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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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浩二の理想。


「シルビアさん。俺が怖いですか?」


「…うん。」



自分を抱きしめたまま浩二の質問に頷く。



「…信じて貰えるかは分かりませんが、俺は自分の大切な人が傷付けられない限り力を誰かに振るうことはありません。ましてや、自分の欲望のままに暴れるなんて想像も出来ません。」


「………」


「そして、多分その大切な人達の中にシルビアさんも既に含まれています。」


「…え?」



突然の浩二の言葉にキョトンとするシルビア。



「俺自身、全ての人が何不自由なく静かに幸せに過ごせたら良いなぁ…なんて漠然と思っていたりします。…まぁそんな事は不可能なんでしょうが。でも、ならば俺が知り合って来た人達位は幸せになって欲しい。困っていたら助けたい。力になりたい。」


「…コージ君。」


「俺が知識を得ようとする理由は、出来る事を増やす為。その使い道は侵略なんかじゃなく皆の為に使いたい。それが俺の喜びにも繋がりますから。まぁ、いつもソフィアに「常識が無い」って言われてるからでもあるんですけどね。」



はははと力なく笑い頬をポリポリと掻く。



「だから…そんなに怯えないで下さい…俺は世界の敵にはなりません。…少なくともシルビアさんの敵には絶対になりませんから。」



真っ直ぐにシルビアを見詰める。

嘘偽りが無いことを分かって貰いたくて。



「…うん。分かった。ゴメンね…私って、頭でっかちですぐに考えが暴走しちゃうんだ…」


「いえ、俺自身も自分の力にはちょっと引いてたりしてますし。」


「自分の力なのに?」


「いや、このステータス見たら自分でも引きますって。」



そう言って浩二は自分のステータスを可視化するとシルビアに見せる。

スキルも含めて全て。



「……コレはまた…完全に予想外の数値だね。それにこのスキルの数…見た事の無いスキルがいくつもあるよ。」


「ね?引くでしょ?…でもまだこれからです。」



浩二は徐に両手から鎖を外す。

右手の『足枷の鎖』と、つい先日新しく作った左手の『足枷の鎖・改』だ。

『足枷の鎖・改』は、魔核に浩二の魂が転写してあり『絶対魔法防御』の上からでも効果を得る事に成功した。


そして、跳ね上がる浩二の筋力値と頑強値。



「コレが今の俺の素のステータスです。普段はこの二本の鎖でステータスを抑えてます。」


「…もう、シュレイド城は諦めよう。」


「え?」


「いや、こっちの話さ。全く…とんでもないステータスだよ。最上位種という事を差し引いてもコレは有り得ない。」


「ですよねぇ…本当にどうしたものやら。」



ふと漏らした浩二の言葉にシルビアは純粋に疑問をぶつける。



「嬉しくはないの?男の子って力に憧れるものだと思ってたけど…」


「んー…スキルが増えて出来る事が多くなるのは嬉しいです。でも、この数値は別です。大き過ぎる力なんてきっと良い事ばかりじゃないですし…」


「確かに…そうかも。君のその鎖が無ければ日常生活に支障が出たりするかもね。」


「です。それに…」


「それに?」


「力ってのは頑張って自ら鍛えて手に入れる物だって思ってますから。」


「ふふっ、成程ね。」



笑いながら答えるシルビア。



「何を納得したんです?」


「ソフィアがコージ君を一言で言うと「ドM」って言ってたから。」


「…ソフィア…」



次の瞬間乱暴に開け放たれた扉からソフィアが飛び込んでくる。



「シルビアっ!ソレはコージには内緒って言ったじゃない!」


「あら?起きてたの?」



ソフィアの突っ込みにしれっと答えるシルビア。



「もう朝よっ!外を見てみさないよ!」


「あらら…コージ君との話に夢中で気付かなかったわ。それじゃ、私はそろそろ寝ようかしら。コージ君、続きは今度で良いかしら?」


「はい。続きを聞いてから見せてもらう魔法を選ばせて貰いますね。」


「分かったわ。それじゃ、おやすみなさい。」



シルビアは噛み付くソフィアをサラリと躱して開け放たれたドアの向こうに消える。


部屋に残された二人。

最初にバツの悪そうな顔をしたソフィアが口を開いた。



「違うのよコージ!」


「うん。ソフィアの気持ちは良く分かったよ。」


「コージっ!」



必死に詰め寄るソフィア。


その柔らかい頬がムニッと両方摘まれる。



「言いたい放題言いやがって。」


「ひはふのほほーひ!」



そのまま左右に引っ張られ言葉にならない声を漏らすソフィア。



「はははっ!気にしてないよソフィア。」



笑いながら頬から手を離す浩二。



「…ホント?」


「あぁ、いつもの事だしな。」



上目使いで確認する小聡明いソフィア。

その頭をポンポンと叩きながら笑う浩二。



「ソフィアだけ狡いわぁっ!私もコージ君とイチャイチャするぅっ!」



次の瞬間、開け放たれていたドアから浩二に飛び付くミラルダ。

たわわな物をムニムニと押し付け浩二の頬に自らの頬を剃り寄せる。



「ミラルダさん!?」


「んふふぅ♪コージ君のほっぺスベスベぇ♪」



ソファーに浩二を押し倒し、その頬の感触を堪能する。



「ちょっ!?ミラルダっ!」



突然の事に呆然としていたソフィアが我に帰りミラルダを引き剥がしにかかる。



「嫌よぉ、もっと堪能するのっ!」


「良いから、離れなさいっ!」



朝から騒がしい限りだ。

でも…うん。平和だ。



□■□■



あの後軽く仮眠を取った浩二はミラルダに遅い朝食をご馳走になり、そのままシュレイド城へと帰ることになった。

浩二が仮眠中、夜這いならぬ朝這いを仕掛けようとしたミラルダをソフィアが捕まえ怒鳴り散らす声が響きあまり良く眠れなかったようだが。



「それじゃ、私達は転移陣の動作確認も兼ねて転移陣で帰るわね。」


「分かった。俺は自前の『転送』で帰るよ。」


「コージ君、向こうで改めて話の続きをしよう。」


「はい、楽しみにしてます。」


「嫌ぁ~っ!私もコージ君と一緒に飛ぶぅ~っ!」


「良いからアンタはこっちに来なさいっ!」



ズルズルとソフィアに引き摺られてゆくミラルダ。

それを見て乾いた笑いを漏らす浩二。


やがて涙目のミラルダを羽交い締めにしたソフィアと手を振るシルビアが転移陣に乗ると、眩い光と共に三人は光となって消えた。



「ふう…さて、俺も帰りますか。」



浩二は少し疲れた声でそう口にするとゲートを開きそこに飛び込んだ。


いつもの訓練所の空中に出来たゲートからヒョイと飛び降りた浩二。

するとその浩二に飛び付くようにして詰め寄る人物がいた。



「お兄さんっ!やっと見つけたっ!早くこっちに来てっ!」



それはいつもの笑顔は何処へやら血相を変えて捲し立てる蓮だった。



「どうした!?何があった?」


「ナオちゃんが大変なんだよっ!!」


「は?」



浩二がサキュバス領に行っている間にシュレイド城では何やら面倒臭い事が起きていた様だ。

読んでいただきありがとうございます。

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