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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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ソフィア。


その日の夜。

何事も無く夕食を終え、部屋へと戻った浩二は一人悶々としていた。

そう、何事も無かったのだ。

ギルにもソフィアにも何を言われること無く。

それが逆に浩二にとって落ち着かない原因となっていた。


自分と瓜二つのソフィアの兄。

原因は分からないが既に亡くなっているらしい。

恐らくこの原因が二人にとって余り思い出したくなかった事だったのだろう。


今の時点で浩二にはどうする事も出来ない事は分かってはいるが、それ故に収まりが付かない。


一人落ち着かない浩二は、明日の戦いに備え眠らなくてはならないにも関わらず、ベットに横になりながら悶々と過ごしていた。



コンコン



不意に浩二の部屋の扉がノックされる。

ん?誰だ?こんな時間に…




コンコン…!コンコン…!



更にノックされる。

あー、はいはい、今出ますよ。



「はーい、どちら様で…」



ドゴォーーンッ!!



扉を開こうとノブに手を掛けようとした次の瞬間、ブチ抜かれた扉が浩二の顔を掠める。



「さっさと開けんかいっ!!」



そこには片手に酒瓶、片手にグラスを持ったギルが綺麗な蹴りの残心をしたまま怒鳴り散らしていた。

明らかに酔っていると分かる程に顔を赤らめて。



「……びっくりしたぁ…」


「おお!そこに居たのか!よし!飲むぞ!付き合え!」



ギルはグラスと酒瓶をテーブルに置くと、豪快に笑いながらソファーにドッカリと腰を下ろした。



□■□■



「昼間は済まなかったのぉ。」



ギルはグラスに浩二の分の酒を注ぎながら詫びる。

浩二を見て言わないのは照れ臭さか、プライドか。



「…酒に頼らなければ詫びさえまともに言えぬ爺を笑ってくれ。」


「そんな…」


「お主はただ孫に似ていただけ。勝手に昔を思い出し、勝手に怒鳴り散らし…みっともない限りじゃ。」



グラスを浩二に差し出し、今度はちゃんと目を見て話すギル。

浩二はグラスを受け取り酒を一口だけ口に含む。



「ぶふおぁっ!?げほっ!げほっ!」



口一杯に広がる猛烈なアルコール臭と焼ける様な熱さに吹き出す浩二。



「ガッハッハッハッ!!どうじゃ?ドワーフ領一強い酒じゃぞ?」


「げほっ!…もうコレは酒とは呼べませんよ?」



浩二自身酒に弱い訳では無いが、たしなむ程度飲むだけであり、こんなエチルアルコールじみた酒を飲んだ事などない。



「儂等はこの位強くなけりゃ酔えんからなぁ。」


「コレ…火がつきますよ?きっと。」


「火酒だからなぁ!ガッハッハッハ!」



豪快にグラスの酒を飲み干し、豪快に笑うギル。


出された酒を飲まない訳にもいかず、覚悟を決めた浩二はチビチビと少しづつ酒を飲む。

前情報と覚悟さえあれば飲めない訳では無い。

ただ、一口飲む度に喉が焼ける程熱くなり、顔まで熱くなって来る。


もう一つ覚悟を決めた浩二はギルを真っ直ぐに見詰め口を開いた。



「…ギルさん。ソフィアの兄さん…パイトスさんの事教えて貰えますか?」


「…ふむ。…少し昔話をしようかの。」



ギルはソファーに深く腰掛け天井を見詰めるように話し始めた。



「昔、ドワーフ領に三人の仲の良い兄妹がおった。長男のパイトス、次男のダイダス、そして末っ子のソフィア。年の離れた末っ子のソフィアはいつも二人の兄を慕い、その後を付いて周っていた。」


「二人もソフィアを大層可愛がっておってな…ソフィアが望めば何処へでも一緒に連れて行った。ソフィアは深い坑道や魔物の出る深い森なんぞにも何の泣き言も言わずついて行ったそうじゃ。当時からソフィアはお転婆じゃったからのぉ。よく兄二人と一緒に叱られておったよ。」


「二人の兄…特にパイトスは斧が得意でな訓練所でいつもダイダスをシゴいていた。ダイダスは何方かと言えば鍛冶が得意で鎚を振るう事が多かった。ソフィアはそんな二人を見ながら自分も兄達のようになりたいと思ったのじゃろう…小さな身体で一生懸命訓練に励んでおった。」


「そんなある日、鍛冶をしていたダイダスにソフィアは焼けた鉄を打たせて欲しいと強請り、一度だけと言う約束で打たせて貰ったのじゃ。結果は別の意味で驚くべきものじゃった…ソフィアが鎚を金床に打ち付けた瞬間、金床ごと床をブチ抜いたのじゃ。」


「『剛力』のスキルですね?」


「そうじゃ。この時初めて発動した『剛力』のスキルによってソフィアはダイダスにこっ酷く叱られての…相当凹んでおったわぃ。それからソフィアは何とか『剛力』のスキルを使いこなそうと訓練するも、なかなか上手くいかなくてのぉ…金属限定とは言え、軽くなった金属を上手く力加減出来なくて苦戦しておった。」


「金属を上手く扱えないと言う事は、鉄が打てないと言う事。ドワーフにとってコレは余りにも痛い。もう一つ魔法を使う方法も試したのじゃが…こちらも結果は散々じゃった。元々儂等ドワーフは魔力が低いからのぉ。」


「だから…初めて魔法で剣を作った時、あんなに喜んでいたのか…」


「その話はソフィアから聞いたよ。ありがとう…あんなに嬉しそうに話すソフィアは久しぶりじゃったわい。」


「いえ…喜んで貰えて俺も嬉しかったですから。」



礼を言われ照れ臭さそうに頬をポリポリと掻く浩二。



「話を戻すかの…それから数年後の話じゃ。丁度ソフィアが鍛冶を諦めようとしていた頃じゃった…儂が所用でドワーフ領を離れた隙に魔物の大軍がドワーフ領を襲ったんじゃ。」


「相手はサイクロプス。ドワーフが今の鉱山を手にした時から小競り合いはあったんじゃが、奴らが住む天然の洞窟が大規模な崩落を起こし、住処を失った奴らが狙ったのがドワーフ領の坑道…つまり我等ドワーフが住む街の鉱山じゃった。」


「元々余り洞窟の外には出ずに暮すサイクロプスが大軍を成す事など本来は有り得ん話なんじゃが…奴等にはリーダーがおった。上位種のギガンテスじゃ。何が切っ掛けで種族進化したかは定かでは無いが…そ奴が数百のサイクロプスを纏め上げ攻め込んで来たんじゃ。」


「儂がその話を聞いた時には既に戦いは始まっており、防戦一方と言う話しじゃった。儂は急いで馬を走らせドワーフ領へと戻ったんじゃが…儂が到着した時には既に戦いは終わっておった…」



「最悪の形でのぉ…」と、ギルは強く拳を握り悔しそうに呟く。



読んでいただきありがとうございます。

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