初めてのゴーレム作り。
「えーと…普通じゃ無いのは分かった。で、この魔核ってどうやって使うんだ?」
「そんな事も知らないで…これだけの純度の魔核をポンポンと…」
ソフィアは再び額を抑える。
「何か…すまん。なにせ、こっちに来てからまともに会話したのってあの三人と詰所のスミスさんっていう看守さんだけだったからなぁ…非常識なのは勘弁して欲しい。」
「コージが非常識なのは別の意味だけど…、良いわ!このソフィアさんが魔核の使い方をレクチャーしてあげる!」
「おおっ!ソフィアが頼もしい!」
「ん?なんか言った?」
「いえ。よろしくお願いします、先生。」
「よろしい。」
こうしてソフィア先生の魔核講座が始まった。
「まず、魔核それ単品では普通は使わない。まぁ、精神力を溜めておいたり出来るから、全くって訳じゃないけど…まぁ、初心者は知らなくて良いわ。」
まず、知らなくていい事から教えてくれた。
「主に魔核は魔道具やゴーレム、ドールなんかのコントロールコアに使うわ。所謂「頭脳」ね。魔核に命令を刻んでゴーレムや、魔道具に埋め込むの。」
「命令を刻む?」
「そう、魔核を握って書き込みたい命令を思い浮かべれば良いわ。そして、ここからが重要なんだけど…魔核の純度。この純度が高ければより複雑で高度な事を書き込めるわ。」
「ふむ。…いまいち要領を得ないな…試しても良いか?」
「ええ、それじゃ、まずは簡単なゴーレムから作りましょうか。」
そう言って何処かへ行こうとするソフィア。
「ソフィア、何処に行くんだ?」
「決まってるでしょ、鎧か何かゴーレムの身体になるものを取りに行くのよ。」
何言ってるのよこの生徒は…みたいな顔をされる。
「あー…ソフィア、多分俺…ゴーレム作れるわ…ドールも…」
「は?」
「いやだからさ、ゴーレム作れるって。多分その辺の土で。」
「……はぁ…」
「いや、何か…ごめん。」
「そろそろ慣れなきゃね…まぁ、良いわ…コージだし。」
コージという単語が別の使われ方を始めた。
「まぁ、とりあえず作ってみるわ。」
浩二は地面に魔核置くと、土がゴーレムの形になる様に頭で思い浮かべた。
モデルは某竜冒険のアレだ。
すると、目の前で魔核を巻き込みながら地面が盛り上がりゴーレムの姿を形作る。
やがて、目の前に立派…とは言えないがゴーレムが出来上がった。
そしてゴーレムは唐突に歩き出す。
「ちょっと!コージ!何を命令したのっ!」
「え?あー、「歩け」って。」
「何処まで?」
「いや、特にそこまでは…」
そうこうしている間にゴーレムはズンズンと訓練所を進んでいく。
「普通はまず命令下す主人から決めるものよ。」
「知らなかった…」
「でしょうね…あー…行っちゃったわ…」
兵士達が突然登場したゴーレムに騒めきだす。
「ごめんねーっ!ソレ危険はないから壊しちゃってーっ!」
ソフィアは叫ぶ様に兵士達に処分を告げる。
それを聞いた兵士達はあっと言う間にゴーレムを土へ還してしまった。
「コージ…これから書庫へ行くわよ。ゴーレムの命令系統の勉強よ。」
「えーと…俺は身体を動かしたいなー…なんて。」
「行くわよ。」
「はい。」
浩二はソフィア先生に連れられて訓練所を後にするのだった。
□■□■
「なぁ、ソフィア。」
「…言わなくていいわ。」
「でもさ…」
「…まさか、こんなに簡単にゴーレム作りに慣れるなんて思わないじゃない!」
結果、簡単だった。
書庫の椅子を素材にゴーレムを作ったのだが…
「最初から本を読めば良かったな。」
「うぅ…コージの意地悪…」
浩二の読んだ本を本棚に戻し終えたウッドゴーレムが浩二の真横で待機モードに入ったのを見てソフィアが涙目になる。
「ゴーレムっ!コージを殴って!」
ゴッ!という音を立てて浩二の頭を殴るゴーレム。
「ストップ!ストップだ!ゴーレム!なにすんだよソフィア!」
「八つ当たりよ!」
「理不尽だな…」
一応ゴーレムには、第一に浩二、第二にソフィアを主人と決めているため、ソフィアの命令も聞く。
「それにしても…有能ね…この子。どんな風に書き込んだのよ。」
「そんなに難しくないぞ?主人を決めて、命令を遂行したら戻って命令を待て…ぐらいだよ。だから、付いて来いって言わなきゃずっとこのままだよ。」
「ふーん…何か…私要らなくなっちゃったわね…」
ガッツリ落ち込むソフィア。
浩二の役に立ちたかったのだろう、その姿は見ていて気の毒になる。
「そんな事は無いぞ?ソフィアといると楽しいし。」
「…ホント?」
「おう。それに色々助かってるしな。」
「そっか、なら良いわ。何かあったら何時でも言ってね。」
「ありがとう。頼りにしてるよ。」
ソフィアの機嫌が直った所で席を立つ。
「何処に行くの?」
「あぁ、魔核もゴーレムも何となく掴めたから、身体を動かして来るよ。考えてみたら足枷外してからまともに戦闘らしい戦闘してないしな。」
「そっか、私はナオともう少しここにいるわ。」
「分かった。ナオを頼むな。ゴーレム、俺に付いて来い。」
そう言って浩二はゴーレムを引き連れて書庫を後にし、訓練所へと向かった。
書庫に残る一人と一匹。
不意にソフィアがナオに話し掛ける。
「ナオ?そろそろ言った方が良いんじゃない?」
「………」
「貴女がそう言うなら良いけど…」
「………」
「ふふっ、分かったわ。この事は暫く二人の秘密ね。」
ソフィアはそう言ってナオを抱き上げると、自分の部屋へと戻って行った。
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