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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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ドワーフとエルフ。


「昔、ドワーフが人族で迫害を受けていたのは知っているわよね?」



浩二の屋敷の縁側。

何時もの変わらない満月を眺めながら、西瓜のような果物を口にしつつソフィアの母「サーシャ」が浩二に問い掛ける。



「はい。何やら王族の武器製作依頼を断って、他種族に同じ物を作り与えたのが理由だって聞きました。」


「そう。正確には『人族には扱えない武器だから、他の武器では駄目ですか?』って聞いたら、その武器が良い!それを作れ!って。」


「子供か。」


「で、その武器職人がまた頑固を絵に書いたような人物でね…言わなきゃ良いのに『使えない武器を作り与えるなど、武器に対して失礼だ。』って言っちゃったのよ。」



浴衣の袖を弄りながらサーシャが溜息をついた。


この浴衣はアルファが『湯上り用』として作ったものだ。

屋敷の温泉に通うサーシャの為に浩二が依頼した。

湯上り後のお肌の手入れをする時に浴衣の方が何かと便利だと思ったのだ。

案の定、気に入って貰えたようで湯上り後は、自領に帰るまで浴衣で過ごしている。



「あぁ、俺のドワーフって種族のイメージもそんな感じです。腕は確かで頑固で自分の気に入った相手にしか物は作らないって感じで。」


「うん、正にそんな感じ。でね、そう言われた当時の王様が…やっちゃったのよ、バッサリと。」


「王族って王様自身かよ…てっきり末端の頭が固い王族辺りが勘違いを拗らせて冤罪をバラ撒いたもんだとばかり…」


「コージ君も結構辛辣ね…。そのドワーフは運良く生きていたんだけど…バッサリいった場所がよりにもよって腕だったの。」


「…うわぁ…最悪だ。」


「治療はしたけど結局元には戻らなくて…更に追い討ちを掛けるように『件の武器を作らないならば、ドワーフは人族領から出て行ってもらう。』って。」



何だろう?

もうずっと昔の話なのに…物凄い腹が立つ。

こういう人物は絶対に権力を持っちゃいけないな。



「でね、彼よりも腕の良い職人はドワーフの中には存在せず、しかも彼はバッサリいかれて腕が使えない。結局、人族の王様のせいで武器は作れず人族領にあった大鉱山から追い出され、抵抗すれば捕まり処刑されたわ。でもね、そのドワーフに最初に手を差し伸べたのがエルフだったの。」


「エルフが…?」


「うん。逃げ果せたドワーフ達をエルフの隠れ里に匿い、それだけじゃなく人族領に捕まったドワーフを助ける手助けをしたの。」


「その頃から仲が良かったんですか?」


「んー…本当はこの事件の直前までは不仲だったのよ?」


「え?」



浩二の疑問をサーシャは笑顔で否定した。



「エルフもドワーフも基本はプライドが高くて、自分の技術は絶対だと思っていたわ。エルフは魔法技術を使い細かな細工やエンチャントを得意とし、ドワーフはそれらを乗せる土台となる武器や防具等の圧倒的加工技術を持っていた。でも互いに決して認め合わす、自分達より劣る部分を互いに乏しめ合っていたの。」


「…その辺りの関係は向こうの世界のイメージと同じですね。」


「でも、ちゃんと互いを認めてはいたの。その証拠に、あるドワーフの職人がエルフの作った一振りのレイピアを見て思わず口にしたの「此処まで素晴らしい魔法付与が出来るのに実に惜しい。」って。そしてその言葉を聞いたエルフと職人がそのドワーフが背負うバトルアックスを見て言ったの「その斧、素晴らしい可能性を秘めているのに…惜しいな。」って。」


「おお!何かいい感じですね!」


「ふふっ、でしょ?でね、互いにその時はそれで別れたんだけど…後日、ドワーフの職人は一振りのレイピアを持って来てこう言ったわ。「儂の全てを込めて打って来た。このレイピアに貴殿の魔法付与を施せば…世界一の一振りとなろう。」そう言ってレイピアを置いて去ろうとしたドワーフを、今度はエルフの職人が引き留めて「ならば貴方のその斧をお借りしたい。次に会う時、その斧はこの世に並ぶもの無き1本になって居る筈ですから。」って。結局二人は酒を飲み交わす程の仲になったわ。」


「あ!まさか、ルグルドの広場の真ん中にあったエルフの女性とドワーフの男性が並んでレイピアと斧を重ね合わせた像って…」



浩二はこの間石英ガラスをルグルドに届けに行った際、馬車の窓から見た大きな広場の中央に鎮座した立派な石像の事を思い出す。



「そう。あれがその2人の石像よ。エルフ史上最高のエンチャンター『アルテナ』と、ドワーフ史上最高の武器鍛冶にして武器職人の『ゴルド』この二人のお陰でエルフとドワーフは互いを認め合う事になったの。でも、ゴルドは人族の王に腕を潰されてしまった。そして、ドワーフ達の危機を知ったエルフ達は、アルテナの願いを聞き入れ当時隠れ里だったルグルドをドワーフ達に提供したのよ」


「凄い二人だったんですね。」


「えぇ、それにね?」



唇に人差し指を当て悪戯っぽく笑うサーシャ。



「最初にドワーフとエルフの異種結婚をしたのもこの二人だったのよ。」


「マジですか!?」


「うん、マジマジ。利き手を使えなくなったゴルドを支えて沢山の優秀な鍛冶師を育成したらしいわ。勿論エンチャンターもね。」



その話もあの城塞都市を見れば嘘じゃないとわかる。



「で、それから二人にあやかってエルフのエンチャンターもしくは細工師とドワーフの鍛冶師がカップルになる事が凄く増えたのよ。それで分かったことが幾つかあるの。子供が産まれた場合、必ずドワーフかエルフのどちらかになるの。両方の特性を受け継いだ事例は一度も無いわ…容姿以外はね。」



確かにソフィアは何方かと言えばエルフ寄りだ。

でも、能力的なものは明らかにドワーフだ。

ハイブリッドは生まれないと言うことか。



「さぁ、そろそろ帰るわよサーシャ。」


「うん、今行くわ姉さん。」



話が終わるのを待っていたのか、単に出された羊羹が無くなったからだろうかシルビアがサーシャを呼び帰り支度を始めた。



「それじゃ、行くわねコージ。また明日来るわ。」


「あぁ、陣まで送るよ。」



浩二は先に玄関に向かった母姉妹を追いかけソフィアと一緒に玄関へと向かった。




読んでいただきありがとうこざいます。

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