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神はただ嗤う

 美しい中性的な顔つきの男が覗き込む

 それは、鏡のような水面のようなもの、そこには二人の女が映っていた。


 一人は輝く金の髪を有し皆から愛されて不幸を知らずに暮らしていた女。

 もう一人は黒くしなやかな美しい髪を持ったがために皆から憎悪を浴びせられても、その皆の幸せを願った女


 二人は神に弄ばれた女である。


 金の髪の女は、蒼い神に試され、魔のものと契りを交わして踊り狂った。


 黒の髪の女は、紅い神に見守られ幸せの鱗片をも感じる事無く、狂った女に殺められた。


 そんな二人を見ていたのは紫の髪を持った神であった。その顔には歪んだ笑みがのせられ、美しさに魅せられるような狂気を感じる。


「ふふ、二人とも派手に動いたね~ あの二人は良くも悪くも幼い。だからこそ残酷になれるのだろうな~ 巻き込まれた夫婦可哀想だし、サービスしてあげよっか! よし、と……… 」


 この惨劇に巻き込まれ、一番被害を被ったのはやはりあの夫婦だろう。

 村の人も被害者だが、黒の髪の女をよく見ず唯無神経な噂を流し虐げたのは確かなので相殺だな。


 神は基本、暇だ。だからこそ下界に手を出したがる。あの、異世界転生ブームも面白そうだからという理由で流行っただけだろう。

 しかし、だからこそ神は下界から興味を無くすのが早い

 飽きたら新しい世界を作り出しそこで遊べば良いのだから、住んでいるもの達の立場など関係がないのだ。

 確かに、上に行くにはそのぐらいであった方が良いのだろう。


「しかし、あの二人の子供は上に行く気も無いようだしな~ 今度は楽しませて貰うか~ 」


 彼は思う、二人を下界に投げ入れればとどのような反応をかえすのか、どんな風に楽しませてくれるかを………


 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 蒼の髪の神だった青年はため息を吐く。

 広野の中、荷物もなく高価そうな手触りの良い服でただ立ちすくみながら。


 蒼の神はこうなった理由を思い出す。


 我が創造主である男に呼び出され意識を落とされたのがつい先ほどだ。

 彼の顔には楽しそうな笑みがあり、この時に気がついていた不穏な気配が彼から出ていたのだと分かった時には遅く、意識が戻った時にはここにいた。


 そして、ここがどこなのかも分かっていた。

 ここは、金の髪の女の村があった場所であると


 ふと、気配を感じ背後を振り向くと案の定犬猿の仲である奴が立っていた


 あの何を考えているか分からないフニャっとした笑みを浮かべている。


 そういえば、奴がミていた女もここの住人であり、金の髪の女が憎悪して殺めたのだとふと思い出した。


 ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼


 あいつからの呼び出しなんてろくなものじゃ無いのは、分かっていた。

 どうせ、あの村の事を言われるのだろう。蒼の奴は素直に行きそうだが僕は行きたくなかった。いや、最後にはどうせ行かなきゃいけない事になるのも分かっているから、少し反抗したかったのだ。


 すぐに、あいつはここに来た。一人になりたいからと創った結界を容易く破り、土足で上がり込んできた。


 少し、無視しているとあいつは楽しそうな笑い声をあげながら、ふと囁いた。


「賢いお前ならば気がついているのだろう? これからその身に降りかかる事を……… であれば、頑張れと言うほかあるまい。 さあ、行ってらっしゃい~ 楽しませておくれ~ 」


 この言葉の意味を理解する前に強制的に暗闇に突き落とされた。


 目を開けると、何度となく見た村の跡地だった。


 身の前には蒼の神が立っており、自身の身に何が起こったか理解できていないようだった。


 ああ、創造主よ。あなたは意地が悪い。これでこいつは残酷な事が出来なくなる。そうなれば僕もまた出来なくなることを知っているというのに………

 しかし、感謝いたします。こいつの価値をあげてくれることを………


 幾度と無く蒼の神にやろうとし出来なかった事を容易たやすくした紫の神に嫉妬しながら微笑んだ。


 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


 蒼と紅の神だった青年は紫の神に踊らされる。

 二人が引き起こした出来事に自身達が振り回され二人は成長する。



 蒼の神は紅い神に気がつかされる、自身の過ちを彼の賢さをそして思うのだ、自身が生み出した世界に暮らすし住人達を。

 そして、彼は住人達から慕われる神に変わった。


 紅い神は、悲しげに笑う。蒼の神の成長を見て。

 彼らは裏と表の神。

 二人は相容れない。

 そうやって創られた。

 今更は変えられない。己が願っていた通りに成長してしまったのだから、己も変わらなければならない。

 薄暗い場所に足を踏み入れて嗤う。頬に涙を流しながら………


 ▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽


「ふふ、蒼の神は賢くなった。自身の事を深く理解出来るようになった。だというのに紅い神は何をしているのかな? 誰よりも蒼の神を考え自身を深く押し込むようになってしまって……… 賢すぎるのも困るな~ 考えてもみなよ、二人が悲しむように創る訳がないのに、二人とも我が子供だよ? それに、気づけないのかな~ 」


 紫の神の切なげな声は唯白い空間に吸い込まれた。


 二人は裏と表である。

 お互いがお互いに補うことが出来るように、色んな見方が出来るように………


 二人は、わらう。


 暖かな日に照らされて、暗い闇に紛れて………



 










 ぜひ、感想をしていただけたら作者が感涙するでしょう~

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