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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第八章 交易と発展。

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一時帰還。


「国王自身はそれ程人族を嫌っては居ないんだが、周りの奴らが真逆と言うぐらい毛嫌いしているんだ。」



ナオが獣人族領突撃した後、シュナイダーが人族組に向かい話し始めた。



「毛嫌いの理由は人族領で獣人族の奴隷化をしている事実が明らかになったからだ。」


「はぁ!?そんなの聞いたことないぞ!?」



少なくともそんな事実を知らない猛が猛然とシュナイダーに食いつく。



「俺自身も直接見た訳じゃないから何とも言えんが、人族との小競り合いの最中に人族に首輪で引かれた兎の獣人の姿を見たと言う兵士の報告を皮切りに聞き込みを始めると少なく無い数の目撃情報があってな。」


「…そんな。」


「…少なくとも人族領の城では見た事が無いわ。」



栞と麗子が何とか絞り出す様に呟く。



「それとは別にその話が出る以前からずっと国に追われている組織があってな。その組織は上手く姿を変え名を変え今迄国から逃げ続けながら仕事を続けて来たんだが、ついこの間遂に現国王がやっとの思いで壊滅状態に追い込んだ。」



そこまで話してシュナイダーは茶で乾いた口を潤し、続きを待つ人族組メンバーに向かい話しを続ける。



「その組織ってのが『人身売買組織』だったのさ。」


「っ!?」


「……まさか、買い手に人族がいたの?」



声も出ない一同の中、髪が逆立つほどの怒りを内面に隠しながら淡々と蓮が先回りをする。



「あぁ、帳簿を遡ると人族の貴族が数件と奴隷商が数件あったらしい。」


「………」


「…蓮ちゃん。」



グッと歯を噛む蓮をそっと抱き締める舞。

二人の様子を見て続けようか迷ったようだが、最後まで話した方がいいと判断したシュナイダーは更に続ける。



「それで…だ、国の目が厳しくなったせいか数年に渡り徐々に取引件数が減って行ったんだが、最後の方はもうとある貴族だけしか顧客はいなかった様だ。最後の帳簿に記された取引も、その貴族の名前しか記されていなかった。」


「…その貴族の名前は?」


「…ロスチャイルド伯爵と記されていた。」


「ロスチャイルド伯爵と言えば、人族領の3割を領地に持つ大貴族じゃないですか…半島の南の海岸沿いのほとんどがロスチャイルド伯爵の土地だった筈。」



舞が貴族の名を聞いて自分の知る情報を提示する。



「…舞。アンタ随分詳しいわね。」


「えーと、その貴族ってあまり人と関わらない事で有名で、領地も高い城壁で仕切って立ち入りを許さないっていう変わり者なんだって。人族の城にある本で読んだことがあったの。」



本の虫の本領発揮する舞。

この子の知識は度々役に立つので侮れない。



「なぁ、シュナイダーさん。」


「なんだ?」


「その貴族、俺らで捕まえても良いか?」



シュナイダーは猛の言葉に目を細める。

その反応を見て尚猛は続ける。



「はっきり言ってこんな事しても今迄人族領に連れて来られた獣人達が全て納得出来るはずもねーし、死んだり殺されたりした人達だって居た筈だよな…」



猛は自分の拳を握り締めながら奥歯を強く噛み締める。



「でもよ、知らん振りなんてしたくねーんだよ。今助けられる獣人が一人でも居るなら、助けなくちゃならねーんだよ!元々は違うと言っても俺だって今はこの世界の人族なんだからよ!」



最後には叫びに近い音量で訴える猛。

それに同意する様に残りの4人もシュナイダーの方へ視線を向ける。

その視線を一旦受け止め目を閉じたシュナイダーは少し思案した後、腕を組み自分の意見を話し始めた。



「実は今、我らの国王がソフィアを通して人族領の王女に打診している所でな、返事が返ってきたのが数日前になる。内容的には「早急に確認と対応をする。」と言うものだった。」


「リリィ様が…」


「返事が来たのが数日前ならば、既にその貴族へと使いを出している頃だろう。ならば一度人族領の城に行き王女に話せばまだ間に合うかも知れん…」


「なら、急いで行かなきゃ!…獣人達は絶対に連れ帰りますから!」


「俺も見ず知らずの人族よりもお前達の方が信頼できる。よろしく頼めるか?」


「はいっ!」



シュナイダーは力強く答える猛の肩に手を置く。



「猛…同胞の為に怒ってくれてありがとうな。」



そして、笑顔でハッキリとそう告げた。



□■□■



「お久しぶりですリリィ様。」


「皆さんも元気そうで何よりです。それで、皆さんが戻って来られた理由をお聞かせして頂けますか?」



人族領の城の謁見の間。

玉座に腰掛けたリリィの前に片膝をつき頭を下げる5人。

あれから猛達はシュレイド城を経由しルグルドから人族領へと入り、猛達の帰還に驚く兵士を宥め王女に取り次いでもらい今に至る訳だが、事前にソフィアに頼んでいた事もあり、連絡は入っていた様で直ぐに謁見が可能だった。

但し、詳しい話は自分達からするとソフィアには帰還の連絡だけに留めて貰っていた。


そして、猛が代表して話し始める。

話が進むにつれて徐々に険しくなるリリィの表情。

隣に控えていたスミスも腰に差した剣のグリップを怒りを紛らわす様に強く握る。



「ソフィアさんから話の触りとロスチャイルド伯爵領の調査依頼を受けて、二日前に調査隊が出発しました。まさか…獣人達の人身売買まで絡んでいたとは…」



予想外の事態だったのだろう、難しい顔をして口元に手をやる。



「以前…父が健在だった頃、魔族との戦いの最中捕虜として捉えた獣人の方達に酷い仕打ちをしていたのを何度か見た事がありましたが…父の死後、私が人族領全てから捕虜や奴隷扱いの獣人や魔族の方達を解放するように指示を出したのですが…」


「何かあったんですか…?」


「解放するように指示を出した直後辺りに、ロスチャイルド伯爵が全ての獣人達を買い取って自領へと連れ帰ってしまったのです。」


「…またロスチャイルド伯爵か。」



コクリと頷いたリリィの表情は暗い。



「昔、父から聞いたことがあるんです…「ロスチャイルド伯爵は猟奇的趣味がある。」…と。」


「…それって…」


「詳しくは私にも分かりません。ただ余りいい予感はしません…まぁ、何であれ獣人族達を救出するならば急いだ方が良さそうですね。」


「そうですね。それでは、直ぐに出発します!」



立ち上がる猛達。

それをリリィが引き止める。



「今馬車を用意させますので、少々待って頂けますか?」


「リリィ様、足なら自前で用意して来ましたから大丈夫ですよ。」


「…え?」



首を傾げるリリィに5人はここに来て初めての笑顔を向けた。



読んでいただきありがとうございます。

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