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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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『瞬動』と『縮地』


「…なぁ、兄貴?女神様って…芸人気質?」


「何でだ?」


「コレって、ツッコミ待ちじゃないのか?」


「多分違うよ。単に面白がってるだけだと思う。実際は美人でスタイル抜群なんだぞ?性格が残念なだけで。」


「…そっか…残念美人かぁ…」


《そんな美人、美人と褒めないでくれるかい?…恥ずかしくなるじゃないか。》


「えーと、残念って所はスルーなんですね。」


《それじゃ、早速説明しようかな。》



うむ。華麗にスルーされたな。



「ほら、皆戻って来て。」



浩二に言葉をかけられハッとする面々。

まぁ、言いたい事は色々あるだろうけどそんな顔で俺を見ないで欲しい。



《先ずはコージ君に『縮地』の詳細を見せて貰って。あ、ついでに『瞬動』もね。》



浩二は女神様に促され頷いた後、鑑定で『縮地』と『瞬動』の詳細を視覚化し皆に見せる。



□■□■



『瞬動』

短距離を超高速で移動出来るスキル。

移動可能距離は1~10m前後。

意識した位置に半自動で移動が始まる為、慣れが必要とされる。

使用は生命力依存であり、体力が続く限り連続使用が可能。



『縮地』

短距離を瞬時に移動出来るスキル。

移動可能距離は1~10m前後。

移動位置を意識した瞬間に移動が完了する為、慣れが必要とされる。

使用は精神力依存であり、瞬時に連続使用は出来ない。



□■□■



「これ見る限りではすっ飛ぶ理由は分からんよな。」


「違いは生命力依存で連続使用が可能か、精神力依存で連続使用が不可ぐらいの差だしな。」



猛と浩二がスキル詳細を見ながらそう口にすると、麗子が苦い顔をする。

恐らく麗子もすっ飛んだ事があるのだろう。

慣れが必要とは書いてあるが、この詳細からはそんな事は読み取れないしな。



《それじゃ、説明するね。》



一同が浩二の前でスキル詳細を覗き込みながら女神様の声に頷く。



《まず『瞬動』なんだけど、コレは体術系の移動術で自身が高速で移動するんだけど自身の身体に急ブレーキによる慣性が働くから、上手くやらないとすっ飛ぶ。》



うんうんと、過去の自分を思い出し納得する浩二。



《基本は直線でしか移動出来ないが連続使用が可能な為、練習次第では幾らでも瞬間的に方向転換出来るようになる。》



ここまでは浩二もある程度は把握していた。

女神様は続けて『縮地』の説明に入る。



《次は『縮地』だが…最初に言っておく。…コレは体術では無く魔法だ。》


「魔法!?」


「…確かに…精神力が消費する段階で気づくべきだったわ…」



浩二と麗子が声を上げるが、その反応は全く違う。

浩二は全く考えもしていなかったのだろう、確かに字面は体術っぽい名前だが。


一方麗子はと言えば、気づけなかった事に多少の苛立ちを覚えているようだ。


どうやら相当なことがあっただろう事は想像に難しくない。

自らが身を持って受けたあの衝撃。

あの衝撃を何も知らずに無防備で受けたら…

麗子が「使えば分かる」って言った意味を漠然と理解した。



《『縮地』と言ういかにも体術みたいな名前だから勘違いする者も少なく無い。その実は「空間魔法により移動先の空間を引き寄せる魔法」なんだ。意識を向けた空間を引き寄せ一瞬で移動を完了する。故に意識した位置までの間に何があろうと素通り出来る。》


「なる程…だから麗子はアローを通り越して後ろに回れたのか。」


《ただし、『縮地』には『瞬動』には無い欠点がある…欠陥と言っても良いね。》


「あの衝撃ですか?」



浩二の言葉に表情が険しくなる麗子。



《そう。引き寄せた空間が戻ろうとする力を処理しきれていないんだ。だから、移動が完了した直後に空間が戻る事で起きる衝撃波がスキル使用者に直接叩き込まれる。この衝撃波は引き寄せた距離に比例して強くなるから、さっきの彼女の様に寸前まで引き付けて後ろに回り込むという超短距離移動の場合なら衝撃波はほぼ発生しない。あの使い方は現状最も正しい使い方だよ。》



女神様の言葉に麗子の険しかった表情が若干だが和らいだような気がする。



《そして、コージ君の使い方が現状最も悪い使い方だ。スキルレベルも見習いレベル1な上に、10mを超える移動距離。普通の人なら移動直後に粉々に砕け散ってるよ。更にこのスキルはスキルレベルが低いと制御が難しい上に衝撃波の強さは変わらないっていうマゾ使用だからね。》


「まさに浩二向きね。」


「おい。」



麗子が浩二に対して軽口を叩く。

どうやら自分の使用方法が正しかった事に安堵したのだろう。

あの衝撃を受けた後にもう一度『縮地』を使うとなれば余程の覚悟が必要だった筈だ。



《まぁ、こんな所だね。役に立ったかい?》


「はい、ありがとうございました。」


《ふふっ、構わないよ。必要な時は遠慮なく呼んでくれ。それじゃ、私は行くよ。》


「はい。」



またねー!と言って女神様の声が聞こえなくなった。

本当に突然現れて嵐のように去っていくよな。



「さて、後は麗子の新装備のお披露目だけだが?」



浩二は麗子に向き直る。



「…分かってるわよ。アロー、お願い。」



アローはコクリと首を縦に振る。

ん?若干だが素直になったようにも見える。

縮地の話を聞いて少しは麗子の事を認めたのかも知れないな。


そんな事を考えているうちにアローは大きく広げた翼で麗子を包むと彼女と共に光り輝く。


やがて光が収まると、黒い鳥の翼のような色と形をしたマントを羽織った麗子が佇んでいた。

左手には『ミラージュ』、右手には『メビウス』

両足に鷲の鉤爪の様な形をした装飾が施されたブーツを履いている。

そして、何より目を引くのは右耳で揺れる吸い込まれそうなほど深く黒い色をしたピアスだ。

まるでアローの瞳のような。


攻撃職の割にかなりの軽装なのはやはり遠距離からの狙撃を旨とする弓職だからだろうか。



「…何だろ…蓮じゃないけど凄く身体が軽い…!」



そう呟いた麗子が軽く、本当に軽く地面を蹴ると瞬く間にその身体が10m程飛び上がりその場でブワッと音を立ててマントが開く…と言うより羽ばたいた。



「きゃっ!?」



小さな悲鳴を上げる麗子を運ぶその翼は明らかにアローのそれで、風切り羽根だけは純白で後は漆黒だった。


そして、広がった翼は麗子と共に風を受けゆっくりと下降して来た。



読んでいただきありがとうございます。

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