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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第六章 蘇る悪魔

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コロンの出番。


宝石から飛び出したコロンが期待した瞳で浩二を見る。

恐らくいつお呼びがかかっても良いように準備していたのだろう。



「全く、どれだけ楽しみだったんだよ。」



コロンの頭を人差し指で優しく撫でる浩二。

目を細め気持ち良さそうにするも、浩二の答えを待っているようだ。



「コロン、準備は良いか?」


「はいですっ!万端なのですっ!」



元気一杯に答えるコロン。



「皆も頼むな。」


「了解だよ!」


「任せて下さい。」


「ん!」



次々と宝石から飛び出て待機していた3人にも結界の展開をお願いする。

そうしないとコロンが本気を出せないからだろう。

3人も始めからそのつもりのようで、コロン同様気合いが入っている様だ。



「んじゃ、まぁ始めるか…っとその前に。」



浩二が横に立つドルギスとガイアの方を向く。



「えーと、これから盛大な土魔法を使います。この辺りの建物は多分巻き込まれてしまいますが…良いですか?」



少し済まなそうに言う浩二。

自分で言っておいて無茶苦茶な事は分かっているのだ。

ましてや自分の領地では無いのだから。



「うむ、構わんよ。寧ろ均してくれた方が色々助かる。ただし、この石壁の向こう側に限りな。」



足元の石壁を爪先でトンと鳴らした後、ナオのいる方向を指差し言う。



「了解しました、助かります。それじゃ、行ってきます!」



笑顔で右手を上げ、ヒョイと石壁の上から妖精達を引き連れて飛び降りる浩二。



「…これから何が起きるんです…?」



すっかり置いて行かれている兵士がドルギスに問いかける。

ドルギスは軽く兵士の方を向くと、肩を竦める仕草をした後に口を開く。



「さぁな。ただ、普通じゃない事態が起きる事は間違いない。お前達も覚悟だけはしておけ。なに、俺達に被害が及ばない事だけは保証する。」



ドルギスのお墨付きに何とも言えない表情を浮かべた兵士は、どうしていいかも分からずに今はただ浩二の後ろ姿を眺めるしか無かった。



□■□■



「行くぞ!コロン!」


「はいですっ!」



浩二は雪の残る地面に片膝を着くと、右拳を大地に叩き付ける。

コロンも負けじと浩二を真似て小さな拳を地面に付ける。



次の瞬間、雪の大地が静かに深く振動する。

未だ変化は見られない、ただ静かに揺れる大地。


ふと遠目に見える雪山が一つ崩れた。

正確には崩れたのでは無く、雪の下にあった建物が浮いたのだ。

それを皮切りに次々と大地から離れ宙を舞う建物達。



「…おい、おい…っ!」


「…確かに普通じゃないとは言ったけど…」



二人の兵士は自分達の立つ石壁の天辺を更に越え、高々と宙を舞う建物達を見て腰を抜かす。

そんな兵士の事など気にも留めずに次から次へと建物達は空を埋め尽くさんばかりに集まる。


そして…


一斉に砕け散った。

空を覆い尽くす無数の瓦礫。

互いに衝突を繰り返し、どんどん細かくなる。

まるで砂のようになった瓦礫達は今度は集まりゆっくりとその形を変えてゆく。


弾丸。

先端は鋭利でギラリと輝き、まるで吸い込まれるべき相手を探している様だ。

そして、無数の弾丸は漏れなく全て狙いを定め終える。



「ひゃあぁーっ!すっごいねーっ!」



スライムの攻撃をカウンターで返しながら空を見て嬉々としている。

そして、ナオはタイミングを測り距離を取った。


まるで示し合わせていたかの様に、浩二の2本の指が皇帝スライムを指す。



「行けぇっ!!」


「食らうのですっ!」



コロンが口にした途端、地面から無数の石で出来た棘が無作為にスライムを刺し貫く。

スライムは刺された先から波紋状に石ごと溶かしエネルギーへと変えてゆく。


が、それはあくまでその場に留める為の手でしか無く…



「コロン、名前は決まったか?」


「はいです!」


「そんじゃ、決め台詞はコロンに任せるよ。」


「は、はいなのです!」



コロンは浩二の腕の上に飛び乗り、同じポーズをとると声も高らかに叫ぶ。



「『石の雨』なのですっ!!」



次の瞬間、夥しい光の線が一斉にスライムを貫く。

貫通した弾丸は次から次へとスライムを削り取りながら大地を穿つ。


弾丸にその身を削り取られどんどん体積を減らしながらも、その身体が放つ禍々しい光は体積の減少に比例する様に強くなってゆく。



「さぁて!良い感じに身体が温まってるみたいだし、行くよ?」



馬鹿みたいな弾丸の雨霰をその身に受け止め、文字通り身を粉にしながらその全ての魔法をエネルギーに変換したその姿は最早最初の頃の姿など微塵も無く、大きさは半分以下にまで削られ漆黒だったその身体は虹色に輝き今にも爆発しそうである。

そして、ナオに気付く。


馬鹿げたエネルギーの全てを込めた一撃。

単なる体当たり。

触手なぞは使わず、己の身一つで突撃した皇帝スライム。


着弾と言う表現が正しいだろう。

圧倒的な物理攻撃。

全ての物質を粉々に打ち砕くが如く突撃する。

浩二の大魔法を全て吸収したそのエネルギーは尋常では無く、語弊無しに地上で無傷で耐える存在など皆無だろう。


残念な事にナオ以外は…だが。


どれだけ圧倒的だろうが、尋常では無いエネルギーであろうが、それが物理・・であるならばナオにとってでしかない。


そして、今のナオならその全ては自らに返って来るのだ。



「うわぁ…我ながらえげつないわぁ。」



腰に回る眩い光の輪に目を細めながら若干引き気味に口にする。

濃さと太さが圧倒的に違う。

まぁ、言ってしまえばスライム越しに浩二から魔法を物理攻撃に変換して受け取った訳だが。



「ん?何処に行くの?」



少しづつ自分から距離を取り始めた皇帝スライムを見て真顔で首を傾げるナオ。

見えない筈のエネルギーが見えているのだろうか?

しかし、逃げるのはいただけない。

何故ならばもうナオの標的になってしまったんだから。



「諦めが悪いよ?」



ナオは、ヤバいぐらい光り輝く拳をアッサリとスライムに向け振り抜いた。

読んでいただきありがとうこざいます。

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