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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第六章 蘇る悪魔

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201/405

ナオの考察。


浩二の持つ超レアスキル『絶対魔法防御』

何度と無くその効果を目にして何となくだけど分かった事がある。


あのスキルは魔法を消している訳では無いと言う事。

消しているのでは無く、変化させているんだと思う。


浩二の纏う『絶対魔法防御』のフィールドに触れた魔法は、恐らく『無属性魔素』に強制変換されて浩二の身体の周りにしばらく停滞し、やがて浩二が再利用及び自然界に散って行く。


それに気付いたのは浩二がレフトと戦っていた時だ。

浩二が魔法に触れた後、暫く浩二の周りに見えない靄のような物が見えていた。

見えないのに見えるとか言う問答は置いておいて、その靄は浩二が新たな魔法を使う時右手に吸い込まれる様に消えて行った。

それを見た時ふと思ったのだ。



ならば私の弾いた物理攻撃は何処へ行くのだろうか?…と。



「んー…分かんないなぁ…」



身体に意識を集中しても、身体を何かが通り抜ける感覚を感じない。

これはつまり、衝撃が身体の表面を滑るもしくは流れているのではないだろうか?


ナオは意識して攻撃を受ける場所やタイミングを少しづつずらしながら試行錯誤を繰り返す。

可哀想に…スライムは完全に練習台に成り下がっている。

それも仕方の無い話だ。

相性が抜群に良い…いや、スライムにすれば相性が悪過ぎた。


魔法を使って来ないからエネルギー変換出来ないし、物理攻撃に対するカウンターは全て受け流される。

このままではジワリジワリと削られていく運命なのだ。


しかし、ただ黙ってやられっ放しという訳にはいかないと言わんばかりに新たな触手を増やす皇帝スライム、その数10本。

一気に倍以上増えた漆黒の極太触手。


それを見たナオは…



「お、丁度良かった。回転上げたかったんだよね。」



次々と襲い来る触手を右手で受けたり左手で受けたり、時には背中で受けたりと、様々な場所、タイミングで検証する。

触手のスピードも相まってどこか踊っているようにさえ見える。



「…アレは何をしとるんだ?」


「…ふむ。全く分からん。少なくとも危機感は全く無いがな。」



ナオを兵士2人と壁の上に陣取り観戦していたガイアとドルギスのコメントだ。



「奴の触手には酸や毒があったよな…?」


「確か…剣が溶けた!って騒いでた奴がいた気がする…」


「そうだろうな…俺の盾だって早々に使い物にならなくなったしな。」



コチラはアゲイト族の戦士と魔法使いのコメントだ。



「ナオを溶かせる酸かぁ…きっとこの世界には無いんだろうなぁ。あのメイド服だって多分アルファ謹製だろうし…」



浩二はコメントを拾い呟く。

ナオの身体はオリハルコン製であり、魔法金属であるオリハルコンは魔法や酸による侵食に滅法強い…と言うかほぼ無効だ。


単純にオリハルコン製の武器や防具ならばその限りでは無いが、ナオはマシナリーでありその肉体は只のオリハルコンでは無く常に何らかの魔法を纏っている。

正確に言えば、受けた魔法を相殺する魔法を常に準備しその身に纏うことで擬似的な魔法無効状態にしているのだ。


本来この様な効果のある魔道具を作ろうとすればそれはもうとてつもない量の精神力と演算する為の魔核が必要になる。

攻撃を受けた瞬間にその魔法を解析し、同威力かつ反対属性の魔法を瞬時に体表面付近のオリハルコンに流すのだ。

更に相殺された魔法は無属性魔素となる為、それを素早く回収、再利用し次に備えるのだ。


全ては浩二の作り出した超高純度の魔核の成せる技であり、夥しい量の演算を一瞬で終わらせる事が出来るのはそのお陰だ。

それ程の魔核を数十個が、有りと有らゆる身体の要所にふんだんに使っているのだ、普通の筈がない。



「毒も酸も効かず…物理攻撃すら無効とは…最早魔法以外に勝ち目は無いではないか。」


「あー…でも、ナオの身体はオリハルコン製なんで多分魔法も…」


「「オリハルコンッ!??」」


「あぁ、それでは魔法でも無理だな。お前はとんでもない物を作ったものだ。」



浩二とガイアの会話にオリハルコンと言う言葉を見つけ思い切り食いつく兵士2人。

唯でさえナオがマシナリーだと教えた時は信じられない物を見るような目で見られたが…今はそれを軽々超えるような…複雑怪奇な表情を見せている。

オリハルコンが稀少かつ高価値なことが良く分かる反応だ。

まぁ、ガイアはサラリと流していたが。



「で?」


「で?とは?」


「アレは何をしている?まさか只スライムと踊っている訳ではあるまい?」


「あぁ…」



浩二は何となくではあるがナオが何をしたいのかアタリをつけていた。

だから、それについての助言も考えていた。



「あれは多分試しているんだと思います。」



そう、一言言って叫ぶ。



「ナオっ!『操気術』を思い出せ!アレと同じ様に物理の衝撃が何処を流れているかを見るんだ!ナオの眼なら出来るはずだ!」



そう、超高純度の魔核を複数個使われて出来ているナオの眼ならば…きっと何らかの反応を見せてくれる。



「…見る…」



浩二の方を黙って見たままポツリと呟く。

そして思案するようにその場で動かなくなるナオ。


そんな隙だらけの姿を見逃す筈もなく、複数の触手が一斉にナオを襲う。



「…五月蝿いなぁ…」



物凄く面倒な物を見る様な冷たい目でスライムを見たナオは最初に到達した1本の触手を半身をずらしてスレスレで躱す。

そう躱したのだ。

先程までは全て受け止めていたのに。


そのまま触手に沿って転がる様に回転しながらその根元まで到達したナオは、地面に深いヒビが入るほど力強く左足を踏み締め急停止し…



「…今考え事してんだから静かにしててくれる…?」



急停止による慣性をそのまま直線の力に変換し…スライムの胴体を力任せに右足で蹴り抜いた。


その威力は凄まじく、蹴り抜いた右足を中心に直径2m程の窪みが出来ると同時に波の様な衝撃が全身に伝わる…そして…

その巨体は数十m地面をバウンドする事無く吹っ飛び、雪のオブジェと化した大きめの建物にその身を飛散らせんばかりに激突した。

読んでいただきありがとうこざいます。

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