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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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砂漠の雫。


「いい湯だったわ…私、ここに住もうかしら?」


「どんだけ温泉が好きなんだよ。」



風呂から上がったばかりのソフィアが早くも浩二宅の温泉を気に入ったらしく、同居を考え始めている。



「今度、お母様を連れて来ても良いかしら?」


「あぁ、好きなだけ連れて来ると良い。大したお構いは出来ないけど。」


「そんなの良いわよ。ふふっ…お母様にココを教えたら…どんな顔するかしら。」



想像して楽しそうに笑う。



「ソフィアの母さんも温泉が好きなのか?」


「ええ、病的に。」


「うわぁ…」


「あぁ、それより、この屋敷に個室は無いのかしら?」


「個室?離れなら6部屋位あるけど…何に使うんだ?」


「お肌のお手入れよ。まさかここで脱ぐ訳にも行かないでしょう?」



悪戯っぽく笑いながら軽く肩を肌蹴て見せるソフィア。

色っぽくは無いが…可愛い。



「なら…」



そう言って、立ち上がると、広間の一部を襖で仕切り始める。



「へぇ…便利ね。」



どんどん襖で仕切られ、6畳ほどの部屋になったのを見て呟くソフィア。

洋風の建築ではパーテーションって言うんだっけか?



「それじゃ、有難く借りるわね。ほら、蓮、舞、栞、行くわよ。」



既にケアする気満々でソフィアの傍にいる麗子以外を呼び寄せる。



「私達もですか?」


「……舞、若いからって甘く見てたら…あっという間に老けるわよ?」



ソフィアが、まるで見て来たかのような事を超真顔で言う。



「アンタら知らないの?温泉って普通のお風呂より肌の乾燥が速いのよ?少しでも速く保湿する癖つけないと…あっという間に老けるわよ?」



麗子がまるで信じられない物を見た様な目で3人を見る。



「それでしたら、いい物があるです!」



浩二の右腕に光る腕輪の宝石から飛び出したコロンは、ポーション位の小瓶を胸に抱え登場した。



「コロン?それは?」


「コレは『砂漠の雫』と言われる植物油なのです。常春の国で御主人の領地に植える草木を探していて見つけたのです。」



コロンから『砂漠の雫』と呼ばれる油が入った硝子の小瓶を受け取って、まじまじと観察する浩二。

中にはサラリとした黄金色の油がキラキラと光っていた。



「…ねぇ…コロン?」


「はいです?」


「それ…本当に『砂漠の雫』なの…?」



震える指で小瓶を指をさしコロンに訊ねるソフィア。



「はいです!さっきも言いましたが、御主人の領地に植える草木を探していて見つけたのです。この油の取れる『ホバの木』という木は、暑さにも乾燥にも強い子なのです!」


「ソフィアさん、知ってたの?」


「…その油…妖精女王しか作り方を知らないって言われてる、通称『若返りの油』って言う美容オイルよ。昔、お母様がお爺様からプレゼントされたのを見た事があるわ。」



麗子の問に冷や汗をかきながら説明するソフィア。

湯冷めしていないか心配だ。



「『砂漠の雫』は、大妖精達が羽の手入れをするのに使っているのです。その瓶は女王様に言って1本貰って来たです。」


「良くやったわ!コロン!」



グッとサムズアップするソフィア。

何だか興奮し過ぎてちょっとテンションがおかしい様だ。


まぁ、喜んでいた様なので何も言うまい。

早速使うらしく、女性軍が隣の部屋へと駆け込み襖がピシャリと閉められた。


スーッと開く襖。

麗子がヒョイと顔を出す。



「覗くんじゃないわよ?」


「速く済ませるんじゃ無かったのか?」


「あぁ、そうだったわ!」



再びピシャリと襖が鳴る。

深い溜息をつく浩二。


隣から襖越しに聞こえる黄色い歓喜の声を聞きながら、再び畳に身体を預ける。


隣には同じ様に畳の上で大の字の猛とナオ。



「賑やかだな。」


「あぁ。」


「楽しそうで良いじゃん。」


「まぁな。」



3人は女性軍がツヤツヤしたお肌で再登場するまで畳の感触をこれでもかと言うぐらい堪能した。

お肌のお手入れって時間が掛かるんだな。



□■□■



「コージ…あのオイルの木、この領で育てるの?」


「あぁ、せっかくコロンが見つけて来てくれた木だし、油も取れるなら広範囲に植えても良いかもな。」


「…そう。」



少し真剣な顔で返事をすると、腕を組み言葉を続ける。



「…砂漠だからって完全に甘く見てたわ。まさか、この短期間にここまで高価値な産物が出来るなんて。まだ言って無かったけど、石英ガラスもかなり好感触だったし…」


「そうなんだ?」


「だって職人の皆、ガラスを使って作る物とか既に考えてたりするのよ?まだお試しの配布なのに。まぁ、あの透明度なら今までのガラスとはまるで違う使い方も出来るものね…職人達の気持ちも分かるわ。」


「んー、なら生産量増やした方が良いかな?」


「今はまだ何とも言えないけど…職人達の作った物と売り込み方次第では、大口の取引が始まるかも知れないから、それなりの量の備蓄は必要かもね。」


「そっか。まぁ、その時はその時で新たに工場を増やすか、流れ込む砂の量を増やすかするよ。」



今から考えても仕方ないしな。



「それより、この屋敷と第一拠点を繋ぐ道路を整備しなきゃならんしな。…そっか…なら、結んだ道路に吹き付ける風に乗って来た砂を工場に送るか…んーでも…」



頭に構想が浮かんだのか、ソフィアとの会話も其方退けで何やらブツブツ言い始める浩二。



「ふふっ、全く。コージ!後は明日にしたら?」


「あ、あぁ、すまん。今城に送るよ。」



何かに夢中になると周りが見えなくなる悪い癖が出た浩二を見て優しく微笑むソフィア。

きっと止めなければこの出来の悪い弟は何処までも自分を虐めるに違いない。

まだまだ誰かが見守らないと。



「コージ?急がなくても良いんだからね?ゆっくり、ゆっくり、浩二の領地を作って行けば良いんだから。」


「…ソフィア。」


「今の所はガラスだけでも充分生きて行けるだけ稼げてるんだから。もっと余裕を持ちなさい。」


「…そうだな。ありがとうソフィア。何か焦ってたかもな俺。」



ソフィアに心配掛けてばかりだ。

もっとしっかりしなきゃな。



「良いのよ。多分後から話があると思うけど、タロスがここに運び込む食料や寝具何かの準備をしてるみたいだし、コージは少し自分の住む場所の周りから手を付けてみたら?」


「そう言えばそんな事を言ってたな…あ!後からちゃんと金は払うから!」


「ふふっ、分かってるわよ。ちゃんと預かってるお金から差し引いとくわ。サービスなんて言っても受け取らないでしょ?」


「そりゃ、払う金があるなら払うに決まってる。」



これ以上世話になってばかりもいられないしな。

読んでいただきありがとうこざいます。

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