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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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アニマルマシナリー(2)


「イナリ、お願い。」



栞の言葉に軽く頷いたイナリは彼女の首に巻き付き眩い光になる。


次の瞬間、栞の姿はどこにも無かった。


正確には…浩二以外には見えなく(・・・・)なったのだ。



「消えた!?」


「栞ちゃん!どこー?」



そうとは知らずキョロキョロと辺りを探す猛と蓮。

うん、この二人のリアクションには癒されるわ。



「ここだよ。」



ポンと蓮の肩を叩いた後返事をする栞。

突然声が掛かり「ひゃっ!?」とか言う蓮。

ビクッ!と跳ねて声が聞こえた方向に振り向く猛。



「…二人共、少し落ち着きなさいよ…」



麗子が驚きながらも冷静に二人を窘める。



「イナリ、もう良いよ。」



そう栞の言葉が聞こえた途端、彼女が姿を現す


その姿を見て皆が息を飲む。



そこには鮮やかな若草色の着物を着た栞が両手に『花鳥』と『風月』を持ち静かに佇んでいた。

振袖と右裾の部分には白の斜線状の模様が入っており、黒に金の刺繍が施された飾り帯が全体を引き締めている。

少し上目に結われた髪には銀の簪が二つの飾り玉をキラキラと揺らしていた。



「…ヤバいな…普段の小鳥遊は何処に行ったんだよ…」



猛は絞り出す様に感想を口にする。

その気持ちは良く分かる。


前に普段着…膝丈のスカートにブレザータイプの制服で舞を舞っているのを見た時でさえ大人びた印象を受けたのに、今の彼女が舞を舞えば一体どれだけ周りを魅了するのか想像に難しくない。



「綺麗ーっ!」


「うん、綺麗だよね。」


「…栞も化けたわね…」


「…恥ずかしいけど…ありがとう。この着物…自由に色合いを変えられるんだって。イナリが言ってた。」



どうやら、栞はイナリと会話が出来るらしい。

本当に気に入られてるんだな。



「さて、説明させてくれ。栞の『花鳥』と『風月』に追加した素材は『鎌鼬の尾刃』と言うもので、風魔法との親和性が凄く高い。更にこの世界の鎌鼬は強力な幻覚を見せる力があるらしくてな、さっき姿を消したのも栞の着物の色を変えられるのも多分それの影響だろう。でも、素材はオリハルコンだから守備力、魔法防御力も申し分無い筈だ。」



振袖をヒラヒラさせながら栞が着物の手触りを確かめる様に触れている。



「この着物、凄く着心地が良くてびっくりしたよ。動くのも凄く楽だし。」



その場でくるりと回りながら栞が言う。

ただ回る姿でさえ様になっている。



「当然、『花鳥』と『風月』の魔核も新たに純度の高い物に変えたから、今までよりも効果範囲、威力共に上がってるよ。」


「うん!ありがとう、お兄ちゃん!」



そう言って浩二の腕に嬉しそうにしがみつく栞。

その姿は先程までとは違いいつもの無邪気な栞だった。



「さて、次は…ん?」



一匹の動物…と呼んでも良いのだろうか…黒と銀の双頭を持つ狼の様な動物が浩二の袖を噛み引っ張っている。



「あぁ、分かったよ。次は蓮だ。」


「やったーっ!待ってたよっ!」



蓮は瞳を輝かせ浩二の元へと駆け寄って来る。


すると蓮の目の前に双頭の狼が歩み出てその場に座る。

そして四つの瞳が蓮を見詰めていると、やがて蓮がフルフルと震え出す。



「……格好良い。」


「ん?」


「何この子っ!凄く格好良いっ!!」



ボソッと呟いたかと思うと、格好良いと叫びながら双頭の間に頭を入れて両腕で狼を抱き締める。

目を白黒させる狼。

しかしその尻尾は喜びを表すように激しく振られていた。



「…なぁ…アレってオルトロスだよな…?」


「…私が知ってる限りでは…そうね。」



第二期人族組の二人は明らかに双頭の狼から距離を取っている。

それ程怖くは無いよな…?

尻尾だって千切れんばかりに振ってるし。



「はい、蓮ちゃん。」


「あ!忘れてた!契約するんだったね!」



抱きついたまま頬擦りをして離さない蓮に栞がナイフとポーションを手渡す。


蓮が身を離すと少し残念そうにする双頭の狼。

しかし、大人しくお座りをして待つ。

案外忠犬なんじゃなかろうか。


蓮が指を切り差し出すと、双頭のそれぞれがペロリと蓮の血を舐める。

やがて淡く光り出す狼。



「君がブラックで君がシルバーね!よろしくーっ!」


「バウッ!」


「ガウッ!」



光が静まると再び双頭の間に頭を入れてそれぞれに名を告げると、嬉しそうにそれぞれが一鳴きする。

それを聞いた蓮は又もや親愛を込めて強く抱き締める。

おーおー、尻尾千切れるぞ?



「それじゃー変身だっ!ブラックっ!シルバーっ!よろしくっ!」


「バウッ!」


「ガウッ!」



それぞれが蓮の言葉に対して声を上げる。

案外ノリが良いのかもな。


双頭に蓮が両手を置いた状態で眩く光り出すブラックとシルバー。



眩い光が収まると、そこには両手に色違いの銃を持った蓮が立っていた。

上半身は黒地にシルバーのアクセントが効いた革ジャンの様なものを着ていて、下は少し短めの黒いレザースカートを履き両足にはガンメタリックのシンプルなグリーブが腿の中程まで覆っていた。



「おお…銃が増えてる。それに…何だか、身体が軽い気がする。」



その場で軽く身体を動かす蓮。

その度に「おおっ!」とか「速い速い!」等と口にしている。



「蓮!取り敢えず説明を聞いてくれ。」


「あぁ、ごめんね、お兄さん!何だか楽しくて!」


「気持ちは分かるけどな。んじゃ説明するぞ。蓮の『ブラックロア』に追加した素材は『対極の牙』って名前でオルトロスの希少種から手に入れた物らしい。」


「手に入れた?」


「あぁ、実は希少種を倒したのはソフィアのお祖父さんらしい。」



ソフィアの方を見ると小さく頷く。



「まぁ、それはそれとして。この希少種ってのが実際本当に希少で、本来オルトロス自体が珍しいんだ。ヘルハウンドって魔物から稀に生まれるらしいんだけど…希少種の場合、ヘルハウンドとニヴルウルフとの混血なんだ。で、その新しい銃…名前はシルバーロア。コレにはニヴルウルフの能力が備わってて、氷属性の弾を放てる。」


「へえー…綺麗な銃だよね。早く撃ってみたいな!」



蓮はウズウズしたように体を揺すり落ち着かない様子だ。


読んでいただきありがとうございます。

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