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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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城塞都市ルグルド。


轟音を上げ青い炎を足から吐き出しながら飛翔する物体。

それは深い大森林の上空を十数分飛んだ後、更に加速した。


やがて森が切れ、広大な草原地帯が眼下に広がる。

そこには点々と小さな村のようなものがあり、それを農地ごと簡素な木の柵で囲んでいるようだ。

やはり生活には水源が必要なのだろう、主に川沿いに村が作られているようで、山脈から流れ出す川沿いに幾つもの村が見て取れた。



「やっぱり、広い土地だけあっても困るよな。」



村以外の手付かずの草原や森などを遥か上空から眺めかながら浩二は呟く。

同じくだだっ広い土地を持つものとして思う所があるのだろう。


そんなことを考えながら山脈沿いに飛んでいると、遥か前方に何やら要塞のようなものが見えて来る。


山脈に寄り添う様に幾重にも築かれた立派な城壁。

その城壁は、上に向かうにつれて狭くなっており一番高い位置にある城壁内には小さいながらも城のような建物が見える。

一番広い区画はおそらく居住区だろう。

密集した背の低い建物まるで迷路の様な路地に配置され更に混乱を招く。

恐らくだが、建物が先で後から路地を引いたのだろう。

住んだら絶対迷う自信がある。


そして、一番広い城壁…もうこれは文字通りの壁、絶壁が街の外と中を完全に隔てている。


砦のような要塞のような街。

これはもう間違いないだろう。

ここが目的地の城塞都市ルグルドだ。


浩二はスピードを緩め着地する為にジェットエンジンを停止、反転して物理結界を多数展開…その数30枚。



「うっし!行くぞっ!」



まるで某ライダーの様な蹴りで次々と物理結界を蹴り砕いていく浩二。

全ての結界を砕き終えた浩二は、いつもの様に地面を削りながら着地した。


丁度城門の近くに上手く着地出来た浩二は、その聳える城壁を見上げて溜息をつく。



「凄いな…なんつー高さだよ。」



上空から見た時はあまり感じなかったが、こうして目の前に立つと改めてその馬鹿げた規模が分かった。

一体何に備えてこんな高さを用意したんだろう。

城門も結構高い位置にあり、そこまでは幅の広い階段で繋がっている。

近くには馬車で訪れた商人だろうか?荷物を馬車から下ろしている。

少し遠くに馬車置き場のような場所が見えるから、多分この城塞都市には馬車の乗り入れが出来ないのだろう。

必要な場合は門内で都合を付けるしかなさそうだ。


そんな事を城壁を見上げながら考えていると城門から数名の武装した兵士がこちらに向かって走って来る。

何をそんなに慌てて居るのだろうか?


武装か重いのだろう、やっとの事で辿り着いた兵士は浩二との距離を取りながら話し掛けてきた。



「き、貴様っ!何者だっ!ルグルドに何の用だっ!」


「えーと、ガラスを届ける為に来たんだけど…」



轟音を響かせ城門前へと降り立った不審人物に対して、距離を取りつつ油断なく構える兵士達。

浩二は少し戸惑いながらも正直に答える。



「ガラス?…何の事だ?」


「え?…ソフィアかギルさんから聞いてない?」


「…ソフィア様とギル様の知り合いか?」


「あー…うん。浩二が来たって言えば分かると思うんだけど…」



兵士達は顔を見合わせ少し話すと頷き浩二に向き直る。



「申し訳ないが、一緒に来て貰えるか?!」


「え?」


「今はソフィア様が不在でな。ギル様に確認を取らなくてはならん。」


「あー、成程。でも、多分そろそろソフィアが転移陣で来る筈なんだけど…」


「…そこまで知っているとは…貴方は一体…」



少しづつ浩二に対する兵士の対応が丁寧になり始めている。

ソフィアとギルの名前が出たのが大きいのだろう。



「あぁ、まだ名前しか言って無かった。俺は岩谷浩二。『傀儡の魔王』って言ったら分かる?」



『魔王』と言うその言葉を耳にした瞬間、兵士の身体がビクッと跳ねたかと思えば、武器を手放し綺麗に敬礼を始めた。



「魔王様とは知らず、数々の無礼!お許しください!」



先頭にいた兵士がそう叫ぶと、一斉に兵士がその場で直立不動になる。



「あぁ、そんなに畏まらないで良いから。別に何とも思って無いよ。お勤めご苦労様です。」


「ハッ!ありがとうございます!」



ガッチガチに硬くなった兵士達を前に苦笑いしていると、遠くから赤い何かが走って来るのが見えた。

よく見ると…



「あ、ソフィアだ。」



浩二の言葉に今度は走って来るのがソフィアだと気づき、そっちにも敬礼を始めた兵士達。

忙しいな彼等も。



「コージ!アンタ一体どんだけスピード出してんのよっ!」


「いやいや、これでも山脈沿いにゆっくり景色を眺めながら来たんだぞ?」


「それにしたって転移陣で来るより速いって何なのよ。お陰で兵士達へコージが来るって伝達が遅れちゃったじゃない。」


「あぁ、そっか。ゴメンな。皆さんも…すみませんでした。」



兵士達に向けて頭を下げる浩二。



「いやいやっ!頭を上げてくださいっ!いや、ホントにっ!大丈夫ですから、全然大丈夫ですからっ!」



軽くパニックを起こす兵士達。

それはそうだろう。

浩二は知らないだろうが、下手をすれば一国の王よりも権力があるのが『魔王』と言う存在なのだ。

それが一般の兵士に頭を下げたとなれば、パニックになるのも仕方が無い。


ソフィアも浩二の性格上、それが心配で早めに到着する予定だったのだ。

なのに、予想外に浩二の到着が早かった為案の定こうなってしまった。

浩二は自分の立場と言うものに自覚が無さすぎるのだ。



「ほらコージ、兵士達が困ってるわ。それよりも大教会へ行きましょ。ガラスはそこにお願いするわ。」


「あぁ、分かったよ。」



浩二は軽く兵士達に頭を下げると、ソフィアに手を引かれ城門へと引きずられて行った。


とてつも無くデカい城門を抜け、用意してあった馬車に乗り移動すること十数分…到着した大教会を見上げ呆然と佇む浩二。



「ここが大教会よ!」


「……なぁ、コレ200で足りないよな…?」


「だから言ったじゃない…取り敢えずって。」



その大教会は大と頭につく通り、驚く程巨大なものだった。

ステンドグラス以外にもガラスが至る所に使われ、キラキラと陽の光を反射するその真っ白な建物は紛うことなき神聖な建物に見えた。

案内された建物の中を見た浩二はしばし言葉を失った程だ。


ソフィア曰く、

「このルグルドが出来たのとほぼ同時にこの場所に建てられ、街が大きくなるにつれて建て直しや増築が繰り返された結果、今のルグルド大教会になったの。街に住む建築系と芸術系の職人技の粋を集めて拘り抜いた自慢の建築物よ。」



無い胸を張ってソフィアは誇らしげに語った。

遅れてすみません。


いつも読んでいただきありがとうこざいます。

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