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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第二章 レベルアップと種族進化

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ゴーレムと火の玉少女。


「よし、改めて組手だ。」


「はい、マスターコージ。」


「あー…そのマスターコージっての止めようか。マスターだけで良いよ。」


「はい、マスター。」


「よし、それじゃ、始めよう。最初は軽めに流して身体に馴染ませよう。」



そう言って軽く踏み込み正面に突きを入れる。

ゴーレムはその突きを見た目とは違い洗練された動きで躱す。

そして躱した動きをそのまま利用して回し蹴りを放ってくる。

速度もテンポもそれ程速い訳では無い…が、相手の虚を突く動きがスピードを補っていた。



「思ったよりも遥かに良い動きだな。」


「光栄です、マスター。」



会話しながらも動きは止めない。

浩二にとっても、久しぶりにまともに動かす身体には丁度いいくらいだった。


そして、浩二はそのまま小1時間程ゴーレム相手に組手を続けた。



「ゴーレム、この辺にしとくか。」


「はい、マスター。」


「身体の具合はどうだ?」


「はい、特に問題はありません。」


「そう言えば、エネルギーって言うか…ゴーレムって何で動いてるんだ?」


「私は大気中の魔素を吸収して稼働しています。」


「魔素…って言うと…魔法と同じか。」


「はい。」



暖まった身体を休めながらゴーレムと会話していたが、何やら周りが騒がしい。



「見たか?今の…アレ、ゴーレムだよな…?」


「つーか、一緒にいる男…一体どんだけ体力あるんだよ…1時間ぐらい組手してたぞ?」


「ゴーレムって組手出来るのか?…ってか、理解出来るもんなのか?」


「お兄さん!私もゴーレムとやりたいっ!」



等とこちらを見ながらあーでも無いこーでも無い言っている。

あ、最後のは蓮だ。



「蓮の嬢ちゃん、アイツを知ってるのか?」


「うん!すっごく強いんだよ!」


「…ほう…」



蓮の言葉に兵士達の視線が集まる。

あー、これはアレだ。

スミスさんと同じヤツだ。



「えーと…初めまして。ドワーフの岩谷浩二って言います。コージって呼んでください。今はソフィアの世話になってます。」



とりあえず自己紹介してみた。

すると、急に静まり返り…そしてざわめき出す。

何だろう?何か変な事言ったかな?


まぁ、良いや。



「蓮、やってみるか?」


「良いの!?」


「あぁ、構わないよ。ゴーレムも良いよな?」


「はい、マスター。蓮様、よろしくお願いします。」


「てへへ…蓮様だって、何か照れくさいや。ゴーレム、よろしくね。」



言われ慣れない様付けに照れる蓮。


やがて二人は少し距離を取り、合図を待つ。



「んじゃ、怪我の無いようにな…って言っても舞がいるか。それじゃ、始めっ!」



浩二が合図をすると、先に行動に出たのは蓮だった。

素早く距離を詰め回し蹴りを放つ。

待に入っていたゴーレムはその蹴りを軽く手を添えて受け流す。

しかし、追撃はせずに軽く距離を取る。



「何だろ…何か…お兄さんと戦ってるみたいな感じ…」



流石は蓮。

伊達に俺と連戦してない。


アレ…なんか忘れてるような…

蓮と…連戦……あっ!


思い出した時には遅かった。



「それじゃ…本気で行っくよーっ!」



蓮はそう宣言すると、火の玉を数個自分の周りに浮かべる。

そのままゴーレムへと掌を向ける。



「火炎連弾っ!!」



蓮の言葉に合わせて複数の火炎球がゴーレムへと飛び掛る。


ゴーレムは避けたり払ったりしているが、全てを躱すのは無理らしく、身体のあちこちが焦げ付いている。

そうしている間にも新たに創り出された火炎球が次から次へとゴーレムに襲い掛かる。



「蓮っ!ストップ、ストップ!、アイツはウッドゴーレムなんだから!」


「え?…あっ!」



どうやら気付いたようだ…が、砂埃が晴れてそこに居たのは、身体のあちこちを黒焦げにして跪くゴーレムだった。



「大丈夫か?ゴーレム!」



慌てて駆け寄る浩二に蓮も付いていく。



「すみませんマスター…負けてしまいました。」


「そんな事は良い。身体はどうだ?」


「はい、左腕と右足と左足首が動作不能です。修復も困難です。しかし、魔核は全て無事です。」


「ごめんね…ゴーレム…」



蓮はシュンとしながら謝る。



「いえ、蓮様。私の能力不足です。蓮様は何も悪くありません。」


「でも…痛そう…」


「蓮様、私に痛覚はありません。蓮様が気に病むことなどありません。」


「蓮、俺が悪いんだよ。蓮の得意攻撃すっかり忘れてたんだから。」


「…うん…ゴーレム…治る?」



いつも元気な蓮が涙目でこっちを見る。

ゴーレム相手なのに優しい子だ。



「大丈夫だよ。ソフィアに言って今度は金属製にするから。直ったら、また相手してやってくれ。」


「私からもお願いします、蓮様。蓮様との戦闘は勉強になりますから。」


「うん。ちゃんと治ったら、またやろうね。」


「はい、蓮様。」



二人のやり取りを優しい眼差しで見ていた浩二は、ゴーレムに向き直り指示を出す。



「ゴーレム、一時休眠だ。魔核を取り出す。次に目覚めた時に驚く様な身体を作ってやるからな。」


「はい、マスター。ありがとうございます。」



浩二はゴーレムが開いた胸から魔核を取り出すと、続いて額と喉からも魔核を取り外す。



「それじゃ蓮、俺はソフィアの所に行ってくるよ。」


「うん。お兄さん…ゴーレムによろしくね。」


「あぁ、蓮も訓練頑張れよ?次に会うゴーレムはもっと強いからな?」


「うん!楽しみにしてるねっ!」



笑顔に戻った蓮は、こちらに手を振りながら舞と栞のいる治療場へ走って行った。



□■□■



「と、言う訳でソフィア…金属をくれ。」


「…私と別れて数時間で何でこんなに急展開になってるのよ…」



額を抑えながらソフィアが呟く。



「いやぁ、蓮が火の玉少女なのすっかり忘れてて。」


「…はぁ、まぁ良いわ。で?なんの金属が良いの?ミスリル?アタマンタイト?オリハルコン?」


「また…凄い名前がゴロゴロ出て来たなぁ…」



何の気なしに伝説の金属の名前が混じっているんだが…






読んでいただきありがとうございます。

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