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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第六章 蘇る悪魔

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友。


「待っていたぞ大魔王。」


「すまない、色々と手こずった。」



背後に伸びる影から現れた来客に驚きもせず迎えるドルギス。



「……その雰囲気だと、今の所大丈夫・・・みたいだな。」


「あぁ、取り敢えず問題無さそうだ。…息災か?」


「ははっ、見ての通りだ。」



ドルギスは笑う。

そして、直ぐに表情を曇らせる…とは言っても普通は変化に気づかないが。



「ふむ。何か心配事か?」



気付く人もいる。



「いや、こちらの話だ。」


「なんだ水臭い。話してみろ。」


「……実はな…」



ドルギスは大魔王に浩二の事を話す。

包み隠さず、自らの心情さえ含めて。



「そうか、そうか!お前にも心から身を案じてくれる友が現れたか!嬉しいぞ!」


「…友?…違う、アイツは言わば同僚だ。」


「照れるな照れるな。信用出来ない振りなどしないで、新たな身体を貰えば良かったのだ。」


「…お前との約束を違える訳にはいかない。」


「…相変わらず真面目だなお前は。」


「仕方無い、これが俺の性格だ。」


「あぁ、知ってるとも。」



2人は近付き、握手を交わそうとしたその時、メイド服を着た何かが割って入る。

そして、そのまま二人の間を通り過ぎ、猛スピードで壁に激突した。


ガラガラと崩れ落ちる壁。

向こう側…外が一部見えている。


その何かは瓦礫を吹っ飛ばし憤慨しながら両手を高々と上げ叫ぶ。



「酷いよ!浩二の馬鹿っ!!」


「悪い!ナオっ!!焦り過ぎたっ!」



フルスイングの残心のままナオに詫びを入れる浩二。

何とも騒がしい2人組のご到着だ。


ナオの手を掴みそのままゲートインした浩二が見たのは、今正にドルギスを手に掛けようとしている大魔王の姿だった。

そうはさせるかと、掴んだままだったナオの手をブン回すようにたっぷりの遠心力と共に力任せにブン投げたのだ。


普通は即死クラスのダメージを受ける所が、崩れ落ちた壁から怒りの言葉と共に飛び出す辺り流石は『絶対物理防御』持ちの『総オリハルコン製』マシナリーのナオだ。



「私じゃなきゃ死んでるんだからねっ?!」


「分かってるよ、悪かったって。」



騒がしい二人を、固まったまま見詰める二人。



「ドルギスよ。今、「コージ」とあの獣人のメイドが呼んでたように聞こえたが?…まさか…?」


「あぁ、残念だが…アレがそうだ。」


「そうか…流石はドルギスを友と認めるだけはある。普通ではないな。」


「あっちのメイドも普通ではないぞ。」


「…どれ…むっ!?あの娘、マシナリーか!?」



大魔王の口にした言葉に片耳をピクッとさせて真顔になるナオ。



「浩二。あの大魔王さん、鑑定のレベル高いよ。私の『隠蔽』抜いて来た。」


「へぇ…どれ…」



普段は絶対にやらない無断鑑定を大魔王に対して掛けようとした次の瞬間、首筋に嫌な気配を感じ咄嗟に力を込める。


ギイィィンッ!!


金属がぶつかり合う様な音がして大魔王が右手を押さえている。



「…お前の首は一体何で出来ているんだ…?」


「残念ながら、少しばかり堅いんだ。」



目を見開いて驚く大魔王に対して涼しい顔で言い放つ浩二。

頑強値5万超は決して少しばかりでは無い。



「…それで……?」



浩二の目からハイライトが消える。



「今のは…開始って事で良いんだよな?」



爆発的に上がる浩二の殺気。



「お前が無断で俺を鑑定しようとしたんだぞ?」



そんな身も竦むような殺気の中、平然と口を開く大魔王。



「…それの報いが…命か?」


「人には大なり小なり嫌な事がある。その程度も人それぞれだ。」



至極当然の権利を主張され、軽く困惑し…思い至る。



「………確かに。相手が大魔王とは言え、礼儀がなってなかった。済まない。」



深々と頭を下げる浩二。



「いやいや、恐らくはドルギスの事を思ってだろう?ならばキツくは言うまい。」


「……一つ聞いてもいいか?」


「…ふむ。まぁ、良いか。一つだけだぞ?」



その場で腕を組み答える準備をする大魔王。

実に偉そうだ。



「ドルギスさんを殺す気は無いのか?」


「馬鹿を言うな。ドルギスは親友だ、間違っても俺が俺のうちは手を掛けたりしない。」



微妙な物言いに何とも釈然としないが、浩二の殺気が少しづつ消えてゆく。



「…浩二?…良いの?」


「…ん?あぁ、多分だけど…大丈夫な気がするよ。」


「そっか。浩二が良いなら私は良いよー!」



消えゆく殺気にナオが問い掛ける。

ナオ自身に戦う理由などない。

ナオは浩二が戦うから一緒に戦うのだ。



「…ふぅ…ヒヤヒヤさせる…」


「…全くだ。ハッハッハッ!!」


「笑い事ではないっ!」



何やら仲良さげに言い合う二人を見てすっかり気が抜けてしまう。



「えーと…色々聞きたい事があるんですが…」



すっかり敬語に戻る浩二。



「ふむ。もう戦闘は良いのか?」


「こらっ!大魔王っ!オマエはいい加減に…」


「…時が来たら、戦うかも知れません。でも、今じゃない気がします。」



ドルギスの小言を軽く流しナオにも視線を向ける。



「私は浩二が良ければいつでも良いよー!」


「はははっ、良かろう。色々と話しておこうか。これから先、世話になるかも知れないしな…良いな?ドルギス。」


「…はぁ…勝手にしろ。…疲れた。」


「いつも苦労を掛ける。」


「分かってるなら少しは自重しろ…全く。」



二人の様子を黙って見守る浩二。

随分と仲が良いようだ。

ある意味微笑ましくもある。


そんな事を考えていると、屋敷の入口に人の気配が。



「マスター?事態は終息したと考えて宜しいですか?」


「あ…!すまんタロス!皆を呼んで来てくれるか?…良いですか?大魔王さん。」


「今更増えても問題あるまい。オマエにとって大切な者達なんだろう?ならば構わぬよ。」


「ありがとうございます。」



屋敷の中で話を聞くらしく、応接間へ通された一行は色々と驚きの事実を知る事になる。



読んでいただきありがとうこざいます。

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