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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
色欲魔録〜また魔神が来ました〜
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第七十九話 誰もが欲を抱くもの

「お・・・?」


所変わって王都地下。

俺は地下施設の終点にたどり着いた。


「階段?」


俺の視線の先には上に続く階段がある。

とりあえず上ってみるか。


「・・・んん?」


そして、天井にはめられていた鉄の蓋を外して外に出てみると、なんとそこは王城の中だった。


「こんなとこに繋がってたのか」


ますますあの地下施設がどういった場所なのか気になってきたぞ。なーんて思っていた時。


「あ、ジークさん」

「っ!?」


突然背後から聞こえた声。

まさかこんな場所にまで現れるとは。


「・・・シオンか」

「はい、探していたんですよ」


そう言って俺に駆け寄ってきたシオン。まずい、これはあのパターンか。


「ぐっ、やっぱり・・・」


案の定抱きつかれた。


「どうしますか?このままここでしてもいいんですけど、やっぱり家の中の方が落ち着きますよね」

「い、いや、どこでも落ち着かないんだけど」

「そうですか、ならここで・・・」

「だあっ!ストップストップ!!」


俺のズボンに手をかけたシオンを引き離す。


「あっ、どうして・・・。私はこんなにジークさんのことを愛しているというのに」

「ぬぐっ、そんな潤んだ目で見つめるんじゃない!」


頑張れジークフリード、耐えるんだぁぁ!

ここで、自分に負けたら一生後悔するぞぉぉ!


「確かにね、操られてないシオンがそんなことしてきたらちょっと理性を抑えられるか分からんけど」

「・・・?」

「今の君は、本当のシオン・セレナーデではない!」

「なっ・・・」


ごめん、そんな悲しそうな顔をしないでくれ。


「シオンはな、そういうあっち系のことになると顔が赤くなって恥ずかしがるのだ!俺はそういうシオンの方がいいね!!」

「・・・なら」

「ん?」

「無理やりします」


突然俺の周囲に竜巻が発生した。シオンの風魔法だ。


「ちょ、ここ王城・・・」

「関係ありません」

「くっそ、どうしたら─────」


じりじりと距離を詰めてくるシオンをどう落ち着かせようかと思っていたその時、膨大な魔力が放たれたのを感じて俺は振り返った。


「外・・・レヴィか!?」


今のはレヴィの魔力だ。てことは、外でアスモデウスと戦ってんのか?


