プレゼントと言う名の魔道具(1)
「さて…何を作るべきか…」
浩二は悩んでいた。
アクセサリー等という色っぽい思考など持ち合わせていない浩二は、ただ彼女達にプレゼントする装備を考えているのだ。
「まずは…舞だな。」
手始めに舞の装備を考え始める浩二。
舞は基本回復役であり戦闘はあまり得意ではない。
ならば、狙われた時に身を守る術は必要だ。
後はもう一つ。
精神力切れが怖い。
ならばいっそ外部から集めたらいい。
「んー…魔素自体を集めてしまえば、精神力を魔素に変えるより消費は減るな…ゴーレムでも出来るんだから多分大丈夫だろう。まぁ、取り敢えず作ってみるか。」
浩二にしてみれば、まるで粘土のようにやり直しのいくらでも出来る素材として認識されてしまったオリハルコン。
硬度や加工技術を考えれば本来は有り得ないのだが…
相手が浩二なら仕方が無い。
可哀想だがあきらめよう…オリハルコン。
やがて浩二はオリハルコンのインゴットを数個テーブルに置くと、手を翳して目を閉じる。
想像する…
形は…杖…あまり長過ぎない…1m位か…
先端の飾りは…天使…翼を大きく広げ天を仰ぐような姿で…
魔素急速収集用の魔核を一つと魔素を蓄える為の魔核を二つ…
色は…白…
やがてオリハルコンは光に包まれ、新たに魔核が3つ作り出されるとそれを包み込み強い光を放ちながら形を変えてゆく。
浩二が目を開けるとそこには純白の杖が横たわっていた。
飾りの天使が魔核を両手で持ち、翼の下側の両脇に隠れるようにもう二つの魔核が埋め込まれていた。
「見た目は…うん、悪くない…筈。後は…実用性か。」
浩二は杖を持つ。
すると、天使が持つ魔核が光を放ち始める。
そして、少しづつ二つの魔核が青く光り出す。
「成程な…充電中か。」
何だか色気の無い言い方だが、間違っては居ない。
そして、やがて天使の手に持つ魔核の光が静かに消えてゆくと、今度は二つの魔核が明るく輝き出す。
「おっ!充電完了か?」
試しに浩二は自らの精神力を使わない様に杖を持ち『転送』を使ってみる。
すると、徐々に青い光が消えていき二組目の六角形を作り出した所で二つの魔核の光は消えてしまった。
すると、再び天使の魔核が光り出す。
「成程な…使い切ればまた充電が始まるのか…まぁ、『転送』2回分ならなかなかじゃないのか?」
浩二は気づいていないのだ。
それが並の魔術師数人分の精神力枯渇量だと言うことを。
「うっし!後は名前だな…名前だ…な…」
声が尻すぼみになる浩二。
そう、名付けは浩二の最も苦手とするもの。
「こうなったら…神頼みだっ!…すみません女神様…」
《はいはーい!見てたよ!聞いてたよ!》
「あー…テンション高いですね…」
《だって、なかなか話し掛けてこないんだもの。》
「初回のあの時から、文字通り神頼みにしようかと…」
《そんな事言わないでさー、バンバン話そうよ!頼りになるよ?私。》
異様にテンションの高い女神様に若干引き気味の浩二。
「では、名付けを頼みたくてですね…」
《その杖の名前?んー…『エンジェリックブレス』なんてどう?》
「…へぇ…『天使の息吹』ですか…なかなか素晴らしいじゃないですか!」
《でしょー?見直した?》
「若干…ですが。」
《むー、手強いなぁ。》
「でも、助かりました。またお願いします。」
《うん。いつでも呼んで!本当にいつでも良いからね!》
「あ、はい。ありがとうございました。」
何故かドッと疲れる浩二。
「これは…魔道具作ってた方が遥かに楽だな…主に精神的に。」
気を取り直して浩二は次に蓮の魔道具に取り掛かる。
蓮は舞と違って遠距離砲台型なんだけど…
やっぱり精神力切れが怖いな。
でも、きっと撃ちたがるよな…バンバンと。
なら撃たせてやろう!
ただし、魔法では無く『銃』だけどね。
浩二は再びテーブルの上にオリハルコンのインゴットを数個置くと今度は先に魔核を三つ用意する。
浩二は手を翳す。
形は…片手で使えるように短いショットガンのような感じで…
丸味より無骨さを優先…色は黒…
一つ目の魔核には魔素急速収集を…
二つ目の魔核は魔素を溜め込む為…
そして三つ目には…魔素を圧縮する機能を…
やがて光がオリハルコンと魔核を包み込み、姿を変えてゆく。
出来上がったソレは全体的に黒く、グリップには引き金と指を守るナックルガードが付いている。
砲身は短く、先端に埋め込まれる様に魔核が付いていた。
「これはまた…趣味的な。まぁ、取り敢えず試射だな。」
浩二は目の前に六角形のゲートを作ると徐にくぐり抜ける。
そこは城壁の外、大森林前だった。
「良し!まずは軽く…」
グリップを握り、空に銃口を向け引き金を引く。
シュバッ!と小気味よい音を立てて空の彼方へ青い塊が飛んでいった。
「次は連射だ。」
先程と同じ様に空へと向け引き金を引きっぱなしにする。
すると今度はシュババババババババッ!と先程より少し小さめの塊が無数飛んでゆく。
やがて数分後、魔素切れなのか玉が出なくなった。
銃を良く見ると、横に青く光る目盛りが刻んでありそれが徐々に明るく光り始める。
全ての目盛りが光るのに数分。
「成程な…リロードって訳か。」
そして、最後の溜め撃ちを試す。
手近な大木に銃口を向け、グリップを握る。
そのまま引き金に指をかけると、先程とは逆に先端の魔核に向かい目盛りの光が徐々に消えてゆく…と同時に先端の魔核が眩く光り始める。
全ての目盛りが光を失って先端の魔核が青く光り輝いてから引き金を引く。
ズドン!とハンドガンから出てはいけない音を出して1m強のサイズの青い光の塊が一瞬の内に大木へと向かい、大木を木っ端微塵に吹き飛ばした上、更にその後ろの数本の木までへし折った。
「コレは…蓮に渡して良いんだろうか…」
大木の残骸を前に浩二は呟くと、ゲートを使い小部屋へ戻った。
当然、後から騒ぎになったのは言うまでもない。
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