プレゼントと言う名の魔道具(2)
「さぁ!名付けの時間です!先生!」
《ふむ…では、『ブラックロア』なんてどう?》
「……『黒き咆吼』…何でこんな簡単に思い付くの?」
《あれだね、年季の差って奴さ。》
「流石に神様に年季は適わんわ。」
《だよねー、まぁ、いつか君も神様になれるかもしれないんだから頑張って!》
「ぼちぼち頑張ります。」
名付けも滞り無く終わった所で、次は栞の分だな。
栞の場合は舞と同じで後方支援だよな。
そして、どちらかと言えば広範囲支援。
なら、舞と同じ様に魔素を集めつつ範囲を広げられるようにしてみるか。
浩二は手馴れた手つきでオリハルコンのインゴットを取り出すと、テーブルに乗せる。
同時に魔核を四つ作り一緒に乗せる。
「良し…始めよう…」
手を翳す。
想像するのは二つの扇…
色は白と青…
扇から紐をぶら下げ…そこに魔核をアクセサリーのように取り付ける…
白い方は…魔素急速収集と…風魔法…
青い方は…魔素急速収集と…効果増幅…
やがてオリハルコンと魔核が光に包まれ…純白と青二対の扇が生まれた。
飾り気は無いが、紐で繋がった二つの魔核が淡く光を放っている。
「良し…まずは白の方か。」
こちらは魔素を集め舞で消費する精神力の補助と、いざという時のための風魔法による防御と攻撃用だ。
魔核は青と緑に淡く光を発している。
浩二は扇を開き、徐に扇を振るうと扇は緑に輝き風の壁を作り出した。
今度は切るように扇を振るう。
すると、鎌鼬のような鋭い風が一直線に壁へと向かいそこに深い溝を刻む。
「これはまた…些か過激…かな…?」
予想以上の威力に驚く浩二。
「さ、さて、次は青い方だ。」
気を取り直して青い方の扇を手に取る。
こっちは増幅用の魔素を集め、集めた魔素で舞の効果を更に広げる為の扇だ。
紐にぶら下がった魔核は青と紫の光を放っている。
「取り敢えず…また『転送』使ってみようか。」
浩二は扇を持った手で扇を振るいながら『転送』を発動する。
するとそこには直径2m程の大きな六角形のゲートが現れた。
「…単純に…倍って事でいいの…か?」
自分で作り出しておきながら驚く浩二。
何せ、自分で普段作るゲートよりも遥かに大きなゲートが開いたのだからまぁ、驚くのも仕方が無い。
取り敢えず効果を確認した浩二は三度女神様の力を借りるべく話し掛ける。
「よろしくお願いします、女神様。」
《んー?扇の名前?》
「はい。出来たら今回は和名でお願いしたく…」
《和名ねぇ…それじゃ、青い方は『花鳥』で、白い方が『風月』でどう?》
「…おぉ…『花鳥風月』か…女神様…なんでそんな言葉を…?」
《まぁ、女神様にも色々あるのさ。》
「はぁ、それにしてもサラッと花鳥風月とか…俺には絶対出て来ない名前ですよ。」
《ふふ、それじゃまたねー!》
「はい、ありがとうございました。」
女神様って…本当にこんな事で何度も呼び出していいものなんだろうか…
「ま、いっか。次だ次!」
ラストはソフィアの装備か…
実際にソフィアの戦闘を見たことは無いが…恐らくは前に出てゴリゴリの接近戦をする様な気がする。
前に大槌を振り回すみたいな話もしてたしな。
なら、武器は近接武器。
ここはハンマーで良いだろう。
テーブルに置かれたオリハルコンと魔核に手を翳す浩二。
見た目はハンマーに見えない様に…
長めの柄に…小さなヘッド…
ヘッドの両端に魔核…左右にも魔核を…
刻むのは…火魔法…風魔法…魔素急速収集…魔素圧縮…
色は…紅…
やがてオリハルコンと魔核は光に包まれ…
そこには眩いばかりの真紅に染まった一本のロッドがあった。
「うん。見た目はハンマーに見えないな。」
浩二はソフィアにゴツイハンマーを担がせるのには抵抗があった。
だから、今回は明らかにハンマーに見えないハンマーにしたのだ。
「さて、試して来るか…」
浩二は転送を使い再び大森林近くに移動する。
そして、徐に真紅のロッドを振り回すと地面の一点に狙いをつけて振り下ろした。
すると、ズゥン!という地響きを立てて直径1m程の地面が沈み込んでいた。
「うん、成功だな。」
浩二は風魔法で作り出した風を圧縮する事により、仮想のハンマーヘッドを作り出したのだ。
その直径1mオーバー。
高圧縮された空気は恐るべき硬度を生み出し、鉄なと簡単に潰してしまう程だ。
そして…
「次は…こっちだ!」
浩二はロッドをクルッと180度回転させると、今度は反対のヘッドを地面に叩きつける。
そのヘッドが地面に触れた瞬間、物凄い爆音と共に地面が爆ぜた。
しかし、爆発させた本人の浩二には一切爆風が届いていない。
それどころか、ハンマーヘッドより後ろは全く影響を受けていなかった。
全ての爆発力は前にのみ影響を与える…これも風魔法によるシールドのお陰だ。
火魔法を圧縮し、一点で解放。
その威力は蓮の獄炎弾より上かも知れない。
爆発跡には3m程のクレーターが出来ていたのだから。
「ふむ…何だか…威力が高くないか…?」
これだけの威力の攻撃を本人の精神力を一切使わずに出来るのだ。
しかも連続で。
正に魔導具と言った所か。
浩二は小部屋へ戻ると、最後の呼び出しをする。
「女神様…毎度すみません、お願いします。」
《だから、気にしなくていいって言ってるのに。》
「まぁ、性格ですから…」
《そうだね。まぁ、その性格も嫌いじゃないよ。》
「ありがとうございます。」
《それで?今回はその紅いロッド?》
「あー、はい。ハンマーです。」
《んー…そうね…『カグヅチ』なんてどうかしら?》
「…また、随分と日本について詳しいんですね…」
《ふふっ、まぁ、その事についてはいつか話してあげるわ。》
「分かりました。名付けありがとうございました。」
《いいわよ。それじゃ、またねー!》
良し、これで四人の武器が出来た。
舞の『エンジェリックブレス』
蓮の『ブラックロア』
栞の『花鳥』と『風月』
そして、ソフィアの『カグヅチ』
浩二はそれぞれの武器を布で包むとそれらを持ち小部屋を後にした。
時間はそろそろ夕食時。
「晩飯の後にでも渡そう。喜んでくれると良いけど…」
浩二は少し緊張しながらも食堂へ向かうのだった。
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