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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第四章 新しい種族と新しい魔王

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残りのスキル。


「んー…どうしたもんか…」



浩二は訓練所の隅で胡座をかきながら腕を組んで難しい顔をしていた。

頭の中にはとあるスキルが並んでいる。



『千里眼』LV7

『透視』LV6

『催眠』LV7

『隠蔽』LV6

『生贄』LV--



そう、結城に殺されもう既にこの世にはいない勇者のスキルだ。


『千里眼』や『透視』『隠蔽』なんかは大丈夫だろうけど、『催眠』や『生贄』は結城に持たせておいたら何をするか分からないからな。



《まーたスキルで悩んでる。》


「あ、女神様。」



浩二が対応に困っていると、女神様から声が掛かる。



「もう持ち主が居ないんだから、貰っちゃえば良いのに。」


「うーん…それも考えたんですが…あの女神様、ちょっと質問しても良いですか?」


「何だい?」


「スキルって女神様に返す事って出来ます?」


「出来ない……って言いたい所だけど…うん、出来るよ。」


「なら…」


「でも、返せるスキルは二つまでね。」



全部返します…と言おうとした所で女神様が言葉を被せてきた。



「……全部じゃ、」


「駄目。」


「………」


「良いかい?本来スキルを返すなんて事は出来ても皆知らないんだ。世の中にはマイナススキルなんてのも存在しているんだよ?その人達だってきっとスキルを返したいだろうさ。」


「…確かに。」


「だから、これは例外中の例外さ。君と私の仲だから二つまでならOKなんだよ。」


「………」


「納得したかい?」


「…はい。」



今一釈然としないが、女神様の言う事は理にかなっている。

ならば仕方が無いだろう。



「それじゃ、『催眠』と『生贄』をお願いします。」


「はーい、了解したよ。…………どうだい?消えたかな?」



スキルを確認した浩二は『催眠』と『生贄』のスキルが消えている事を確認すると、静かに頷く。



「ありがとうございました。」


「死んだ勇者のスキル…大切にしてあげてね?」


「……女神様…その言い方は狡いですよ…そんな事言われたら使わずにおくなんて出来ないじゃないですか。」


「やっぱりね。君の事だから、使わずに封印なんて事を考えてるんじゃないかと思ったよ。だから…こうしよう。スキルを見てご覧。」



浩二は女神様に言われ改めてスキル一覧を見ると、『千里眼』『透視』『隠蔽』が全て(見習い)になっていた。



「これなら、勇者から君が見習いをした…という事になるよね?」


「…女神様…ありがとうございます。」


「ふふっ、ちゃんと感謝して使うんだよ?…って君には言うまでもないか。」


「はい。死んでしまった勇者と女神様に感謝して使わせてもらいます。」


「うんうん、それじゃ頑張ってね。」



そう言って女神様の声は聞こえなくなった。



「…今度人族領に行ったら勇者の墓参りに行かなくちゃな。」



浩二はそう呟いて立ち上がると、新たに覚えた三つの見習いスキルのレベル上げを始めた。



□■□■



『隠蔽』

主にステータスや自らの存在を隠蔽するスキル。

隠蔽出来る範囲や程度はスキルレベル依存。

スキルレベルが上がれば、ステータスだけでは無く自らの容姿等も偽る事が出来る。

類似スキルに『変装』と言うスキルがあるが、こちらは容姿を偽るのみである。



□■□■



「『千里眼』と『透視』のコンボも結構使えるけど…『隠蔽』も使い方次第では結構えげつない使い方が出来そうだ。」



浩二は『隠蔽』の詳細を見ながら一人呟く。

確かに『千里眼』『透視』『隠蔽』に『忍び足』辺りが加われば、暗殺等は容易く成功させる事が出来るだろう。


『隠蔽』でステータスと容姿を偽り、『千里眼』『透視』でターゲットを補足。『忍び足』で近寄り…うん、えげつない。

アサシン向きだな。


まぁ、俺の場合はステータスを人族に変えて髪色を銀髪から変えてしまえばどこから見ても人族だしな。

便利だし、上げておく事に問題は無いが…



「どうやって上げようか…」



やっぱり常時『隠蔽』が発動している方が良いよな…


と、言う事で髪が黒髪に戻る浩二。



実際はもっと色々試したのだが、ステータスを偽装した所で、『絶対魔法防御』のせいで誰にも見られないし、手に入るスキルの経験値も微々たるものだった。

とは言え、微々たるものとは言え経験値は経験値。

と、言う事で今浩二はエルダードワーフからドワーフに戻り、職業も鍛冶師にしてある。

当然見た目だけだが。


容姿も変えようとしたが、見習いでは髪や体毛が限界だった。

容姿を変える為に『隠蔽』を使う事に関しては、身体の内側から効果が出るらしく『絶対魔法防御』には引っかから無かったのが救いだ。



「でも、見習いですら髪色変えられるんなら…『隠蔽』のレベルMAXだったら見た目魔物とかにもなれそうな気がするな。」



魔物になる意味は特に無いが、それ位効果があるスキルという事だ。



「よし、取り敢えず『隠蔽』は髪色とステータスをこのままにしておけばいずれ見習いMAXになるよな。…後は『千里眼』と『透視』か。」



と、言う訳でやってまいりましたシュレイド城内の見張り塔。


シュレイド城を囲む様に四隅にあり、その全てが城壁と繋がりそれぞれの方角を目視で見張る為に作られた塔だ。

目的が見張りだけにその高さも一際目立つ。

内部は吹き抜けの螺旋階段になっており、丁度中間地点が城壁と同じ高さで、数人の兵士が詰められる様になっている。

これは見張り塔の見張り交代要員と、城壁上の巡回要員用だ。


そして今浩二は東の見張り塔の頂上にいた。



「お疲れ様です。」


「おっ、随分と珍しい客が来たな。」



見張りの兵士がチラリと浩二を見て見張りの仕事に戻る。


このシュレイド城は高レベルの魔物が棲む鬱蒼とした森に囲まれている為、それなりに城壁へと攻撃を仕掛けてくる魔物もいたりする。

下手に魔物のレベルが高いだけに放って置く事も出来ず、この塔の見張りと城壁上の巡回、城壁外の見回りと三段構えで警備に当たっている。


場合によっては城壁を破壊されたりするので見張りの兵士も真剣だ。

まぁ、そう度々城壁にダメージを与える様な魔物は来ないのだが。



読んでいただきありがとうございます。

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