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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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移動手段。


「取り敢えずはこんなもんだな。」



浩二の目の前にはこの世界では珍しい物が数台並んでいた。


場所は浩二の屋敷のある敷地の一部…蔵がいくつか並んでいる場所があり、その蔵の内の一つが浩二のラボになっている。

最初はソフィアからガラスの代金の代わりに受け取った金属のインゴット置き場だったのだが…

浩二が魔道具を作る際に近くにインゴットがあった方が便利だと自前で作業机を作り設置。

灯りの魔道具を天井に配置して自分のラボにしてしまったのだ。


横断道路を作り終えた今では、比較的この蔵にいることが多い。

そう、道路は作り終えたのだ。


順を追って説明しよう。



浩二が巨大湖を作って一週間が過ぎた。


今見ても嘘のように豊富な水をたたえ、太陽光を反射しキラキラと輝いている。

その湖の周りには、ついこの間生え始めた椰子の木のような木が、数本づつ密集して湖の畔の所々に点々と生えていた。

コロン曰く「この子達次第では次の世代はもっと増えるのです!」だそうだ。

あくまで実験的な側面が強い様だが、コロンがみすみす木達を枯らすとは思えないので、きっと将来この辺りは椰子の木パラダイスになるだろう。


コロンと言えば、浩二の屋敷を囲った城壁内でハボの木の栽培を開始した。

何やらあの城壁内ぐらいの乾燥状態が丁度良いらしく、次第にその数を増やしつつある。

無駄に広大な敷地を囲ってしまったが、無駄にならなくて良かった。


他にも転移陣のある祠から第一拠点の正門までの一本道が並木道になった。

コロンとサヤは「オークの木」と言っていたが…



「なぁ、タロス?」


「はい、マスター。」


「あれって柏の木だよな?」


「はい、葉の形から恐らく柏の木で間違いないでしょう。」



ってな感じで、あれは明らかに柏の木だった。

そして、柏餅を食べたくなった。


そんな浩二の頭の中が見え見えなのか、タロスが餅米と小豆を探し出す事を浩二の隣で並木道を眺めながら心に決めていた。



1週間程度で気温や湿度がそれ程変わるはずも無い…等と思って居たのだが、湖の周りは目に見えて変わり始めていた。

寒さには弱い椰子の木が育つ位には夜が暖かくなって来たのだ。


最初の頃、草木の根が大地に張るまではミラが火の魔素を使い土を温めていたのだが、最近は夜も暖かくなり仕事が無くなったと嘆いていた。


草木が水を自らに蓄え始めたため、昼間の太陽からの熱をゆっくり溜め込み、夜にゆっくり吐き出すようになったお陰だ。

水は温まりずらく冷めにくい物だからな。


それでもまだまだ領内に緑は少なく、コロンがヒューに頼んで芝系の種を風に乗せて広範囲にバラ撒こうかと寡作していた。

水の魔素が増えた今ならば、上手く行くかもしれないと期待している。



さて、横断道路の話に戻るが出来上がったのは二日前。

つまり浩二は700km近い長さの道路を5日で作ってしまった事になる。


しかも…驚くべき事に湖の上を通して…だ。


湖の中から次々と石の柱が生える光景に流石のコロンも唖然としていた。

タロスだけが後ろで満足そうにウンウンと頷いていたそうだ。



タロスと言えば、遂に立体地図を完成させ第一拠点の大灯台前と、浩二の屋敷の庭先に立派な石の台座に乗せられ、石英ガラスのカバーを被せて設置してある。

基本は誰にでも見られるようにだ。

やはり立体地図は伊達では無く、高低差が一目で分かると主に妖精達に重宝されている。

これから先、どんな物を作るにせよ大いに役立ってくれる筈だ。


ちなみに…


浩二が何か大掛かりな物を作る度に、その数時間後には立体地図に反映されていたりする。

もうすっかり複数のドローンを手足…いや、目と耳として自由に操る事ができるようになった様だ。

タロス…恐るべし。

今この領地の現状を彼ほど詳しく知る者は居ないだろう。



話を戻そう。

出来上がった道路は浩二の屋敷の手前の広場まで繋がっており、その広場がそのまま城門へと繋がっている。

出来るだけ急勾配にならないように作られた為、時にはトンネルを、時には湖の上を、時には地上数百mをただただ真っ直ぐに通された。


湖の上を通している部分は例外だが、基本道路には砂を含んだ風が吹きつける。

作りはハニカム構造の路面の下に下水道の様に空間があり、そこをガラス工場まで風が吹き抜けており、ハニカム構造の穴を抜けて下に落ちた砂は漏れなく工場へと送られる。

これにより石英ガラスの生産量が増し、道路に砂が積もることもない。


と、横断道路が出来上がった訳だが、ならば次は…という事で冒頭に戻る訳だが…



浩二の目の前にある物、それは乗り物だった。


オーソドックスな四輪バギータイプのものと、二輪のバイクタイプのものを取り敢えず作った。

エンジンと呼べるかは分からないが、ゴーレムの腕がペダルを回しトルクを得るシンプルな機構がついており、ハンドルを手前に回せば前に進み、離せば止まる。

ブレーキは足元に付いており、踏む事でゴーレムエンジン自体が止まるようになっている。

基本はオートマチックであり、最大時速は……


まだ測っていない。

何せ今出来たばかりだからな。


と、言う事で試乗だ!


浩二は四輪バギータイプのものを横断道路前の広場まで転送で持って来ると、早速シートに跨り足をブレーキ辺りに掛けておく。

そして…握ったハンドルをゆっくり手前へと回した瞬間、


空が見えていた。

そして、ギィィャンッ!!と金属が何かを削る様な音を立てて車体が横向きのまま浩二ごとその場でグルグルと高速回転する。



「んー、やっぱりタイヤが金属だと駄目かなぁ…」



高速回転しながら、考察を開始する浩二。

その間も、金属製のタイヤが道路に円を刻みながら浩二を振り回していた。


今、ゴムの木は無いものかとタロスが世界中を駆け回っている頃だ。

この世界にゴムはなくとも、ゴムの木自体はある筈なのだ。



「やっぱりタイヤじゃなく、ホバーの方が良いのかなぁ…」



あれだけの転がり回ったにも関わらず、無傷な浩二と無傷なバギー。

道路が可哀想である。

確かに空気で車体を浮かせれば道路が傷つくことも無いが…やはりタイヤという物を捨て切れずにいる浩二だった。

読んでいただきありがとうこざいます。

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