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異世界ディヴェルティメント〜不幸少年のチート転生譚〜  作者: ろーたす
色欲魔録〜また魔神が来ました〜
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第七十二話 月光祭初日

「ふむ・・・」


俺は、家の前に立っていつもとは違う景色を満喫していた。



そう、今日はローレリア王国月光祭初日。

すでに日は暮れており、衝光石や提灯の灯りが街を照らしている。大勢の人達が食べ物を手にしながら俺の前を通り過ぎていく。


「まだかねぇ」


現在俺は、女子達が着替え終わるのを待っていた。

どうやら浴衣を着るそうで、彼女達が来るのを今か今かと楽しみにしている。


ちなみに俺も浴衣を着ているぞ。



「む、ジークか」

「イツキさん、久しぶりですね」


そんな時、こちらに向かってエステリーナの兄であるイツキさんが歩いてきた。


「少し帝国関連のことで遠出していてな。祭りのことなどすっかり忘れていた」

「帝国関連・・・」

「まあ、あれだけの大軍を送り込んだにも関わらず、どこかの誰かさんに返り討ちにされたからな。奴らもすぐには動けないだろう」

「ふむ、そうですか」


それはよかった。


「それで、そんなところで何をしているんだ?」

「みんなが着替え終わるのを待ってるんですよ」

「着替え?」

「浴衣ですよ、浴衣」

「なんだと・・・!?」


イツキさんが目を見開く。


「ということは、エステリーナも着替えているのか!?」

「まあ、多分」

「おおお、なら数年ぶりに妹の浴衣姿を拝むことができるのか!」

「一旦落ち着きましょ・・・」


ほんと、この人エステリーナのことになるとすぐこうなるな。ここにあの変態吸血鬼がいたらどうなっていたことやら。


「すまないジーク、待たせたな」

「お・・・おぉ」


と、声が聞こえたので振り返る。そこには浴衣に着替え終わったエステリーナが立っていた。


「・・・どうだ?」


白い浴衣に身を包み、少し恥ずかしそうにそう言うエステリーナを見て、俺とイツキさんは震えた。


「超可愛い」

「生きててよかった・・・」

「そ、そうか」


びっくりだぁ。日本にいた時から浴衣着てる人は可愛かったけど、こっちの世界の美少女はレベルが違うな。


「おおっ、ジークも浴衣じゃん!」

「あ、レヴィさん・・・!」


突然エステリーナの後ろからレヴィが走ってきた。予想はしていたが、やっぱりレヴィは水色の浴衣だ。


「おっふ」


シオンは薄紫色の浴衣を着ており、その背後ではピンク色の浴衣を着たシルフィがもじもじしている。


「・・・シルフィちゃん、ジークさんそこにいるよ」

「う、うぅ、恥ずかしいんです・・・」


もう、いろいろと大満足だ。


「みんな可愛いぞ」

「おおー、ありがとー」


駆け寄ってきたレヴィの頭を撫でながらそう言うと、シオンとシルフィの顔が赤くなったのが分かった。


「じ、ジークさんも、似合ってます・・・」

「・・・おう」


それは照れる。


「あれ、そういえばアカリ達はどこいったの?」

「あいつらはあいつらで祭りを満喫していらっしゃるよ」


レヴィにそう聞かれ、俺はそう言った。今日の朝にアカリ達が3人で行動すると言っていたのだ。


「そうなんだ。じゃ、早速行こう!」

「はいはい・・・ってお前なぁ」

「しゅっぱーつ!」


突然レヴィが肩に飛び乗ってきたので、そのまま肩車する羽目に。


「んじゃ、行こうか」

「はい」


後ろにいるシオン達にそう言って、俺は歩き始めた。










ーーーーーーーーーーーーーーーーーー






「あら、ジークフリード様じゃありませんの。それに、エステリーナ・ロンド達も・・・ってイツキ・ロンドまで!?」

「む、シャロンか」

「ちっ、数年ぶりに会うが、変わってなさそうだな」


その後、しばらく街を歩いていると、大貴族の令嬢だというシャロン・アラベスクに遭遇した。


「ジークフリード様、宜しければこの後二人きりでお祭りを満喫するというのはどうでしょうか」

「いや、残念だがジークは私達と共に祭りを楽しむんだ」

「そんなの関係ありませんわ!!」

「関係ある!!」


突然シャロンとエステリーナによる謎の言い争いが始まった。


「あはは、俺のために争わないで〜って言わないの?」

「言わねーよ」


変なことを言ってきたので、わざとグラグラ揺れてやると、レヴィは楽しそうに笑った。


「別にエステリーナも冗談でああ言ってるだけだろうし」

(え、ご主人様、エステリーナさんから好意を寄せられていること、まだ気付いていないんですね・・・)

(・・・うん、多分告白しないと絶対知られないよ。未だに顔が赤くなった時に風邪って思われるから)

(あ、ある意味すごいです、ご主人様)

「どうした?」

「「いえ、なんでもっ!」」


後ろでシオンとシルフィが、俺を見ながらこそこそ話していたので、ちょっと気になった。


「こうなったら、ここで決着をつけるというのもありですわね」

「いいだろう、相手をしてやる」

「ならまずは金魚すくいで勝負ですわ!!」

「望むところだ!!」


なんて言い合いながら、近くにあった金魚すくいの屋台に走っていった2人。


「昔からあんな感じなんですか?」

「ああ、絡んでくるのは毎回あの女だったがな」


隣でイツキさんがやれやれとため息を吐く。


「まあ、何だかんだいって楽しんでますよね」

「そうか?」

「別に仲が悪いってわけでもなさそうですし、寧ろ仲良しでしょ、あれは」

「ふーむ、そうは見えんが」


ほら、楽しそうに金魚すくってるじゃないですか。

てか、エステリーナ金魚すくいうまっ!


「ふふふ、その程度かシャロン」

「むぐぐぐ、まだまだ勝負はこれからですわ!」


・・・仲のよろしいことで。

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