「ジークさん?」

「悪いな、すぐ元に戻してやる」

「あっ・・・」


俺はシオンに背を向け、王城の外に飛び出した。


「げっ・・・!?」


そこで目にしたのは、上空で対峙する2人の魔神の姿。片方は手を挙げて魔法を放とうとしている。


「こら」

「あ痛っ!」

「そんなもん放ったら王都消滅するだろうが」


ちょっとまずそうだったので、俺は禁忌魔法を放つ寸前のレヴィの目の前にジャンプし、軽く彼女にチョップした。


「あ、ジーク!」

「出たわね、ジークフリード!!」

「よう、とりあえず下に降りてくれると助かる」


俺は2人のように浮かんだり飛んだり出来ないので、すぐ下に落ちた。


「ボクが最初に見つけたよ!」

「はいはい・・・ってなんでそんなに血塗れなんだ?」

「ちょっと魔物をこう・・・ザシュッとね」

「帰ったらちゃんと身体洗えよ?」

「はーい」


そんな会話をしていると、アスモデウスも地面に降りてきた。


「なあ、早く魔法解いてくれ。そろそろ誰かに手を出してしまいそうで怖い」

「ふん、知らないわよそんなこと」

「あの時とは随分喋り方が違うんだな」

「当たり前でしょ。わざわざあんな喋り方してやってたのよ」

「求めてなかったけどな」

「黙れ変態」

「なんで!?」


何故にそんなことを言われなくちゃいけないんだ。見た目は可愛いのに口悪いやつだよなぁこいつ。


「てか、あのチンピラ達もお前の命令で俺に絡んできたのか?」

「そうよ。ちょっと身体を餌にするだけですぐ言う事聞いてくれるんだから、人間って扱いやすいわよね」

「ふーん、性格悪いな」

「それはどうも」


そう言って腕を組み、不敵な笑みを浮かべるアスモデウス。


「けど、嬉しかったでしょ?大好きな女達が自分に身体を捧げようとしてくるのは」

「・・・」

「人間は、誰もが激しい情欲を抱くもの。男も女も関係なくね」


ゆっくりと俺に近付いてきながら、アスモデウスは語る。


「あたしはその欲を支配出来る。それだけじゃない、人の感情をコントロール出来る。みんな自分に素直になればいいのよ」

「・・・」


言ってることがまるで理解出来ないんだが・・・。


「あんたも、あたしが支配してあげる」

「・・・なあ」

「あん?なによ」

「ずっと言おうと思ってたんだけどさ・・・」


よく分からない理由でみんなの心を弄ばれるってのは、正直納得がいかない。


だから、これはみんなを代表して俺が言わせてもらおう。











「お前さ、色欲の罪司ってるわりには胸ちっさくね?」

「ぶふっ!!!」


その一言にレヴィが吹き出した。


「な、な・・・」


対してアスモデウスは見る見るうちに顔が真っ赤になっていく。


「ちょ、ジーク、それはっ、言っちゃだめ・・・あはははははは!!!」

「これは、ずっと言いたかったんだ」

「あ、あははは!しんどい、しんどい・・・!!」


レヴィの笑いが止まらない。

なんかあの女腹立つから、どうしてもこれを言ってやりたかったのだ。


「・・・てるのに」

「あ?」

「あたしだって気にしてるのに!!!許さない、絶対殺してやるッ!!!」


涙目になったアスモデウスが魔力を解き放った。


「出でよ、《絶望導ぜつぼうみちびななつの魔剣まけん》!!!」


そして、彼女の背後に七つの魔剣が創り出された。一本一本から膨大な魔力を感じる。


「死ね、ジークフリード!!」

「嫌だ」


アスモデウスはそのうちの二本を手に取って猛スピードで斬りかかってきた。そして魔剣を勢いよく俺に振り下ろしたのだが。


「は・・・!?」


俺にぶつかった瞬間、どっちも刀身が砕け散る。


「う、うぅ・・・」

「俺、硬いんだ」

「キーッ、何なのよ!!腹立つわね!!」


残りの魔剣も飛ばしてきたが、全て俺の身体に弾かれる。

うん、今日も硬いな俺!


「ありえないわ、あたしのほうが強いに決まってる・・・!!」

「うーん、それはどうだろうか」





ーーーーーーーーーーーーー

~色欲の魔神アスモデウス~


★ステータス★


レベル:320

生命:7000

体力:3800

筋力:1000

耐久:4300

魔力:9999

魔攻:7100

魔防:6000

器用:200

敏捷:4800

精神:480

幸運:500


★固有スキル★


・絶対魅了

魔法に魅了効果が付与されている場合、相手を魅了する確率を100%に引き上げる。



★装備★


不明

不明

不明



ーーーーーーーーーーーーーー



確かに厄介な魔法を使うけど、これまで戦ってきた魔神達の中じゃ大したステータスではない。


「それに、あたしはあんたの弱点をしってるのよ!!」

「ん?」

「あんたは、女の子を殴れない!」


ほう・・・?


「えー、ボクいっつも叩かれてるよ」

「お前がいらんことするからだ。それに軽めのしばきだろ」

「頭叩かれたらアホになるんだぞー」

「既にアホだからそれ以上アホにはならないよ」

「ひどっ!」


確かに、それは俺の弱点なのかもしれないな。実際アスモデウスのことも殴ったりせずに取り押さえようと思ってるし。


「まっ、俺にも考えはあるんだぜ」

「言ってなさい・・・!」


アスモデウスが魔力を集め始めた。こいつに無くて俺にあるもの、それを最大限活かして勝たせてもらう。

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