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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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『妖精女王』と『黒龍帝』


「おお、そう言えば、ソフィアに作った武器、見せて貰ったぞ!見事な物じゃった。本来華奢なソフィアにはあの位の獲物が丁度いいわい。」


「俺も同意見です。出来る限りハンマーには見えないハンマーにしたつもりです。…あ、ソフィアがギルさんから譲り受けた『火龍の鱗』…使ってしまってすみません。」


「ん?…何の事じゃ?」



あれ?ソフィア話してないのかな?



「えーと、ソフィアから聞いていませんか?ソフィア専用のマシナリーを作る際にギルさんから譲り受けた火龍の鱗を使ったんですが…」


「…マシナリー?…聞いておらんな…」


「ドラゴンパピー型のマシナリーなんですが…」


「ふむ…覚えが無いのぉ。まぁ、あの鱗はソフィアにプレゼントしたものなんじゃから、ソフィアが許せば何に使おうが構わぬよ。」



取り敢えず許しを得られて良かった。

貴重な素材だからな。


まさかソフィア…ギルさんに言い出せずにいたんだろうか?

武器だけを具現化したなら、ドラゴンパピーのラヴァはそのままの姿だろうし。

ラヴァの奴…何処かに押し込まれてたのかな?

グレたりしなきゃ良いけど。



「そう言えば、明日の戦いの事なんですが…」


「おぉ、そうじゃった!実はの…ソフィアからくれぐれも城は壊すなと言われてのぉ…」


「ギルさんもですか…」


「お主もか…?」


「はい。城の結界にはくれぐれも触れるなと口を酸っぱくして言われました…」



苦い顔を見合わせる二人。



「久しぶりに本気で戦えるかも知れんと楽しみにしておったんじゃがのぉ…」


「多分ですが…俺とギルさんが本気で戦えば…衝撃波の類で色々被害が出るかも知れないですね…ソフィアに聞いたんですが、ギルさんも拳がメインだとか。」


「うむ。…と言うことは…お主も?」


「はい。…と言うか、素手しか知りません。」


「ほう…益々勝負したくなったわい!」


「ですが、剣同士の戦いと違って肉弾戦は色々不味いのでは?一応俺も最上位種ですし…ただの拳でもそれなりの拳圧が出ます。勿論ギルさんもですよね?それがお互い本気となれば…下手に攻撃を避けた途端に城壁やら城やらが…」


「…間違い無く…崩れるのぉ。」


「しかも、一発二発じゃないでしょう?肉弾戦は回転が命だったりしますし。

となれば…おのずと被害も雪だるま式に…」


「…考えて見れば…最上位種同士が城の訓練所で本気の戦いとか…正気じゃ無かったかも知れんな…」


「ですね…少なくとも遮蔽物の無いだだっ広い荒野辺りじゃないと…何かしらの被害が出ますよね。」



二人揃って腕を組みウンウン唸る。



「…5割位にしておくかの…」


「…ですね…」



結果二人は半分の力で戦う事を決めた。



□■□■



明くる日。

訓練所の中央で向かい合う二人。

浩二とギルだ。


周りにはこの戦いを見ようと城中の人が辺りを埋め尽くしていた。



「良い?貴方達、怪我は自己責任だからねっ!」



ソフィアが人集りに向けて注意を促す。

この二人が戦う時点で安全な場所などこの城のどこにも無いのだ。


最悪見物人に被害が出ない様、最前列には魔王達が陣取っている。



『鍛冶の魔王』ソフィア。

『魔導の魔王』シルビア。

『魅了の魔王』ミラルダ。

『百獣の魔王』シュナイダー。

『鎧の魔王』ドルギス。


そして、この日に合わせて城を訪れた『妖精女王』リースと、『黒龍帝』ルドラーだ。



「アレが今回の魔王候補か?」


「ええ、黒龍帝。…それにしても、まさか貴方が来るとは予想していなかったわ。」



ソフィアの目の前で圧倒的な威圧感を放っているのは、『黒龍帝』ルドラー。

見た目は三十代半ばと言った風貌の美丈夫だが、その実は龍族のナンバー2であり、人化した黒龍だ。

普段は滅多に人前には出ず、龍族の国を統治する白龍の補佐を務めている。

とは言っても、単純な戦闘力ならば白龍を凌ぐとも言われているが。

そんな彼が珍しく人前に出てきた理由はと言うと…



「久しぶりにギルが戦うと聞いてな…その相手の事が気になったのだ。…成程、ギルが戦いたがる気持ちも少し分かるな。アレは相当強い様だ。」


「…分かりますか?」


「あぁ、魔道具で抑えているようだが…素のステータスはかなりのものだ。」



強者特有の何かなのか…スキルの類なのか…浩二のステータスを見抜くルドラー。



「でも、とても暖かい力を感じます。わざわざ戦闘で見極めなくても良かったのではないですか?」



横から会話に混ざって来たのは『妖精女王』リース。

この世界の別次元に存在する『常春の国』に住み、この世界の妖精達を束ねている存在だ。

妖精達は特殊な方法でこの世界と常春の国を行き来し、大地の恵みを運ぶ存在とされている。

その中でもこの女王リースは黒龍以上に人前に姿を現さない事で知られており、ソフィアが目にしたのは魔王会議に入ってから今回が二度目だ。



「お久しぶりです、リース様。」


「ええ、久しぶりねソフィア。あの子がコージ君ね?」


「はい。」


「いい子じゃない。ふふっ、ソフィアが気に入るのも分かるわ。」


「え!?何を!」


「ふふっ、今度彼と一緒に常春の国へいらっしゃいな。歓迎するわ。」


「え、あ、はい。」



彼女は彼女で何やら人の心を覗けるような素振りを見せる。

ルドラーといいリースといい、全く底が見えない。

共通する点は…世界を見張る役目を持つと言う事のみ。


方や空の高みから、方や別次元から。



「あの二人がいれば…何とかなるかしら?」


「…どうだろう?単純な戦闘力と結界の類は別だからな。」


「まぁ、俺達は後ろへと攻撃が通らない様に全力を尽くそう。」


「そうよぉ~、コージ君かギル爺の拳圧が一発でも通ればぁ…」


「死人が出るわね…」



四人は顔を見合わせ視線を訓練所中央の二人に向ける。



「…どうなるかは分からないけど…気合い入れるわよ!」


「あぁ、何としてもここは死守せねばな。」


「うむ。」


「コージ君♪頑張ってぇ~♪」



気合いを入れる三人と浩二に手を振るミラルダ。


何とも締まらない空気の中、最上位種二人の戦いが始まろうとしていた。

読んでいただきありがとうございます。

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