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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
フォーリンエンジェル〜天使と悪魔の聖譚曲〜
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第八十四話 予兆

「港町カンダラの住民全員と、桜舞の騎士団隊長ハード・マルセイア、そしてその部下3人が死亡した」


王都特別会議室で行われた会議で王国騎士団団長であるロキが言った一言に、場の空気が一変した。


「い、一体どういった方法で・・・?」


そう言ったのは『金色の騎士団』隊長サイズ・レスト。ロキは一瞬だけサイズの方を見ると、少し表情を歪めて説明した。


「住民達は、全員胴体を何かに貫かれ、大量に血を流した状態で発見された。家の中で息絶えた者、外で息絶えた者・・・余りにも酷過ぎた」


それを聞き、何人かの人間の顔色が悪くなった。実際に現場を訪れたロキ達は相当堪えたはずだ。


「そして、ハードは全身を何かで切り刻まれて死んでいた。その部下達は3人共首を切断されていた」

「な、何ということを・・・」


会議室がどよめく。桜舞の騎士団隊長であるハードは、全騎士の中でもトップクラスの実力を持っていた男だ。

それが全身を切り刻まれた状態で発見されるなど、簡単には信じられることではない。


「また、ガンダラではあちこちにが空いていたそうです」


そんな時、紫色の髪をポニーテールにした眼鏡美女、ライラが付け足す。


「穴とは?」


隊長達にそう聞き返され、ライラは手元の手帳をめくった。


「報告によると、街中の計17箇所に巨大な穴が空いていたそうです。それ以外にも家の天井にも数箇所。その事から私は、何かが地面から飛び出し、住民達を襲ったのだと考えます。家の天井を突き破る程の大きな何かが」


会議室が静まる。それは、一体どんな化け物なのだろうか。


「新手の魔物か、それとも《魔神》か」

「ここ最近の魔神出現率は異常過ぎます!ジークフリードという少年が居なければこの国はお終いですよ!」

「その魔神の影響を受けてか、魔物達も活発化してるしなぁ」


一人の隊長の呟きを発端とし、再び会議室が騒がしくなる。


「ごめーん、遅れたわ」

「申し訳ありません」


そんな時、会議室の扉が開き、2人の人物が中に入ってきた。


「リリスにイツキか。まだ始まってそんなに時間は経っていない」

「あら、それは良かった」


桃色の長髪を揺らしながら、ギルド長リリスは空いている席に着いた。その隣にイツキも座る。


「それで、ガンダラの事について話してたのよね?」

「ああそうだ、そこの資料を読んで話についてこい」


ロキはそう言うと、再びガンダラについての話を始めた。










◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇








「《切輪の暴風(ブレードストーム)》!」


シオンが放った風魔法が、迫り来るフロアボスを切り刻む。


「っ、やった!」


倒れたフロアボスを見て、シオンは笑みを浮かべた。


「お疲れ、シオン」

「はい、ありがとうございますっ」


現在俺とシオンは新たに発見された危険度の低い迷宮に潜っている。そこでフロアボスを1人で倒すことに成功したシオンはとてもご機嫌だ。


「このレベルの魔物なら、1人で倒すことが出来るようになりました!」

「そうだな、流石はシオンだ」

「これで、もっとジークさん達の支えになれます」


・・・可愛ええなぁ。なんていうか、健気な子だ。


「んじゃ、そろそろ帰るか」

「はい」


無事フロアボスも倒せたことだし、そろそろ地上に戻るとしよう。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「そうだ、ジークさんはガンダラの事件、聞きましたか?」

「ん、ああ、住民全員が殺されたってやつか」

「その事件に魔神が関わっている可能性が高いとか・・・」


そう言うシオンの表情は先ほどとは違って若干暗い。


「王国でもかなり強い人がやられたんだってな」

「はい」

「魔神・・・か」


3日程前、港町カンダラ壊滅の話は王都に舞い込んだ。

その日にガンダラにいた住民全員と、ガンダラを訪れていたハードという騎士団隊長、そしてその部下達が殺されたらしい。


現在ガンダラは封鎖され、誰も近づく事が出来ない状態らしいが。


「その事件が魔神の仕業だとしたら、また大変なことになる気がするぜ」

「・・・私もです」

「帰ったシャロンやアカリ達が心配だな」


少し前、月光祭が終了した後、シャロン達はそれぞれが住む街に帰った。


シャロンは、しばらく会えないからという理由でエステリーナに勝負を挑もうとするので、また今度遊びに行くと言ったら満面の笑みを浮かべて去っていった。

アカリ、クラウン、ガルムも近々また王都に来るらしい。


「・・・シャロンさんとも、アカリちゃんとも仲良さそうでしたもんね」

「ん?」

「・・・」


少し頬を膨らましながら視線を前に戻したシオン。もしかして、もしかすると・・・、


「・・・嫉妬しちゃってたり?」

「勿論です」


それはずるいぜシオンさん。まあ、告白の返事も返してないのに他の女の子と仲良さげにしてたら、ムカッとする・・・か?


「ジークさんは、本当にモテモテですもんね」

「い、いや、そんなことはないだろ」


こんな俺に好意を抱いてくれてるのはシオンとレヴィだけだ。エステリーナ達は友達として仲良くしてくれてるだけで・・・。


(何でこんなに鈍感なんだろう・・・)

「どうした?」

「いえ、何でも」


と、そんなことを話しているうちに王都が見えてきた。


「まあ、話を戻すけども。また魔神が来たってんならなんとかしないとな」

「ですね」


その時、強い風が吹いた。

何故か嫌な気配を感じて俺は振り返る。


「っ・・・」

「どうしました?」

「いや、なんでも」


今のは、何かが起こる予兆なのだろうか。



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