差。
確かな手応えを感じたにもが変わらず、リッチーは吹っ飛びもせず特に何かをしたような素振りも無くただ純粋に浩二の拳を受け止めた。
「へぇ…随分とステータスが上がってるんだな…」
結城と同化したリッチーを鑑定して呟く浩二。
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名前 結城真
年齢 17
種族 人族
職業 勇者
状態 憑依
筋力 1650
頑強 1720
器用 1030
敏捷 1460
魔力 2050
スキル
『千里眼』LV7
『透視』LV6
『催眠』LV7
『MP自動回復』LV7
『HP自動回復』LV6
『隠蔽』LV6
『パワースラッシュ』LV3
『パワースラスト』LV4
『忍び足』LV5
『跳躍』LV4
『居合』LV2
『料理』LV7
『裁縫』LV7
『耐熱』LV3
『耐寒』LV4
『火魔法』LV5
『水魔法』LV4
『土魔法』LV3
『風魔法』LV4
『鑑定』LV5
『強奪』LV--
『生贄』LV--
『女神の加護』LV--
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よくもまぁこんなに奪ったもんだ。
ステータスも恐らくは殺した兵士や貴族達のものだろう。
確かにこれだけのスキルとステータスがあれば自信満々になるのも分からなくもないが…
「既に貴様よりステータスも上よ!安心しろ…ちゃんと貴様のスキルもステータスも奪ってやるからな!ハッハッハッハーッ!」
「ふむ。なぁ、ソフィア?これ外して殴っても平気かな?」
浩二は右腕の鎧だけを消し…アレを見せる。
「コージ…アンタなんでそんなもの付けたまま戦ってるのよ…」
ソフィアは額を抑え首を振る。
「いや…だって殺しちゃったら不味いでしょ?」
「…はぁ…多分大丈夫よ。…でも、少しは手加減しないと駄目かもね。」
「そっか。了解したよ。」
リッチーに向き直る浩二。
その目の前で怒りに震えるリッチー。
「貴様等っ!我を無視するとはいい度胸だっ!」
激昂したリッチーはドス黒い瘴気を腕に纏わせ力任せに浩二を殴りつける。
が、浩二はピクリともその場から動かずダメージを受けた様子すら感じられない。
次の瞬間、リッチーは殴りつけた腕を押さえ素早く飛び退き浩二から距離を取る。
押さえられた腕からは、少なくは無い量の血が滴り落ちていた。
「何故だっ!?何故我がダメージを受ける!?」
何が起きたのか分からないのか、ワナワナと怒りに肩を震わせている。
そこまで経ってやっと浩二が口を開いた。
「分からないなら、俺のステータスを見てみれば良い。」
「…何を言って……っ!?!?」
浩二のステータスを見たのだろう、リッチーの顔から嫌らしい笑が消える。
今の浩二はステータスの数値が跳ね上がっている筈だ。
足元に転がっている『足枷の鎖』を外した事によって。
『半減の呪い』が外れて二倍。
武器を外した事により『素手の極み』が発動し、筋力、頑強が共に五倍。
今の浩二を下手に高いステータスで殴り付けた場合。
馬鹿げた頑強値により、攻撃した方が自らのステータスのせいでダメージを受ける事になる。
浩二に攻撃するならば、せめて魔法を使うべきだった。
「…この化け物め…っ!」
「失礼な。」
アンデッドに化け物と言われる浩二。
「化け物はお前だろ?ま、取り敢えず女神様返してもらうわ。」
そう口にした瞬間、リッチーの土手っ腹に浩二の拳がめり込む。
色々と何かが潰れた感触を浩二の拳に残し、リッチー本人は斜め上方へと吹っ飛んで行った。
「あ、ヤバイな。」
そう呟いた浩二が再びその場から掻き消える。
次に浩二が現れたのは、絶賛飛行中のリッチーの目の前。
「ほら、戻れ。」
軽い感じで顔面に蹴りを入れる。
打ち返されたピンポン玉のように戻ってゆくリッチー。
そのまま踏み固められた地面へ激突し、派手な音と土煙を上げる。
「危なく城外まですっ飛ばす所だった。」
ふう。と、なんの感慨もなしに戻ってくる浩二。
当然一瞬で。
「コージ…ちゃんと手加減した…?」
「したした。あれ以上どうやって手加減するんだよ。」
「…本当に大概ね…コージ。」
「失礼だな。」
最早勝負になるとかならないとかそんな問題にすらなっていない。
リッチーとは軒並み1000程ステータスに差があり、筋力と頑強に関して言えば大人と子供ぐらいの差が開いてしまった。
「さて…女神様?」
《君っ!何で私を奪わないんだっ!》
「え?」
女神様にそう言われた瞬間、浩二の足首をリッチーが掴む。
「隙だらけだっ!貴様のスキル…頂くぞっ!」
土煙の中から酷い顔をしたリッチーが這い出て来るなり浩二の足を掴み『強奪』を使う。
「…ん?」
〈なっ!?何故だっ!?何故奪えんっ!?〉
「…あ。」
浩二は自分のステータスを見ると何かに気付いてリッチーへと言い放つ。
「『強奪』…強奪してたわ。」
「はぁ!?」
もう何度目かの驚きの顔を浩二へ向けるリッチー。
《酷いよ君っ!私より『強奪』を選ぶなんてっ!》
「いやいや、女神様。強奪はランダムですし。」
《そんな…私はどうなるんだ…》
「…申し訳ありませんが…明日まで待って下さい。」
《…こんな奴と…あと一日…》
「…えーと、女神様?ランダムですから、上手く行けば明日ですけど…失敗したら最後になる可能性だってありますよ…?」
《……私は絶望したよ…》
余程結城との生活が嫌だったんだろうな…
でも、こればかりは仕方ないよな…うん。
女神様とそんなやり取りをしていると…
「くそっ!仕方が無い…っ…奥の手を使わせて貰おう。」
強奪に失敗したリッチーが浩二から距離を取り何やら三下の負け台詞の様な事を言い出す。
リッチーは何やら黒い煙の塊の様なものを作り出すと、徐に右腕を突っ込む。
少し探る様な仕草を見せ、ニヤリと嫌な笑みでこちらを見ながら煙から腕を引き抜くと…
「っ!?」
リッチーの右手に何やら握られてぶら下がっていた。
それは…
あちこちボロボロになり…
綺麗な毛並みを血の塊で赤黒く汚した…
浩二の愛猫…ナオだった。
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