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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第一章 ドワーフは魔族!?

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ステータス確認。


スミスが勇者達に説明という名の説教をした後、彼等が訓練所を後にするのを待って地下牢に戻る事にした。


浩二はゆっくり歩きながら訓練所の出口に近付く。

すると、兵士達は海が割れるように慌てて浩二の通る道を空ける。

恐らく彼等にもスミスの話が聞こえていたのだろう。



(大袈裟だなぁ…)



割れた海の間を居心地が悪そうに歩いていると、いつもの兵士二人が浩二へと駆け寄り、いつもの様に連れ立って地下牢へと向かった。



□■□■



「さて、便利な物も手に入ったし色々確認だな。」



戻って来た地下牢で胡座をかいてプレートを手に持ち、ステータスを表示させながら浩二は呟いた。



「確か…タップしたら詳細が出るとか言ってたな…」



早速気になる部分をタップしてみた。



□■□■



『人形師』

遠隔操作出来る人形や、命令を遂行するゴーレムを創り出し行使する者。



『操気術』

気を操り、半物質化した気を武器にも防具にもする事が出来る。

体力を消費する事で持続時間が伸びる。

肉体から長時間離すことは出来ず、物質化した気を投げるなどした場合、数秒で消失する。

スキルレベルが上がれば、気と魔力を練り合わせることにより精神力の代わりに体力で肩代わり出来るようになる。

『操気術』を行使するものを『氣法師』と呼ぶ。



『見様見真似』

複数人とのスキルを用いた戦闘を短期間に繰り返す事で得られるレアスキル。

集中してスキルを見る、もしくは身に受けることで『見習い』として習得することが出来る。

習得した見習いスキルは本来の威力の10%で行使でき、LV10まで上げると見習いが消え、自身のスキルとしてLV1になり覚え直す。

一定の期間使わなかった見習いスキルは消失する。



『黄昏の人形師』

遠隔操作出来る人形を創り出すスキル。

人形は、コアを内蔵する事により自らの五感とリンクさせることが出来る。

行使中は精神力を消費する。

作成出来る人形の質は魔力とスキルレベル依存。

リンクさせられる感覚はコアの純度依存。



『黄昏の傀儡師』

単純な命令を遂行するゴーレムを創り出すスキル。

ゴーレムは、コアを内蔵する事によりコアに書き込まれた命令を遂行する。

周囲の魔素を燃料とし、魔素が希薄な場所では行動出来ない。

基本はどんなものでもゴーレム化出来る。

作成出来るゴーレムの質は魔力とスキルレベル依存。

命令の質はコアの純度依存。



『魔核作成』

魔核(コア)を創り出すスキル。

本来魔核は魔物の体内にのみ存在し、成長と共に大きさと純度が増していく。

強い魔物の魔核は総じて大きく純度も良い傾向にある。

スキルで創り出す魔核の純度は魔力依存。



□■□■



「ふむ…色々ファンタジーだなぁ…」



腕を組んでしみじみと言う。



「とりあえず…色々試してみるか。」



浩二は立ち上がると居合抜きのような格好を取る。



「確か…こんな感じで…素早く…っ!」



勇者の一人が使っていたスキル『パワースラッシュ』を再現するべく、手刀を剣に見立て素早く真横に振り抜く。

すると、その手刀は青い光を帯び薄暗い地下牢に光線を残す。



「へぇー…案外出来るもんだなぁ。」



最初は剣を持たなければ出来ないかとも思ったが、やってみるものである。



「まぁ、威力10%だけどな…とりあえず暇を見てレベル上げとくか。」



戦い方の引き出しが増えるのはいい事だと威力の事に関しては割り切ることにする。



「次は…火の玉か…」



掌を地下牢の壁に向け目を閉じる。

蓮の放つ火炎球をイメージ。

目を開き丹田に力を込め放つ。



「火炎球っ!」



すると、青白いビー玉程の火の玉が物凄いスピードで掌から射出され、ゴッ!という音を立てて壁に小さな穴を穿つ。



「なっ!?なんだ?今の…青かった…よな?」



明らかに予想していたものと違う事に戸惑う…が、



「もう一回試してみるか。」



すぐさま気を取り直し、同じ要領で火炎球を放つ。

放たれた青白い炎のビー玉は、狙いに違わず先程空けた穴のすぐ横に同じ様に穴を穿つ。



「やっぱり青いし小さいな…それよりも…速い…」



優に蓮の放つ火炎球の数倍はスピードが出ている。

しかも狙い通りの場所にしっかり着弾していた。



「コレ…人に撃って良いもんじゃ無いな…」



拳銃の弾丸…程速い訳じゃないが、見てから避けるにはコツがいりそうなスピードだ。

しかも石壁に穴を開ける威力。



「これで10%って…間違いかなにか…あっ!」



浩二は頭に浮かんだ言葉を口にする。



「操気術…か。」



青い炎といい、魔力依存の魔法が魔力の低い、更に見習いによる威力10%という縛りがある浩二が放ったにも関わらずあの威力。

恐らくさっきの説明にあった「気と魔力を練り合わせる」という事なのだろう。



「本当に…気ってこの世界では万能だなぁ。」



武器にもなり防具にもなり、魔法の威力まで変えてしまう。


浩二は瞳を閉じて天を仰ぐ。

空は見えないが…元いた世界の空を思い浮かべながら頭の中で感謝する。



(師匠…本当にありがとうございます。俺は師匠のお陰でこちらの世界でも…まだまだやれそうです!)



再び目を開いた浩二は、新たに得た力を習熟すべく繰り返し練習に励み始めた。



□■□■



月明かりが差し込む石造りの小部屋。

それなりに立派なベッドで小さな寝息を立てている女の子をチラッと横目で見ながら彼女は音も無く床に降り立つ。


あたりに人の気配が無いことを確認した彼女は、器用にドアノブを捻り部屋を出た。

音を立てないようにドアを閉めるのも忘れずに。


月明かりと篝火だけが照らす人気の無い廊下を素早く抜け、目的の場所へと到着する。


詰所の小窓の下を通り抜け、後はひたすら階段を下るのみ。


彼女は急いだ。

可及的速やかに伝えねばならない。



3日後、浩二の処刑が決まった事を。



読んでいただきありがとうございます。

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