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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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お引越し。


「あら?もう荷造りは済んだのね。」



第一拠点へと浩二に見送られ転移して来たソフィア、シルビア、サーシャの3人と入れ替わるように、人族組の5人がアニマルマシナリーを伴い何やら手荷物を持ち大灯台へと歩いて来た。



「荷造りって言ってもそんなに量があったわけじゃないし。」



ボストンバッグ位の革で出来た鞄をポンと叩き麗子は言う。

同じく舞と蓮、栞も似たようなものだ。

猛に関しては、背負い袋一つという身軽さだ。



「遂に引越しかぁ…あの屋敷に住むとか、羨ましい限りね。」


「本当よ…出来るなら変わって欲しいわ。」



エルフの姉妹が真顔で言う。



「お母様もシルビアも、離れを提供して貰った上に毎日通ってまだ不満なの!?」


「やっぱり通うのと住むのじゃリラックスの度合いが違うわ。」



サーシャの言葉にウンウンと頷くシルビア。



「シルビアはともかく、お母様はもう少し自重して下さい…」


「分かってるわよぉ。」



作り笑顔で手をヒラヒラさせるサーシャ。

コレは絶対分かってない奴だ。



「そんじゃ姐さん、世話になりました!」



母の適当な返事に溜息をついていたソフィアに90度の綺麗なお辞儀をしてお礼を言う猛。

習うように後ろの4人も頭を下げる。



「ふふっ、良いのよお礼なんて。困ってたから助けた、ただそれだけなんだから。私はシュレイド城にいるから、いつでも遊びに来て…って言っても、殆ど毎日コージの屋敷に行くけどね。」



後ろの母とシルビアをチラリと見て苦笑いをする。

お守りも大変そうだ。

まぁ、ソフィア自身も温泉は嫌いではないのだろうが。



「それじゃ、また明日ね。」



ソフィアが笑顔で手を振る。

5人も手を振り返す。

勿論笑顔で。



□■□■



浩二の屋敷の門前。

パンパン!と空気の破裂音を響かせエアバイク4台とエアバギーが1台が、予め決めてあった屋根付き駐車スペースに静かに収まる。


名前に拘りは無く、空気で進むのでエアバイク&エアバギーに決まった。

一応防犯の為、アニマルマシナリー同様に専用車両を決めてあり、目立たない程度にカラーリングの違いがある…とは言っても車体サイドに一本ラインが引いてあるだけだが。

猛は勿論赤、麗子は青、蓮が黒で、栞が緑、舞が白のラインだ。


この段階でそれぞれの戦隊物的カラーリングが決まってしまった事は浩二だけの秘密だ。


車体は鋼とミスリルの合金製で、目に見えない程細かいハニカム構造で出来ていて、色はシルバーに薄い青が混ざった感じだ。


あれから試乗の結果特に不具合はないようで、マイマシンの登録を済ませカラーリング変更の後、約束通り個人にプレゼントという名の納車となった。

浩二の屋敷へと引っ越す事も決まり、最初は遠いながら横断道路を走って屋敷から第一拠点へ通う予定だったが、シルビアの素早い対応により、その必要はなくなり今は龍の見張り台から屋敷までの数kmを足替わりに乗る程度となった。



「お帰りなさいませ皆様。マスターがお待ちです。」



門の横にある入口、脇戸の前に佇み5人が来るのを待っていたデルタが扉を開き招き入れる。



「おう、お帰り。取り敢えず離れに案内するよ。」



玄関で待っていた浩二は、特に何を言う訳でもなく離へと案内を始める。


廊下を歩き、何時もの応接間を通り過ぎ渡り廊下を歩いて行くと廊下が二手に別れる。

片方はご存知露天風呂だ。

そしてもう片方が離れになる。


渡り廊下の突き当たりから直角に続く廊下に並ぶ5つの部屋。

更に突き当たりから軽く曲がり更に廊下が続きそこにも5つの部屋があった。



「あの角をこっちに来たのは初めてだったわね。」


「うん、お風呂しか入って無いもんね。」


「今目の前にある部屋がソフィアのお母さんに提供してる部屋だから、そこ以外なら好きに使ってくれ。」



廊下を渡って直ぐの部屋、浩二が指差した扉の前に「サーシャ」と書いてある。



「凄いね…何か和風旅館みたい。」


「本当にね…何か申し訳なくなって来たよ…」


「あぁ、気にしないでくれ。どうせ最初から皆を住ませる事を前提に作ったんだしな。一応全部屋畳張りで、アルファ特製羽毛布団完備だ。」


「畳と布団!?」


「そりゃな。畳はともかく布団が無きゃ取り敢えず寝れないだろ?後からフローリングに変えたいなら言ってくれ。すぐに変えるからさ。」



浩二は手近な部屋の襖を開くとそこは十畳一間の和室になっており、入って右側には押し入れがありそこには布団が畳んで仕舞ってあり、逆の壁には小さめの箪笥と足を畳んだ卓袱台が立て掛けてあった。

そして、正面には大きめで両開きの窓があり、見える景色はいつの間にか緑溢れる日本庭園のそれだった。


唖然とする一同。

それはそうだろう。

前の世界ならば普通に考えても温泉旅館のそれであり、1泊1万数千円は軽くかかりそうな雰囲気な上、着物姿の中居さんに案内されて「お部屋はこちらになります。どうぞ、ごゆっくりお寛ぎ下さいませ。」なんて言われれば疑いなく信じるレベルだ。



「あーーっ!!やっと来たぁっ!!」



明らかに引いているそんな一同の緊張をぶち壊す声が響く。

既にいち早く帰宅し、先に部屋を選んでいたナオだ。

しかも、タロス同様空を飛んで…だ。

更にタロスと違い、オリハルコンボディの彼女は「縮地式ブースト」まで使いこなしてしまった。


何故飛んできたかと聞いたら…



「転移陣はいつでも使えるもん。飛ぶ練習もちゃんとしとかなきゃね!」



だそうな。

因みに浩二同様エアバイクもエアバギーも持っていない。

何故ならば…走った方が速いからだ。

その内「楽しそう!」という理由で乗るかも知れないが。


最初浩二と同室にしないのか?と聞かれたが断り自室を求めた。



「乙女にはプライベートな空間が必要なの!」



と。

分かる気もするが。


そんなナオが固まる一同に纏わり付き自分の部屋へと案内を始めた。

お陰で幾分リラックスしたのだろうか?部屋を選び始めた。



「んじゃ、決まったら教えてくれ。ガンマに部屋の場所教えとくからさ。」



浩二はそう言うと右手をヒラヒラさせて渡り廊下を戻って行った。

読んでいただきありがとうこざいます。

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