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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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バイト。


「200個位なら明日中にでも渡せるよ。」


「ホント!?助かるわ。あの石英ガラスを見た職人達の目が怖くて怖くて…」



思い出したのか、身体を抱きしめブルッと身震いするソフィア。



「あ、それでこっちのお願いなんだけどさ…」



ソフィアの話が一段落した所で浩二が自分の要件を切り出す。

拠点に砂避けの結界を張ったこと。

その副産物で石英ガラスが出来ること。

そして、その整理をするゴーレムを作るのに素材を貰いに来たこと等を掻い摘んで話した。



「まだ開拓始めて二日しか経ってないのに…相変わらずコージはコージね…」



そして、呆れた様なこの反応。

すると、少し考え込む素振りを見せ、ひとつ提案をして来た。



「石英ガラスの代金として素材を支払うのは問題無いわ。でも、単に労働力が必要ならシュレイド城にいる兵士を勧誘しても構わないわよ?」


「兵士さんを?良いのか?」


「えぇ。あの石英ガラス200個の代金を兵士の報酬に充てるなら…そうね…10人を一月雇ってもお釣りが来るわ。」


「は?…って事は単純に考えて石英ガラス20個で兵士さん1人を一月雇えんの?」


「そうなるわね。」



あのガラスってそんなに価値があるのか?

驚きを隠せない浩二。


そんな浩二を見てソフィアが追加情報を提示する。



「一応言って置くけど…あの石英ガラスね、これからまだまだ価値が上がるわよ?加工のしやすさに加え、あの透明度。本来もっと価値があってもいいもの。次に仕入れる時は倍ぐらいの価値になってるかもね。」


「…それはまた…」


「あの職人達の食い付きっぷりを見る限り…追加注文は間違いないわね。次の為にそれなりの量を用意して置いて貰えると助かるわ。」


「了解したよ…」


「…あんまり嬉しそうじゃないわね?」



軽く引いている浩二の反応が不思議なのか、小首を傾げて聞いてくる。


浩二からすれば、毎日の様に自然と溜まる石英ガラスが不良在庫にならなくて済むのだから有難い話なのだが…



「価値のギャップに驚いてるだけだよ。」



兵士さんの月給があのガラス20個とか…

未だに何かの間違いかと思う。



「それで、どうするの?兵士連れてく?」


「あぁ、体力に自身のありそうな人を2人位連れて行くよ。もしかしたら、今後追加で募集するかも知れないけど。」


「分かったわ。その兵士が決まったら教えて。私が直接報酬を支払うから。残りはどうする?素材に変えちゃう?それとも私が預かろうか?」


「んー…今後兵士さんを追加募集した時の為にソフィアが預かっててくれ。」



少し考えてそう決める。

自分で持つより、預けといた方が安心だ。

言うなれば『ソフィア銀行』だな。



「分かったわ。それじゃ、ガラスの方よろしくね。」


「了解したよ。」



□■□■



「と、言う訳で二人程俺の領地で働いて欲しいんですが。」



翌朝、予め前日に連絡してあった通り訓練所に集まってくれた兵士達に向い概要の説明を始める浩二。

ここに集まってくれた兵士達は、少しでも今回の話に興味がある人達だ。

その数ざっと100名余り。

この中から二人とか…なんか集まって貰って申し訳なくなって来るな。



「質問があるんだが…良いだろうか?」


「あ、はい。どうぞ。」


「領内での仕事って言ってたが、魔物なんかの危険はないのか?」



うん。最もな意見だ。



「えーと、領内とは言っても拠点内ですから、恐らく危険は無いと思われます。まだ開拓を始めて二日ですが、未だに領内で魔物は目撃されていません。」


「あの…良いですか?」



続いて一人の女性兵士が申し訳なさそうに手を挙げる。



「はい、なんですか?」


「主にどんな仕事をするんですか?」



あれ?昨日の段階で話してあったと思うんだけどな…みんなに行き届かなかったんだろうか?



「えーと、基本的に仕事は早朝から夕方までですが、実働は3、4時間程だと思います。仕事の内容は、魔道具が作り出したガラスのインゴットの運搬と整理が主です。恐らくですが、1人でも出来なくはないのですが…初めての環境でたった一人と言うのは心細いかと思いまして今回は二人という事にしました。」



あと、と付け足して続ける。



「今後拠点の数が増えれば、募集人数も増えて行くと思いますのでその時もまたこうやってお願いすると思います。他には何かありますか?」



多少ザワついているが、特に質問は無さそうだ。



「それでは、以上です。立候補する方はいませんか?」


「ハイッ!!」



浩二が立候補を促した直後、綺麗に指を揃え挙手する若干一名。

何やら聞いた事のある声だが…



「バイトなら俺が行くぜ兄貴っ!」



猛だった。

通りで聞いたことがある声だと思った。



「いや猛、今回は兵士さん達に…」


「だって誰も手を挙げないじゃねーか。」



確かに、猛が立候補したから遠慮して…という感じでは無い。

何方かと言えば…

若干引いてる?



「皆二の足踏んでるのよ。アンタの領地の通称忘れたの?「死の大地」よ?「死の大地」」



兵士さん達の代わりに麗子が代弁してくれる。

でも、そう死の大地、死の大地と連呼しないで欲しい。

更なる風評被害を産みそうだ。



「サーラ地方って言ったら人族領でさえ耳に入る程の人外の地よ。誰も行きたがる筈無いじゃない。」



人外の地…若干凹むな。



「兵士さん達、すみませんでした。今はまだ時期が早いみたいですね。頑張って開拓してその名前を書き換えて見せます。その時、改めてお願いしますね。」



浩二の言葉を聞き申し訳なさそうにしながらも、兵士達は散り散りに解散して行った。



「さて、兄貴。俺は採用か?」


「あぁ、頼めるか?」


「任せとけ!久しぶりのバイトだからな、楽しみだ!」



嬉しそうに気合いを入れる猛。


猛が居てくれて助かった。

ソフィアに言ってゴーレム案に変更しなきゃならなくなる所だったからな。



「人手が欲しかったら、私達に言えばいいじゃない。ここに居たって穀潰しなだけなんだし。」



麗子がそっぽを向きながらぶっきら棒に言い放つ。


あぁ、そっか。

勇者組も俺と同じで居候なんだもんな…



「ありがとう、麗子。追加が必要になったらお願いするよ。」


「…ええ、ちゃん報酬が貰えるなら手伝うわ。」



照れ隠しなんだろうか?

若干顔が赤い。



「あぁ、その時はちゃんと用意するよ。猛もそれなりの報酬を期待しててくれ。」


「おお!太っ腹だな兄貴っ!」



ちょっと予定外だったが、労働力が見つかって良かった。

後からソフィアに猛に決まったと伝えとかないとな。


読んでいただきありがとうこざいます。

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