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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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アニマルマシナリー(6)


なぜだ。

今だって肩を少し爪が掠めたじゃないか。

髪にも、頬にも。


なのに…


何故諦めない!


何故笑っている!


余裕が無い事ぐらい見ていれば分かる。

反撃をする隙など無い筈だ。


しかし…彼女は何かを狙っている。

ギリギリで攻撃を躱し薄く笑を浮かべ…私を挑発するように。


どうやら…私を諦める気は無さそうだ。


ならば、私も覚悟を決めよう。

そう簡単に下る等私のプライドが許さない。

本当は傷などつけたくは無かったが…


これで最後にしよう。


せめて…


死なないでくれよ。




皇帝鷲は上空でホバーリングしながら鋭い眼で麗子を睨み付けると嘴に風を纏い始めた。

その風はやがて嘴を中心に激しく渦巻きながら圧縮されてゆく。

まるで鏃のように。


そして、その翼を大きく羽ばたかせた次の瞬間目にも留まらぬスピードで突撃する。


その先には黒い矢を番えた和弓を構えた麗子の姿があった。


タイミングを合わせる様に放たれた一本の黒い矢。


皇帝鷲の嘴と矢が接触した瞬間、ギイィンッ!という金属同士がぶつかり合った様な音が訓練所に響き渡る。

しかし、皇帝鷲のそのスピードは微塵も衰えない。

そのまま麗子の身体を貫かんばかりに激突したかと思われたその時、


その場に麗子の姿は無かった。


不意に皇帝鷲は背後に気配を感じスピードを緩めクルリと身体ごと振り向くとそこには横向きに構えた洋弓に四本の矢を番え片膝を付いた麗子の姿があった。


放たれた四本の矢。


その全てが向きを変えたばかりで硬直している皇帝鷲に迫る。


身を攀じるように躱そうとする…が四本の矢は上下左右全ての逃げ道を塞いでいた。


そして、四本の矢が自身の周りを飛び去ると同時に又もや背後に気配を感じたと思うと


コツン。


皇帝鷲は何かで頭を軽く叩かれた。


何が起きたか分からないまま振り返るとそこには、一本の矢を片手にニッコリと笑う麗子の姿が。



「どう?これで私の勝ちで良いわよね?」



目を白黒させる皇帝鷲。

やがて自らが負けた事を理解したのだろう、翼をバサリと羽ばたかせると矢を持つ麗子の右腕に留まる。


麗子は嬉しそうに頷くと、手に持っていた矢で左指を切ろうとするがそれを止めるかのように皇帝鷲が麗子の頬を伝う血を嘴で器用にすくい取り喉を鳴らした。



「貴方の名前はアローよ。これからよろしくね。」



光が収まったアローに名前を告げる。

自分の肩にアローを乗せたまま特に仲良くする素振りは見せないが、これが二人の距離感なんだろう。



「麗子、さっきの移動…瞬動じゃないよな?」


「ええ、あんまり使いたくなかったんだけど…手は抜けないしね。」



アローに向かいウインクしながら浩二に答える。

プイッとそっぽを向くアロー。



「ふふっ、えーとね、アレは『縮地』よ。」


「マジか!?…良く使ったな…あんな目にあったのに。」


「五月蝿いわよっ!」


「あんな目?」



縮地と聞いてびっくりしながら突っ込んで来た猛にキツ目のツッコミを入れる麗子。



「そうね…浩二、どうせアンタは『縮地』も見習いしてるんでしょ?」


「え?………あ!…すまん。」


「別に良いわよ。私のスキルが無くなるわけじゃないし。アンタなら答えは使って見れば分かるわよ。」


「…ん?まぁ、試してみるか。」



自分のスキル一覧を見てそのスキルがある事を確認すると、麗子に無断で覚えてしまった事に対して頭を下げる浩二。

しかし、取り敢えず麗子の許可も得たので覚えたての『縮地(見習い)』を使ってみる事にした。



そして突然皆の目の前から消える浩二。

次の瞬間、数m離れた場所に現れた浩二は物凄い勢いで訓練所を転がり土煙を上げながらそのまま近くの城壁に盛大に激突する。



「コージ!?」


「浩二ぃっ!?」



こうなる事を事前に知らないソフィアとナオは浩二の元へ慌てて駆け寄る。



「ふふっ、やっぱりこうなったか。」


「…兄貴なら…ってちょっと期待したんだけどな。」


「…もう、麗子ちゃん悪戯が過ぎるよ!」


「大丈夫よ、アイツならね。…ほら。」



予想通りと笑う麗子を舞が窘める。


一方浩二はと言うと



「…びっくりしたぁ…何だ?今の衝撃…」



とか言いながら土煙の中から無傷で現れた。

まぁ、実際今の浩二に肉体的ダメージを与えようとするなら相当の事をしなければ無理だろう。

それが例え浩二が無防備の時であったとしても。



「大丈夫なの?コージ。」


「あぁ、全くダメージは無いよ。心配かけたねソフィア。」


「なら良いけど…一体何が起きたの?」



腕にナオを絡めた浩二に純粋な疑問をぶつけるソフィア。

ソフィアの疑問も最もだ。

浩二は麗子に向き直り改めて質問をした。



「一体あの衝撃は何なんだ?」


「アレは空間が元に戻ろうとする時に起こるらしいわ。…まぁ、私も聞いただけだから詳しくは知らないけど。」


「…空間?戻る?」



浩二の頭に「?」が舞う。



《私が説明しようか?》



その時、浩二の頭の中に女神様の声が響く。



「あー、お願い出来ますか?あと、皆にも聞こえるようにとか出来ます?」


《全然OKだよ。》


「と、言う訳で女神様が説明してくれるらしい。皆の頭に女神様の声が聞こえる筈だから驚かないでな。」



唐突に切り出す浩二。



「え?」


「は?何を言って…」


「女神様?」


《どうもー、ご紹介頂いた女神様でーす。よろしくねー。》


「「「「「!?」」」」」


「女神様…何言ってんですか…」


「ね、ねぇ、コージ…女神様ってこんなだっけ?」


「んー、大体こんな感じかな?」


「…そう。」



驚きの余り声も出ない一同と、何故かガックリと肩を落とすソフィア。


相変わらず過ぎて嬉しくなりますよ女神様。



「女神様…もう少し威厳みたいな物は無かったんですか?…皆固まっちゃったじゃないですか。」


《えー!親しみがあっていいと思ったんだけどなぁ。》


「親しみがあり過ぎですよ。」


《んー、了解!…あー、あー、…コホン…》



無駄な発声とわざとらしい咳払いを始める女神様。

嫌な予感がする。



《…皆さん、初めまして…私は女神。主にこの世界の管理をしています。こうして貴方達と話す事が出来て私はとても嬉しいですよ。》



やっぱり。


この世の物とは思えない程の澄んだ綺麗な声で自己紹介をやり直す女神様。

まぁ、浩二とのやり取りも丸聞こえなので全く意味は無いんだが。


本当にこの女神様は…

読んでいただきありがとうございます。

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