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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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ソフィアの母。


一体どれだけの年数をかければこれ程の建物が出来上がるのだろう?

最早、「建物に彫刻が施されている」のでは無く「彫刻が建物になっている」と言うのが正しい。

しかし、建造物が教会なだけあって決して派手な訳では無い。

要所要所に散りばめられた芸術的なまでの彫刻達がこの教会を『大教会』たらしめているのだ。



「本当に凄いな…あの女神様の像なんて…本当に見たまま同じだし。」


「そうなの!?」


「え?なんで驚くんだ?見て作らなきゃあそこまで完璧に出来ないだろ?…うん、何度見ても女神様そのものだよ。」


「…そう。ふふっ、この像を彫った職人が聞いたら失神するぐらい喜ぶわね。コージは何度か直接会った事があるんだろうけど、今迄私の知る限り女神様が人々に姿を見せた事は一度も無いわ。」


「一度も!?」


「えぇ、一度も。」



驚いた。

あの人懐っこい女神様が姿を現さないなんて。


でも、なら何で…



《俺とナオには姿を見せたんだろう?…かい?》


「うおっ!?…びっくりしたぁ…」


《ふふっ、久しぶりだねコージ君。》


《脅かさないで下さいよ…お久し振りです女神様。お元気でしたか?》



突然大きな声を上げて驚く浩二を、同じく驚いた顔で見ていたソフィアに身振り手振りで女神様と会話している事を教える…とは言っても女神像を指差した後に自分の頭を指でトントンと叩いただけだが。

それだけで察しのいい彼女はそれに気付き一歩身を引いてくれた。



《あぁ、元気は元気なんだが…少し仕事が溜まってしまってね…纏めて一気にやっていたらこんなに時間がかかってしまったよ。》



はははと力なく笑う女神様。

女神様の仕事って、溜めてから一気にやって良いものなのだろうか?



《仕事はコツコツ溜めないように消化する方が後から楽ですよ?》


《分かってはいるんだがねぇ…君達を見ていると仕事にならないんだよ。仕事場は別の場所だからね………もう、鏡を仕事場に持って行こうかな…》


《何をする気かは分かりませんが…仕事とプライベートは分けましょうね?》


《…君までアイツと同じ事を言うんだね。》


《アイツ?》



誰の事だろう?

女神様以外にも神様が居るのだろうか?



《違うよ。アイツってのは私の秘書みたいな物さ。》



女神は浩二の想像を口にする前に否定してくる。



《へぇ…そんな人が居るんですね。》


《…人じゃ無いけどね。》


《え?》


《何でもないよ。それより、私がなぜコージ君とナオだけに姿を見せたか…それは…》


《…それは?》



わざとらしく間を開けて焦らして来る。



《私が君を気に入ったのと、ナオが君のお気に入りだからさ。》



その割にアッサリと答えを晒す。



《それだけでなんですか?》


《うん。間違いなくそれが理由さ。それにしても…凄いよね、その石像。まるで本当に見ながら作ったみたいだよ。》


《えぇ、俺もそう思いました。》


《それじゃ、ソフィアちゃんに伝えといて。女神様も喜んでたよってね。》


《はい、確かに伝えます。それじゃ、仕事頑張って下さいね。》


《はははっ、そうだね、頑張るよ。》



何となく弱々しく感じる笑い声を残して女神様との念話を終えた。



「…女神様との話は終わったの…?」



それを感じ取ったのか、ソフィアが遠慮がちに話し掛けてきた。



「あぁ、終わったよ。で、女神様からソフィアに伝言だ。」


「伝言…?」


「その女神像を見て「女神様も喜んでたよって伝えておいて」だって。」


「っ!!!本当に!?」


「あぁ、まるで見て作った様だって感心してたよ。」



ソフィアの驚き様が半端じゃない。

きっと女神様に認められるって物凄く光栄な事なんだろうな。

そりゃそうか…信仰心だけでここまでの教会を作ってしまうんだから。


ソフィアの興奮が冷めやらぬ中、浩二とソフィアが入って来た扉から見た事のある人物が現れた。



「おお!ソフィアにコージ、来ておったのか!」


「お爺様!えぇ、先程来たばかりです。」


「お久し振りです、ギルさん。」



軽い挨拶を交わしていると、ギルの後ろから見たことの無い女性が姿を見せる。

そして、浩二を見て目を見開き…直ぐに何かに納得した表情を浮かべた。



「貴方がコージ君ね?」


「はい、そうですが…貴女は…?」


「お母様っ!?」


「え?お母様…?」



こちらを見てにこやかに笑う女性。

彼女が…ソフィアのお母さん…?


え?でも…


「ふふっ、やっぱり知らないのね?」


「あ!確かに話した事無かったわ!」



頭にクエスチョンマークが浮かびまくっている浩二に向かい笑い合う二人。

浩二が混乱する理由。

それは、



「私のお母様はエルフよ。」



そう。

浩二の知るシルビアと同じく長い耳に銀髪の…どこから見てもソフィアの母はエルフだったのだ。


しかし、ソフィアは確か…



「私のお父様がドワーフなのよ。」



浩二の疑問を解決すべく、一番簡単な答えを口にするソフィア。

それでも微妙な表情で首を傾ける浩二。



「ふふっ、本当に不思議そうな顔をするのね。話に聞いた通りだわ。」



そんな浩二の反応を楽しそうに見ているソフィアの母。



「えーと、話が見えないんですが…」


「昔から勇者にこの話をすると不思議そうな顔をして驚くって有名な話なのよ。だから、異世界から来たコージ君もそうなのかな?って試してみたの…ゴメンね。」



成程。

そりゃ、時の勇者達も驚いただろうさ。

エルフからドワーフが生まれた事も驚きだが…



「ドワーフとエルフが結婚する事がそんなに不思議かしら?」



ソフィアのお母さんが言う通りそれが一番の驚きだ。

なにせ、向こうではエルフとドワーフは犬猿の仲ってのが常識だったんだから。



「えぇ、向こうの常識では有り得ないレベルです。結婚どころか、近くに居れば喧嘩しかしないイメージです。」


「そんなに?こっちでは、凄く仲良しよ?両種族とも職人気質な人が多いしね。」



あぁ、確かに言われてみればそうかも。

でも、やっぱりエルフとドワーフのカップルはちょっと違和感を感じちゃうよな。

読んでいただきありがとうこざいます。

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