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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第一章 ドワーフは魔族!?

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自由。


残るは浩二と栞。



「俺は、とりあえず今ある見習いスキルを習得しちゃいたいな。…となると、やっぱり俺も訓練所かな…」


「分かったわ。で、貴女はどうするの?」



浩二の服の裾を小さく掴んでいた栞はソフィアに話しかけられてビクッとする。



「栞は…まだ…分かりません…」



消えてしまいそうな小さな声で言うと、悲しげに俯いてしまう。


自信が無いのだ。

以前浩二に話したように、彼女には武器と呼ばれるスキルが無い。

だからか、いざ何をしたいかと尋ねられた時、頭に答えが浮かばなかった。



「栞ちゃん、ならさ…しばらく俺と一緒にいるかい?楽しいかどうかは分かんないけど…」


「…いいの?…栞、邪魔じゃない?」


「邪魔なんかじゃないよ。嫌かい?」


「嫌じゃない!栞、お兄ちゃんと一緒が良い!」



首をブンブン振って浩二の言葉を否定する。



「決まりだな。ソフィア、しばらく世話になるよ。よろしく頼む。」


「良いわ。好きなだけ居座って構わないから。何かあったら何時でも言って。」


「助かる。」


「それじゃ、今日は解散ね。とりあえずメイドに部屋へ案内させるから、ゆっくり身体を休めなさい。」



ソフィアがそう言うと、数人のメイドがドアから現れ揃って綺麗なお辞儀をする。


と、浩二が気付く。



「あー…すっかり忘れてた。」


「どうしたの?コージ。」


「コレ…外してくれないかな?」



自分の足を指さし、バツが悪そうにボリボリと頬を指でかく。



「あぁ…すっかり忘れてたわ。」


「俺も。なんだかナチュラルにフィットしてる感じでさ。」


「やめとく?」


「いやいやいや、こんな個性的なアクセサリー要らないよ。」


「ふふっ、そうよね。ドルギス、お願い出来るかしら?」



「お安い御用だ。」と言ってコチラに歩み寄り、浩二の前に跪くと徐に鎖を掴み…そして引き千切る。


鎖は切れた瞬間にバチッ!とスパークすると、足枷ごと跡形もなく崩れ去った。



「今のは!?」


「うむ。呪いだ。我らリビングアーマーには効かんがな。」


「一応聞きますが…どんな呪いが?」


「ふむ。恐らく永続的なステータス及びスキル効果半減…だな。」



魔道具の効果がそのまま残る感じか。


ドルギスは立ち上がると、無言で先程腰掛けていた大きめの椅子に戻ろうとする。



「ありがとうございますドルギスさん。自分で外さなくて正解でした。」


「構わない。無闇に呪いの掛けられた道具は壊さない事だ。」


「はい。肝に銘じます。」



ドルギスは浩二の答えに静かに頷く。



「これで…やっと自由になったんだな…っ!」



軽くなった身体とは別に心も軽くなる気がした。

やっと…

この世界に来てようやく浩二は自由を手に入れた。



□■□■



「久しぶりだな…ベットで寝るの…」



柔らかく身体を包み込むような感触に思わず表情が緩む。

ずっと地下牢の硬い床で寝ていた浩二は感無量であった。



「明日から…頑張ろう。」



強くなる事で自分を守っていた今までとは違う。

自ら望んで身体を鍛える。



「ヤバい…楽しみで仕方が無い…」



足枷も外れた今、自由に身体を動かせるのだ。

年甲斐も無く、遠足前日の子供の様に目が冴えてくる。



「小学生か俺は…」



変に目の覚めた浩二はベットから起き上がり、ソファーに畳んでおいてあるソフィアから貰った新しい服のズボンからステータスプレートを取り出し、ステータスを表示させる。



□■□■



名前 岩谷浩二(イワタニコウジ)

年齢 26

種族 ドワーフLV1

職業 人形師 氣法師

筋力 280

頑強 350

器用 170

敏捷 230

魔力 40

スキル

『黄昏の人形師』LV1

『黄昏の傀儡師』LV1

『魔核作成』LV1

『操気術』LV7

『見様見真似』LV--


『火魔法(見習い)』LV4

『パワースラッシュ(見習い)』LV3

『パワースラスト(見習い)』LV3

『鑑定(見習い)』LV6

『転送(見習い)』LV1

『半減の呪い(見習い)』LV1



□■□■



「ぶおっ!」



どうやって出したのか分からない声が口から飛び出す。

分かってはいた。

『見様見真似』が空気を読まない事ぐらい。

多分『転送』はあの黒い穴を通った時、『半減の呪い』はずっと身に受けていたからだろう。



「『転送』はともかく…『半減の呪い』はなぁ…」



呪いである。

字面が悪過ぎる。

でも、もし拳に乗せられたら…



「手数を稼ぐのには使えるかもな…」



ステータスとスキル効果半減。

戦闘中に使えられれば戦局は大きくこちらに傾くのは想像に難しくない。

浩二はとりあえず詳細を確認してみる。



□■□■



『転送』

物体を転送する穴を創り出すスキル。

生物、無生物問わず、穴を通す事で距離に関係無く移動させることが出来る。

一度訪れた場所及び視界に捉えられる場所ならば転送場所は問わない。

転送距離及び穴の大きさは魔力依存。



『半減の呪い』

ステータス及びスキル効果を半減させる呪いを掛けるスキル。

道具に込めたり食物に込めたりと用途は多岐に渡るが、永続的な効果を望むのであれば、身に付けるもの及び本人に直接触れて掛けるのが望ましい。

効果時間と減効果は魔力依存。



□■□■



「呪いって字面は悪いが、有効そうだな…転送は上げといて損は無さそうだし。」



ステータスプレートを見ながら、新たに得た力に驚きながらも、これからの訓練に張りが出ると思い浩二はニヤリとする。


明日からの訓練が更に楽しみになった。



「ふわぁ~~っ…」



大きな欠伸をした浩二は、倒れ込むようにベットへダイブすると数分で静かに寝息を立て始めた。



浩二がこの世界に来てから約半月。

召喚され、捕えられ、助けられた。

ジェットコースターの様な半月。


浩二はやっと自由を手にした。


かつて『勇者に必須』とも言われた『見様見真似』のスキルと共に。






とりあえず一章はこれで終了です。


読んでいただきありがとうございます。

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