るよ。」



浩二は一度ゲートを消し、自分の身長程のゲートを作り…半身になりゆっくり右脚に力を込める。

手加減無しの全力で『瞬動』を使うつもりらしい。



「…よし!…行くぞ…っ!…ふっ!」



小さく素早く息を吐き出した次の瞬間、浩二の姿はゲートの向こう側にあった。

と、ここまでは良かったのだが…


ゴオオッ!と激しい轟音が響き渡り浩二が通り過ぎた後ろの木々が根元から引っこ抜かれ中を舞う。



「うおっ!?何だ!?」



当事者である本人も何が何やら分からない様子だ。


簡単な話なのだが…

浩二は音速を超えたのだ。

最上位種の手加減無しの全力。

まぁ、右手には足枷の鎖が装備されてはいるが…


所謂「ソニックムーヴ」という奴だ。

音速の壁を超えその衝撃波が通り過ぎた後ろの木々を吹き飛ばしたのだ。



「何事っ!?」


「何!?今の音!?」


「森が爆発!?」



その轟音を聞きつけたのだろう、サキュバス達が次々と現れる。


そこにはバツが悪そうに頭をポリポリとかく浩二が一人ポツンと佇んでいた。



「コージ様!?」


「あー…お騒がせしてすみません…」



もう、謝るしか無かった。


結果として、ゲート自体に触れなければ繋がった場所には行ける…つまりは大きめ(・・・)のゲートを作り、ピョンと飛び込めば問題無い…という結論に達した。



「…移動するだけで森を吹き飛ばすとか…やっぱりコージは大人しくしていた方が良いんじゃないかしら…?」



浩二が通った後にゲートを抜けて来て辺りを見たソフィアが最初に口にした言葉である。


早々に『絶対魔法防御』で無効化されない『足枷の鎖・改』の開発が必要そうだ。



さて、話は冒頭に戻る。


様子を見に来たサキュバスさん達に頭を下げつつミラルダさんの住む滝の側の神殿まで案内して貰い、出迎えてくれたミラルダさんの口から最初に出された言葉がアレである。



「…すみませんミラルダさん…領内の森を滅茶苦茶にしてしまって…」



サキュバス領に来てからずっと頭を下げっ放しの浩二。



「もぉ~、そんなの気にしなくて良いわよぉ~♪」



しかし、ミラルダはそんな浩二をギュッと抱き締め笑顔で言った。



「で、でも…」



浩二より身長の高いミラルダが抱き付けば当然そうなるが…

今浩二は二つの膨らみに頭が埋もれている。

そんな事は気にもせずミラルダは浩二に囁く様に口にする。



「一応この場所は「魔の森」よぉ~?あんなの二、三日で元に戻るわよぉ~♪」


「…マジですか?」


「マジ、マジぃ~♪」


「そっか…良かったぁ…」


「ふふっ♪コージ君はぁ、マジメねぇ~♪」



更に抱き締める力を強めるミラルダ。

しかし、ちっとも嫌じゃない…寧ろ気持ちが良…



「馬鹿コージっ!いつまでそうしてるのよっ!」



ソフィアの怒鳴り声で我に返った浩二は、慌ててミラルダから離れる。



「ああん♪もう離れちゃうのぉ~?」


「ミラルダさん、話が進みませんから…」


「ちぇ~っ、まぁ~そうよねぇ~♪今日はぁ~結城の事で来たんでしょ~?」



さっきまでと話し方は同じだが、明らかにミラルダの目の色が変わった気がする。



「ええ、スキルを取り戻しに来ました。」


「分かったわぁ、パルメぇ~案内してあげてぇ~♪」


「はい、ミラルダ様。コージ様、こちらです。」



パルメと呼ばれたサキュバスは、浩二に一礼すると先導して歩き出す。

浩二は後ろに付いて歩きながら気になった事を聞いてみる。



「ミラルダさんは来ないんですか?」


「ええ、今は私達が管理しています。」


「管理?」


「はい。そう言えばコージ様は知りませんでしたね。サキュバス領にはもう一つの顔があります。」


「もう一つの顔って…?」


「…先ずはご覧下さい。…さぁ、こちらです。」



ミラルダの住む神殿の様な入口から中に進む事数分、距離にして50m程進んだ場所に分厚い扉が現れる。

パルメはその扉を開くと、その先には地下へと続く階段が見える。



「ここを降りれば、目的の場所です。」



それなりに広く作られている地下へと続く階段。

螺旋状に続く階段を二人で降りてゆく…そして目的の場所に到着した浩二は言葉を失った。



「男性最終地下流刑所へようこそ…コージ様。」



パルメは浩二に向かい感情の篭らない声でそう告げた。

読んでいただきありがとうございます。

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